『眠り起きる限り、つづく。』
大型の連休により、日常を丁寧に過ごしている。気まぐれに歩いて調べ物をして、創作している。休みの後半から逆算することをやめた。
空間が変形してこちらに襲いかかってくるような体験をした。所詮、描いた理想は幻想のようなものであり、少しずつ壊れていくのを観察する時間にはなるが、自然に選択した行動以上の有意義さはなかったかのように思う。現在の状態の方が日常にある尊さのようなものがよく見えてくる。散歩がてら、半年前くらいに買った黒い自転車にまたがり、そこら辺りをうろついている。ものめずらしい建物はなくとも、連続する造形物を統合してとらえたときに、ひとつの調和となる。よく見れば何気なく乗っていた自転車もいい形をしている。複数の銀色の線が、ひとつの円の中心から伸びている。自転車の骨格をなす部品は光沢のある黒で、いやらしい色合いでもない。
調子が悪い時より後ろめたさを感じなくなっている。全体としての一部と感じ、存在の希薄さに罪悪感をあまり覚えない、変化だろうか。無意識の層が引きずり出されるような体験は新しい表現を生みだす気もするが、他の道からも辿れる気もした。眠り起きる限り、つづく。
(2020年05月09日 心象記より)