『天災』
雨が続く。幸い、私の周辺は19号による被害がほとんどなかった。近所のスーパーに行き、カップ麺など、非常食を購入した。棚からはたくさんの商品がなくなっている。スーパーやコンビニなどから食品が消えた場合、どこから食べ物を手にするのか。生命維持の為にはどうしても必要である。
何かと”有ること”に慣れすぎて、密接に関わっていた事実を忘れていた。人間は思ったよりも脆い。生活を立派に行える、生命身体の安全。避難勧告の警報が鳴り響く。暗闇の中、雨と風の音に加えてけたたましい放送。妻は妹夫婦と連絡を取り合い、状況を確認している。私はガスボンベを補充していない不安に苛まれ時間を過ごす。
何をしたわけでもなく、次の日までの記憶がどこかへと消えている。朝になった。
停電に備えて買った懐中電灯が目に入った。
(2019年10月17日 心象記より)