「移りゆく愛と笑いを求める人生」
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Hey,Yo! Babyちゃん
東京って ほんとに いい街だよな
トナリの部屋で殺しがあっても刑事さんがハナシをききにくるだけ
関係のないふりなんて いくらでもできるさ
お互いさまさ 俺が殺されても トナリはそうするさ
Hey,Yo! Babyちゃん
東京って ほんとに いい街だよな
「愛」ってきいて まっさきに思い浮かべるのは
ホストクラブ 社長の愛田武さん
最近 自宅付近で襲われたらしいよ
イメクラ 放尿の瀧もあれば
おしっこ性感C.Cレモンもあるさ
すりへった すりこぎには 丁度いいのさ!
Hey,Yo! Babyちゃん
武富士のひとって
どうして お金を貸す時にゃ いいひとなのかな
武富士なんかじゃ踊れやしない
プロミスなんかぢゃ約束できない
ほのぼのレイクは ピリピリしてる
マルイの奴等は マルくない
Hey,Yo! Babyちゃん
ブルックリンとか
ブロンクスとかって
東京よりいい街なのかな?
スリックリックのリリックから
雑踏の思い出を拝借
いつも怒りまくりKRSONE思わず会釈
「おまえたちのやってることは
まるっとお見通しだ」
言われてみたいトリック
取りつく島もなくリリックは続く
誰も止めてはくれない
東京って 東京っていい街だよな
Hey,Yo! Babyちゃん
23時になったら どうして
東京のNEWSばかり流すのかな?
キックとスネアのホメーロスたち キック・スネア×2
Kick!
綿谷りさが
インストゥゥゥ――ル
蹴りたい筑紫哲也の背中
筑紫哲也が死ぬまでにしたい10のこと
筑紫哲也について私が知ってる2、3の事柄
人生で必要な知恵はすべて筑紫哲也で学んだ
猟奇的な筑紫哲也
筑紫哲也のたったひとつの冴えたやり方
Hey,Yo! Babyちゃん
東京は日本一って ほんとかな
どうして 東京に生まれ育ったひとほど
伏し目がちに
「東京には 何もないですから」っていうのかな?
すりへって すりへって
いちばん すりへった
すりこぎが
「東京は 日本一」って言うのかな?
Hey,Yo! Babyちゃん
どうして 東京にも
ほんとうに 空がキレイな日が あるのかな?
ドブネズミ みたいな 天気ばかりだったら
とっくに みんなに 見棄てられてるのに
どうして 東京にも 星のキレイな夜 が あるのかな?
プラネットロックス Don’t Stop!
プラネットパンクス Don’t Stop!
水金地火木土天海冥→ 筑紫哲也☆
ゴジラ モスラ メカゴジラ 筑紫哲也ラ
ヒップでタイトでシュールなジョークと彼女の筑紫哲也
セックスと嘘と筑紫哲也とビデオテープ
流れよ、わが涙と筑紫は言った
筑紫哲也は 電氣羊の夢をみるか
Hey,Yo! Babyちゃん
お酒にくわしければ 大人なのかな?
勝手なメロで
『オトナの怪談のぼる
きみはまだシンデレラさ』って
お説教できたら 大人なのかな
満員電車で 泣くのをガマンできたら 大人なのかな?
Hey,Yo! Babyちゃん
大人はみんな言うよ
「東京って いい街だな」
ぼくだってなりふりかまわず言うさ
「東京って いい街だな」
世界の中心で 筑紫哲也と叫ぶけもの
「アイシテル」って叫んで ノドから血が出た
世界の中心でアイを叫ぶ筑紫哲也!
Babyちゃん!
東京って ほんと いい街だよな…
自主レーベル「過渡期ナイト」を立ち上げ、愛と笑いで彩られた人生を歩む詩人・死紺亭柳竹。
自然体でありながら、ただ者ではない空気感を常にまとい、発言ひとつひとつに”朗らかさと鋭さ”が絡まりあっていました。
「詩」ひいては「文化」に対して尊敬を払いつつ、時に見事なカウンターを打ち出します。”笑い”に包まれている場合が多いけれど、それは本質を突いた表現でもあります。
数十年間、言葉と向き合ってきた詩人・死紺亭柳竹の人生を少し覗いてみましょう。
『死んでいると書いている割には生きているよね』
<インタビュー>
1.なぜ詩をやっているのですか?
死紺亭柳竹:それ、朗読としての詩?テキストとしての詩?
-先にテキストの詩について聞いてもよろしいでしょうか?
死紺亭柳竹なんか、やっぱり本読んでたよね。中原中也とか、萩原朔太郎とか。
あそこ辺り読んで、こういうの書きたいなと思って、ノートに書いていたのが中学生ぐらいの時。
-本は中学生の時から読み始めたんですか?
死紺亭柳竹:小学生の時から読んでたね。小学校5年生の時にドグラ・マグラ*1を読破して、筒井康隆とか小松左京とか星新一とか、あそこらへんのお決まりのコース通っているのね。
もちろん最初は絵本とかだけど、活字が好きだったね。
-小学生のとき、本を読まれたきっかけはあるんですか?
死紺亭柳竹:当時、BEEPというパソコン雑誌なんだけど、プログラミングとかに興味あってさ、その時の知識は今ほとんど使えないけどね(笑)
ベーシックという言語だから、程度が低いのね、当時のパソコンって。
BASICマガジンとかあって、当時のパソコン雑誌って結構サブカルだったのね。
その中で特にサブカル感が強かったのがベイプで、そこにSF作家の人が連載を持っていて、そこでドグラ・マグラ*1が紹介されていたのね。ちなみに、その後ろ姿を見ていた従弟が今ITに勤めているのね。
-最初から表現として詩を選ばれたのですか?
死紺亭柳竹:最初は小説を書きたかったんだよね。筆写とかしていた。
文字を写す、芥川龍之介の「煙草と悪魔」とかさ、いいなぁと思うところ、ひたすら写経して。
あれいいよ、リズムが分かって。活字のリズムってあるからね。
-だんだん詩の方に寄っていったんですか?
死紺亭柳竹:最初は小説をやっていたんだよね。俺の第一詩集のタイトルが「アメリカ小説全集」で、小説にも思い入れがあるんだよね。リザルトとしては講談社が出している「群像*2」っていう純文学雑誌の新人賞の一次審査までは通ったことある。
作家になりたくて、文芸同人誌とかに参加していた。摩天楼っていう。
ちなみにそこで同じように修行していた仲間がチアーヌさんっていって、今は乃村寧音さんというんだけど、今、官能小説を書いている。だったり、主催の成瀬さんという人が、犬山城の家系の人でいわゆる殿様なんだよ。
お父さんが俳人で文学的薫陶はそこで受けたかな。
-それがおいくつぐらいの時ですか?
死紺亭柳竹:摩天楼に入っていたのが19ぐらいかな。
-中学生の頃からずっと作家を志していたのですか?
死紺亭柳竹:いや、高校生の時から死紺亭柳竹だったね。
落研とか作って、教えてくれる人がいないから、熊本大学の落研に入門しに行ったんだよね。
行動力すごかったよ(笑)
-(笑)
落語はいつから触れているんですか?
死紺亭柳竹:小学校2年生ぐらいの時に、私を構成する9つの作品にも入れているんだけど、桂枝雀の「まんじゅうこわい」を聞いて、衝撃を受けて、お楽しみ会とかで「まんじゅうこわい」をやったね。
登校拒否児だったんだけど、ただお楽しみ会の時にはやりにいく。俺を待っている人がいたから。
-周りからみるとお楽しみ会の時にだけ来る人物ってことですね。
死紺亭柳竹:そうそう。小学生の時には留年の話がでたもん。学校に来ないから「もう一年やらないか」って。
オヤジが掛け合ってくれてさ、それは回避したんだけど。
-中学生の時は学校に通われていたんですか?
死紺亭柳竹:中学生の時に施設に入るんだよ。
喘息を持っていて喘息を治す施設、マラソンとか水泳をやらせる、そこに入れられて集団生活を送って、それで地元の中学に通った。地元って天草ね。
-施設に入りながら、学校に通われていたってことですか?
死紺亭柳竹:そうそう。
-集団生活は苦手ですか?
死紺亭柳竹:苦手だね。ただ、やっぱり馴染むからさ。そこの環境に行くとさ。
軍隊式で厳しいところだったよ。縦割りになっていて、小さい子だと3歳ぐらいから中学生ぐらいまでいて、上の年齢のヤツは下の年齢のヤツを見守んなきゃいけなくて。
その子が何かやらかすと、連帯責任でおやつ抜きとかあるんだよね。みんなが食べている中、黙って耐えないといけないという。
-そこで集団生活だったり、社会性を身につけたんですね。
高校は受験で入られたんですか?
死紺亭柳竹:受験で入ったね。
-実際に書く方の詩としてやられたのは、中原中也とかに影響を受けた中学生なんですね。
死紺亭柳竹:そうそう。後は、茨木のり子さんの「詩のこころを読む」って本があるんだけど、それを読んで詩っていいなって思った。
-どういう面に心打たれたんですか?
死紺亭柳竹:やっぱり、どんな詩にも背景があるというか、そういうことを教えてくれる感じね。
結構いい本なんだよね、それ。
-この詩は背景があると感じる時、感じない時ってあるんですか?
死紺亭柳竹:どの詩にも背景あるよ。見つけるのが読み方というか。
詩人って、詩と批評というぐらいだから、批評もできないといけないんだよね。だから、その目で見るとどんな詩でも背景あるよね。
ちょうど今「ココア共和国*3」を持っていてさ、中学生をはじめとした若い世代の投稿作品で成り立っているんだけど、結構おもしろいよ。
-「善悪の刺身」、すごいタイトルの詩がありますね。
死紺亭柳竹:いいでしょ(笑)
-お刺身をみて善悪について考えたことはなかったです(笑)
死紺亭柳竹:でも、どの人が何歳かわかんないんだよね。それがいいところだったり。
-年齢も詩の背景を想像するきっかけになりそうですね。
死紺亭柳竹:そうそう、平川綾真智さんが巻頭エッセイ書いているね。
平川さんって俺より年下なんだね。79年生まれ。俺、73年なんだよね。
-テキストの詩から朗読の詩へとどう移っていったんですか?
死紺亭柳竹:人がいること自体は全然抵抗がなかったわけ。落語とかやっていたし、ただ詩の朗読ってジャンルがどうもいけ好かなくて、周りにいるミュージシャンの友達を集めてSRミュージッククランプという、TKミュージッククランプ*4のパロディなんだけどさ、そういう企画をやっていた時、行った先で「筏丸けいこのポエトリーリーディング」ってやっていたんだよね。
それを新宿シアターPOO*5で、月間スケジュールで見かけてすごい反感を持って。
-どういったところにですか?
死紺亭柳竹:何がポエトリーリーディングだよ。英語で言ったらいいってもんじゃねえぞって(笑)
それでこれのパロディをやってやろうと思って、「”イカデビルけいこ”のポエトリーリーディング」というのをやったんだよね。
「イカデビルけいこのポエトリーリーディング vs SRミュージッククランプ」というタイトルにして、冒頭の5分ぐらい銀色夏生の詩を呼んで「こんなのダメ」とか言って、叩きつけて破ったりして。(笑)
「こんなの私のほうが全然面白い」とか言って(笑)セーラー服を着てね。ちゃんとコメディアンしているよ。
-その企画に触れてなにくそと思ったのがきっかけなんですね。
死紺亭柳竹:ポエトリーリーディングの始まりだよね。
-その状態はどれくらい続いたのですか?
死紺亭柳竹:いや、それは表現の世界自体の疑問に変わっていって、ノルマ制とかあるじゃん。
ああいうのもすごい嫌で、いまでこそ10月11日の過渡期ナイト、ソールドアウトするけど、当時はさ、お金がなかったら表現できないのかよと思っていた。
それが過渡期ナイトを創るきっかけになったんだよね。
過渡期ナイトって表現者もお客さんも含めて、そこにいる人は500円ずつ払えば成り立つ。
人に言わせると原始共産制というね(笑)
-(笑)
当時のライブはノルマを払って出るのが当たり前だったんですか?
死紺亭柳竹:当たり前だったね。俺も実際そういうことやってたしね。SOMAさんがやられていた「ひとり芝居ナイト」とか出たのいろいろあるよ。
ライブやると貧乏になるじゃん、どうしても。そういうの間違っているなと思ったの。だから、アンプとかないけど、直だけど、それで聴いてくれる人が500円でいるんだったらそれでいいじゃんと思って。過渡期っていうのはそういう過渡期でもあるのね。
-そういう過渡期というのはどういう意味でしょうか?
死紺亭柳竹:商業主義から原始共産制よ(笑)
-改めて、なぜ詩をやっているのでしょうか?
死紺亭柳竹:自分にとって詩というのは自明だったというかさ。
人前に出ることも割と自分の中では表現のひとつだったし、赤ん坊が泣くみたいな感じでさ。
俺のおじいちゃんって人は、父方のおじいちゃんね。博多にわか*6ってご存知?お面をつけて即興芝居をやるのね。お笑いの。肥後にわかというのもあるんだよ。ばってん荒川さんって人がやっているんだけど。
それで「なんで鹿児島ににわかがないんだ」と言って、薩摩にわかというのをやるのね。そうやって劇団始めちゃう人なのね。それで俺も高校時代、劇団を始めるんだけどね。
-高校時代の劇団はコンセプトなどあったのですか?
死紺亭柳竹:高校生だけで演劇部じゃなくてインディーズをやるというコンセプト。
俺が作・演出だったのね。
-文化が好きな方は常に周りにいらっしゃたんですか?
死紺亭柳竹:そうね。落研つくったのも相方がいたからだし。
-文化的な側面は天草の地域性なども関係しているのですか?
死紺亭柳竹:天草の地域性ね、どっちかというと漁師町だから海荒れるからさ、明日死んでいるかもわからないみたいな。天草はさ、まじめな話で「お前なんでまだ生きてんだ」っていう朝の挨拶。俺のなんでもやりたがりはそういう死生観に基づいているのかもしれないね。
-生きている感というか生命力がすごいですね。
死紺亭柳竹:死んでいると書いている割には生きているよね。
『一発目が良いっていう。忘れちゃうものは所詮そんなもの』
2.創作の方法について教えて下さい
死紺亭柳竹:ノートに書いてそれを持って読むというのはひとつのスタイルで、そのために書かなきゃだめじゃん。
書く時は時事ネタが多いんだけど、覚えとくんだよね。それでうまいこと組み合わせていく。
-トピックを頭に残しておいて、書きだす時に構築していくんですね。
死紺亭柳竹:そうそう。
もしくは時事ネタじゃない場合は、テーマとかを決めといて、それにまつわるエピソードとか言葉とかをストックしてみたいな感じ。書く時は一気に書く。書く現場もライブの人なんだよね。推敲とかあまりしない。一発目が良いっていう。忘れちゃうものは所詮そんなもの。
こないだ三木悠莉とさ、ツイッターでやり取りしていて、彼女の独身期間を間違えたんだよね。俺、結婚童貞だからそういう数え方わかんなかったと言ったら、”結婚童貞”ってすごいパンチラインだよねって。それで私は結婚ビッチとか言ってさ(笑)
-それは良くない流れですね(笑)
死紺亭柳竹:でも、そうやって残っている言葉が強い言葉なんだよね。
やたら本を読むんだけど、そういうのからインスパイアされること多いよ。例えば、さっきの善悪の刺身じゃないけどさ。すげぇなって。
そのままだとパクリになるからちょっと変えちゃうんだけど、それはありだと思うんだよね。
古典とかでもちょっと変えて自分のモノにする。落語ってそういう世界だから。
-同じものを違う人がやると面白いですよね。
死紺亭柳竹:そうそう。大学の落研に入門して最初に覚えさせられたのは寿限無*7なんだけど、テキストを一字一句覚えてやってくるという。
その時仲間が4,5人いてさ、みんな同じのやるんだけど、みんな違うんだよね。
人が違うと同じセリフでも違う、そういう感覚ってあるな。
-一発で書くことはずっと続けられているんですか?
死紺亭柳竹:そうね。俺ツイッターで詩を書くのとか得意と思うよ。その場でばぁーと書ける。
書かないけどね、ツイッターには。
-言葉やエピソードを頭に残すという意味では、ずっと創作しているみたいな感じですね。
死紺亭柳竹:そうそう。
*1…小説家・夢野久作の代表作とされる小説。
*2…講談社が刊行する文芸誌。
*3…秋亜綺羅と佐々木貴子の責任編集による月刊詩誌。
*4…フジテレビ系列で1995年4月13日から1998年4月2日まで放送されていた音楽トーク番組。
*5…東京・新宿にある小劇場、レンタルスペース。
*6…福岡市指定無形民俗文化財として、長い歴史と伝統を持つ郷土芸能。
*7…早口言葉あるいは言葉遊びとして知られる古典的な噺。