20200210

『肉体からの言葉』

こと表現においては、一度その人を通ることでしか成り得ない力がある。根本にあるところ、根を張っているのが何であるのか。並べ立てただけで格好がつくと知り、一度、落胆する。それを意識してしまったら、陳腐なもののように思えたり、高貴なようにも思えたりする。対象と自分の関係性をどうしていくのか。大げさにいえば生き方。

肉体にしみ込んだ言葉以外の威力の無さは凄い。そこらでくるくる回っている道端のコマのようで、その場限りで奮闘しても少し可愛らしくて滑稽である。言葉は想像よりも脅威的。疑問が疑問を呼ぶ状態をひたすらに続ける。

口から出たなら結果か。言葉の隙間にある言葉でいいあらわせない事象を言葉で探す行為、文学、芸術。”いいあらわせない事象”、まだ名前がつけられていない。それを拾ってくる。

「壁に頭をグリグリと押し付けて20秒待つこと」を、定義する言葉はない。今のところ、「壁」や「に」や「頭」を組み合わせて表現している。「壁」と「に」の間、例えとして、その隙間に何があるのか。その隙間を何と呼ぶのか。

色々ともっと良くなるように、できるように、浸かるというか、漬ける。

(2020年02月10日 心象記より)


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