WOOD

※1ページごとに、本人の作品をご覧になれます


『都会』

『ある日、「お前絵でやらへんか」って言ってくれたんですよ』

5.今後の目標を教えてください

WOOD:アーティストとして、世に出ていくこと。より多くの人たちに評価してもらえる、見てもらえること。
いずれは色んな人とコラボしたいし、色んな人と会って喋って、話を聞きたいですよね。また、吸収してやろうと。

-以前、美術作家の方の取材で作品が”コミュニケーションツール”になるとおっしゃっていて、「なるほどな」と思いました。

WOOD:そうですね。一緒にやってくれた仲間たちとね、やっぱりBBQがしたい(笑)

BBQして、飲みに行って仲間たちと。一人じゃ何もできない。みんなでやらないと。一回、20代の半ばぐらいの時に絵で食べていく想像がつかなくなってきて、現実的に。媚びた絵も描きたくないなって。
好きに描きたいから、ただ、描きたいことは描きたいから、自分で手に職をつけて独立するつもりで。そしたら自分で時間も作れるじゃないですか。

媚びなくなった途端、また絵がすごい良くなって。「好きにやらしてよ」という感じでやったら、絵も良くなって、逆にそこから依頼も増えて、よかったなって。でも、絵はやっぱりライフスタイルとしてやってきていて、仕事は仕事で看板業をやっていたので。

-看板業とは具体的にどういうことをやられていたんですか?

WOOD:お店の看板とか取り付けたり、工場で創ったものを納品したり、デザインとかも含めての看板屋さん。工作はやっぱり好きだったので、工具とか機械を使ってやっていくのが普通に好きやったので、全く苦じゃない。
むしろ、こうやって食えるなら。で、好きに絵を描いたらいいと、それでやっていて、夢やちょっと希望があるから、チャレンジしたいと思って、28ぐらいの時に上京して、改めて無理だと(笑)

-笑

WOOD:無理だとはなったけど、カルチャーは好きだから、僕もマネジメントをして繋げる役になれたらいいなと、関わっては生きていきたいと思って。看板屋をちゃんとやろうと思って、今の相棒の大仲を誘ったんですよ。

「看板屋はせえへん」って、ずっと断られていて。

ある日、「お前絵でやらへんか」って言ってくれたんですよ。絵でマネージメント・ディレクションしたると。それで、腹をくくってくれたので、「じゃあ僕も絵で腹をくくるわ」と言ったのが、1年前。

だから使命感でやってますね。ライフスタイルだし楽しいですけど。それこそ、色んな人が関わって協力をしてくれているので、裏切らないためにも評価してくれている人のためにも。

-ここ1年とかで状況も変わったんですね。

WOOD:だいぶ変わりましたね。普通に何の苦もなくて嬉しいから精一杯やれることはやっていこうと。本当に描かせてもらっていて、絵を描くのが改めて好きだなと思います。

-アーティスト面以外での今後の目標はあるんですか?

WOOD:一応、相棒の大仲と会社をしているので、新しい若い子たちがどんどん活躍できる場だったり、グラフィティに戻るんですけど、グラフィティってみんな言うのが「どこで描いたらいい、どこで練習したらいいか」って。レジャーとしてフリーウォールを作って練習できる場であったり、作品を描ける場所はつくりたいなと。仕事としてではなく、レジャーとしてそういう場所があるのが楽しい。ただ、そこを探すのがすごい大変ですね。

-創作をしつつ、環境づくりをしたりですね。ちなみに、日本と海外のグラフィティの文化はどういう違いがあるんですか?

WOOD:日本は認知されていないというのが、まず第一じゃないですか。描く場所がないからこそ、落書きも東京とかだと多い。悪循環。グラフィティにおいて、都会はやっぱり悪循環になってしまうと思うんですよね。ニューヨークとかもそうですし。でもこれって正直、仕方がないことと思っています。カルチャーだし。

海外だとグラフィティの作品が好きだったりする人が多くて、普通の人がグラフィティという言葉を知っている。海外に行く時、飛行機で絵を描きながら乗っているんですけど、キャビンアテンダントの人が「Oh,graffiti」みたいな。

気に入ってくれたら、お酒をいっぱい注いでくれたり、やっぱりアートとして見てくれているところも多い。日本だとスプレーというだけで、ダメな行為という感じですもんね。僕はそれは仕方ないとは思っています…まだ。

社会的にきちんと認められてやっていくと良くなっていくとは思うんですけどね。今、野生爆弾のくっきーさんとかがやっていて、ああいう人たちがどんどんやってくれたら嬉しいなって。

「WOOD氏が川崎市で描いた画」

『散々に言われたので金儲けに走りやがってとか。』

6.お金についてどう思っていますか?

WOOD:意外にこの話はできる方ですよ。お金って別にやらしいものと思っていなくて、ただそう思いたい人の気持ちもすごいわかります。ただ、お金って稼ぐことは全然悪いことじゃなくて、稼ぎ方にもよりますけど、稼げるなら稼いでその分使わないと。

使ってやることが大切だなと。安心したいから貯める人もたくさんいると思いますけど、社会を循環させたいなら、稼いだら使う。作品を買ってもらえることがすごい光栄で、買ってもらった人たちの価値を上げる努力をしていなかければいけない。画材を買ったり、新しい創作をしていくのは使命、義務だなと思います。

-納得です。

WOOD:僕、結構言われてきたんですよ。

-“アンダーグランドであるべきだ”みたいな雰囲気ですかね。

WOOD:そう言いたい気持ちはすごいわかりますけど。
自分はストリートカルチャーの人たちには「金いらんよ。酒だけ奢ってくれ」と言いたいから、仕事をしてお金を稼ぐ。たまに、チームのデザインとかの依頼あるんですけど、自分のチーム以外は断っています。自分のチームのやつらにはお金もいらない、と言っておきたい。そういう時はお金とかじゃなくて、奢ってくれやと(笑)

-コミュニティの付き合い方ってありますね。

WOOD:散々に言われたので金儲けに走りやがってとか。他の奴はどうでもいいんですけど、自分のクルーにはそういうことは言うようにしています。

『後、生粋の寂しがり屋なので一人じゃいけない。』

7.絵をやっていなかったら何をやっていると思いますか?

WOOD:看板屋をやっているか、さっき言わなかったんですけど、マウンテンバイクが好きで、マウンテンバイクのメカニックを一度やっていたことがあって、それで一度独立をしようというのもあって、もしかしたらそういう、何かと手先を動かす系はやっていたなのかなと。

-もし、ものづくりが絶対できない身体になればどうしますか?

WOOD:うーん、街とか放浪しますかね。サラリーマンはできないので。

-スーツを着て働いた経験はあるんですか?

WOOD:就職ではないんですけど、大企業に派遣で行ったことはあって「無理だここ、合わない」って(笑)
ただ性格的に向上心がある方なので、何かと楽しいことにはチャレンジしていけたのかなと。自分で何かと経営であったりとかはやりたいなとは思います。

後、生粋の寂しがり屋なので一人じゃいけない。一人なんて絶対イヤ(笑)だから誰かと何かをする。

-旅とかだとどこに行ったりするんですか?

WOOD:すみません、旅はね、ちょっと格好つけて言いました。やっぱり綺麗なトイレが好きです(笑)

『失敗は成功の元。そこからどう活かすか、どう修正するかって姿勢はまた次に繋がっていく。』

8.表現形式に関するこだわりを教えて下さい

WOOD:いい意味でこだわりがないと思っているんですけど、やっぱり新しいことを吸収したい。進化をさせていく、向上し続けること。

-キャンバスを見た時とかに描いていって、”ここはこうじゃないか”と判断する時の基準とかありますか?

WOOD:なんだろうな。最近、いつもやっているのは、一回出来上がった後にブラッシュアップする。良いってなった時にもう一回良くする。

今回の展示の作品はそれを全部やった。それが大変なんですよね。どうすれば良くなるのかって。やっぱりそこのぶつかりが新しいものが産まれる基準ですかね。何日か置いてどう感じるのか。なんとなく、ポーンで今回はやっていない。これからもそうなんですけど。さらに、さらにと。

-「これは失敗した」と思う瞬間とかあるんですか?

WOOD:めちゃめちゃあります(笑)
結構、恥ずかしい言葉ですけど、失敗は成功の元。そこからどう活かすか、どう修正するかって姿勢はまた次に繋がっていく。

-修正という名の生産ですね。

WOOD:失敗するということは新しいことに向き合っているということですから、悪いことじゃない。何事に関しても失敗は悪いことではなくて、何もしていない方が怖い。「失敗してこい、みんなでそれガハハって笑おうぜ」といつも思っています。

-それができるなら失敗も安心できますね。

WOOD:そうそう。何でもネタになる。失敗ほど面白い話はない(笑)成功した話、自慢話よりも。

-ここで完成だというジャッジはいかがでしょうか?

WOOD:そこはあっさりです。「はい、完成」みたいな。
完成させないと一生やっちゃうので、ジャッジとかもなくて、もちろんブラッシュアップしてからですけど、そこは閃きですね。

-ボツの時もあるんですか?

WOOD:めっちゃあります。「はい、これはダメ」みたいな(笑)その辺りはあっさりしていますね。ボツにしないものは練ります。どうやったら良くなるか。一生悩んでいても意味がない。

9.構成する9つの作品


新世紀エヴァンゲリオン
AKIRA
鳥山明
PHONON
マクドナルドのコーヒー
MAC PC
グラフィティ
b-boy
天下一品

『学校の時も僕は最前列で笑う係。笑って空気を温める係になろうと』

10.子供の頃のエピソードを教えて下さい

WOOD:めっちゃあるんですけどね(笑)
子供の頃はやっぱり関西だからか、人を笑かすのがすごい好きで調子ノリやったんで、漫才師になりたいとちょっと思っていましたね。高校の時にそう思っていて、キャラもキャラだったんで、みんな良くしてくれて。

高校とかってみんなライバル視するじゃないですか。人相がこれだからなのか、最初に声を掛けてくれて、すごい得しているなぁって。嬉しいから調子乗って、「森田、面白い」ってなってたんですけど、僕と一緒に高校に入った石野君という子はお笑い芸人になりたくて、普通に面白くて。僕もキャラで笑いを取っていたんですよ。

その時は芸人になるつもりはないんですけど、調子に乗って、笑かしていて。それをめっちゃ冷たい目で見ているやつがいて、おとなしい子でそういうのが好きじゃないんだなって。関われば関わるほどそいつめっちゃ面白くて、そこで言われたのが「お前、おもんないで」って。

-きつい(笑)

WOOD:お前のお笑いこんなんやろって。本当に自分で空気を支配して面白くて、頭の回転がめちゃくちゃ速くて。その時に本当に心が折れて、笑かすことから離脱したんですよ。あんまり喋らんとこうと思って。それを言ったのが今の相棒の大仲です(笑)
その時に食いついていったのが石野君。ふたりはずっと、お笑い。本当に2時間コントとかを即興でやってくれるんですよ。

-放課後とかにですか?

WOOD:放課後とかも今もやってくれます(笑)
3人で遊んだたら大体、僕は見てるだけ。学校の時も僕は最前列で笑う係。笑って空気を温める係になろうと。僕は常に人生3番目と思っているんですよ。3番目が一番楽かな。おいしいところ(笑)

-1番になりたいとかはそんなにないんですね。負けず嫌いではないんですか?

WOOD:負けず嫌いは負けず嫌い。認めていないやつには「いやいや、負けてないから」って。認めている人は立てますけど、偉そうな雑魚は嫌いなんで。尊敬持つ人には、素直に、だから人生常に3番目。

石野くん、大仲くんが1,2番で僕が3番目です。特等席じゃないですか(笑)
人生常に3番目だからこそ、みんなとワイワイできる。もちろん番号じゃないですけど、人と一緒にやっていきたい。絵をやっていなかったらって話があったと思うんですけど、とにかくみんなと何かをしたい、会社とか何でも。やってくれる人がいたらすぐサボるんで。

『昔やったらこれ怒っていたなとかは、面白くなってきてますね』

11.今生きているこの人生に関するこだわりや、どんな人生にしたいかを教えて下さい

WOOD:ずっと笑っていたいことですかね。何でもないことでも、面白いと思っておきたいですね。そうなったら、人に怒ることもなくなりますもんね。人生が豊かになるなと本当に心から思えますね。

-そういった部分で年齢による変化は感じますか?

WOOD:昔やったらこれ怒っていたなとかは、面白くなってきてますね。「なんでそんなこと言うの(笑)」みたいな。

-その感覚の延長線上に今があるんですね。

WOOD:悲しいときは泣きますけど。いい意味で笑える人生にしたいですね。


【アーティスト情報】

WOOD


-プロフィール-

遊び心に満ちたstyleに、世代を感じさせる素材選び、若者だけではなくミドルレンジの年齢層からも支持されている彼の作風は描くツールにこだわらない自由な印象を強く受ける。

中でも彼の代名詞ともいえるホワイトの使い方に分かりやすく出ている。鮮やかな色使いから最後に作品に落とす白は、より彼の作品を立体的に浮き上がらせる。

ライトな印象から見るごとに深みを感じる世界観は幼少期から読破したというコミックに大きくインスパイアされているという。

それは立体作品からも感じることができる。
金属的な質感から今まさに生み出されようとしている場面を切り取った時間的な作品は、ところどころに散りばめる緑から、より生命感あふれる作品へと進化する。

これもジャパンコミックの中でもSFファンタジーからアイディアした斬新なものである。

彼独自の自由奔放な性格が強くでた作風は近年各方面でも強い評価を得ており、今作で手掛けたキャラクター達は各企業などでもタイアップが決まっている。

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■ 経歴

2014 GALAXY note3 CM 出演

2014 Red Bull X-FIGHTERS WORLD TOUR 2014 OSAKA クリエイティブ

2015 Red Bull Ignition ペイント (大阪アメリカ村街路灯アートプロジェクト)

2015 American Apparal NFO (Fashion’s Night OUt) in Shibuya Tokyo ライブペイント

2016 Adobe Creative Jam 「審査員賞」受賞

2017 Red Bull Doodle Art Japan Final 審査員

2017 Red Bull AIRRACE chiba ライブペイント

2018 NIKE ON AIR 日本代表

2019 米空軍横田基地にてライブペイント

2019 高島屋百貨店 福島博多店にて作品展示会

2019 WHITE STONE GALLARY 新館にて作品展示会

2019 MONCLER銀座店 ウィンターパーティーライブペイント

2020 VolksWagen 虎ノ門ヒルズフリーウォールプロジェクト ステルスマーケティングペイント

2021 原宿SPACE BANKSIAにて単独個展を開催



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