第13話

『stand.fm地獄』

【上手いなstand.fm!】

stand.fmに喋り手が沢山いるのに対して、聞き手が全然いない今の構図は、シンプルに地獄なんじゃないかと思う。stand.fmをやってる人がというよりこの構図が。自分の周りにはstand.fmやってます!という声はぼちぼち聞くけど、それに対して「聞いたよ!」というリアクションはほとんど見ないし、「思ったより聞かれてないので一旦辞めます」という宣言は何件か見てきた。そもそもの話stand.fmが、リスナーより圧倒的に投稿者の需要を重視してるように見える。

まずstand.fmってネーミングが良くも悪くも上手い。無料で誰でも始められるのに、一見何かしら依頼を受けた公認パーソナリティーのそれにしか見えない。格好良い。実際、「小説家になろう」みたいに「ラジオDJになろう」みたいな名前が相応だと感じる。

【ラジオしたいという生理現象】

個人的には誰でも投稿出来る縛りがなければ、配信ラジオにはラフな新書みたいな存在にもなれてる気がする。
厳しいけど公募審査に通れば投稿者側になれる、インフルエンサーや各専門家のラジオ「Voicy」
おそらく公募とかはなく運営のオファーを掛けたアーティスト達が制作活動周辺の話をする「Artist spoken」
後者は、美大生がサカナクションを聞いて、まるで深い事考えたような気分になれる謎の幻覚効果も期待出来るので個人的に良いなと思う。

【サウンドアート】

ブログだったら原点に誰に見せる訳でもないアナログの日記があるしまだマシなんだけど、ラジオ(音声)だといくら自分のための思考整理といったところで、音声記録デバイスに話し掛けてる時点で「リスナーさんに向けて感」がどうしても出てて、「ただただ職場や上司の愚痴をミクロな視点のみで最後まで語る」ではなく、最後でマクロな視点が入ったり「皆さんこういうことありません?」といったリスナーを思わせる語りになっている。
もう喋り手で「いやこれサウンドアートなんすわ」くらいのスタンスの人が、いてくれた方がまだ楽しい。飽和状態に対して外野が俯瞰で「いやこれサウンドアートだわ」とか言ってないとやってられない世界は退屈すぎる。ジョン・ケージでも4分33秒。

【記録係】
伊藤竣泰


『観察庁24時』

第12話:成人向け動画と救急車のサイレン

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