story

「会いたいと思う気持ち」
「目に見えないけれど通じ合える何か」


”ああ、そうだ
テーマは、届けたい思い。
思念、感情、その波動みたいなもの
いうなれば
「テレパシー」
なんなら、それがタイトルでいい。”

(制作メモより)

 常日頃「(自身にとって)詩は記憶を記録する装置であり、アーカイブである」と公言する佐藤は、この状況下において現在を生きる詩人としてなすべきことのひとつとして、この先いつでも望む時に「今/そこ/もの/場所/時間」に立ち返ることができるガイドとなる定点的な作品を残しておくことを、切実な命題と感じていた。



 そんな佐藤の発案、声かけによりゆるやかに集まった4人によって2023-2024年にかけて「yonin」は始動した。


 本作において作詞を担当した3MCの前里、空廻、佐藤の共通点は、生活のリアリティに詩情がにじむテキスト。この数年間、いつ終わるとも知れぬ先行き不透明な日々の中で、なかなか会えない友だち、仲間、クルー、家族、恋人と交わした波長のような思い。その心情、記憶と結びつき浮かび上がる情景を、三者三様の視点/カメラアイで描き下ろしたバース。


 回すマイクの行く先でフックを待ち合わせの場所としておち合い重なる声とリリックは、笹谷のつむぐカラーの異なる二色のビート(ガラスの粒子を散りばめたようなきらきらしいメロディからなるメインパートと、ユーモラスかつセンチメンタルな味わいを持つ展開パート)に乗って響き、過去/現在/未来を縦横無尽に駆け巡る。


”可視化できぬ禍いを恐れ
激変した環境
おれたちの/わたしたちの
それぞれの
【新しい生活】
なんて、ことばに
かんたんに集約できやしない
長いトンネルの中を
身体を折り曲げるようにして身を守り
暗がりの中
マスク越しの景色
の、わずかに見えるその先の
手探りで
前に進むしかなく
過ごしてきた年月の中で
それぞれに生き/行き
仕事をして
稼ぎ/食べ
家庭生活を送り
リリックを綴り
歌い/読み
音源や詩集をリリースし
ステージに立ってきた
おれたちの/わたしたちの
小さなパーティや祝祭を
持ち寄るような
かすかな希望みたいな
ほのかなひかりみたいな
目には見えないけれど
たしかにそこにある/わかる
4人の
声とことばで
【Be here Now/今/ここ/現在】
を描き
手渡すバトンのような
ささやかな贈り物のような
詩情あふれる映画のような
「今日も、行こう」て、
朝の通勤電車/ヘッドホン越しに
静かに奮い立つような
そんな曲を届けられたら。”

(制作メモより)

過ぎ去った時間や失われた物事。
すべては元には戻らない。


(音は空気を震わせ 振動して前へ)


なかったことにはできやしない。
あの頃見えなかったものの正体がおぼろげにも
ようやく像を結んだり
とはいえ、まだ答えが出ない宿題も山積みだけれど。
それでも、わたしたちにできるのは
ただ、その方角へつま先を向けて歩き続けること、だけだ。


2024年の今、だからこそ聴いて欲しい1曲をここに刻む。


(時はいざ満ちて 増幅して未来へ)


届け、telepathy。


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