2017年3月18日放送回
久本雅美/いとうあさこ/村上佳菜子/伊野尾慧(Hey!Say!JUMP)
この日の放送で、高橋大輔、藤原紀香、安田章大(関ジャニ∞)、と名だたるゲストが揃う中、一際必死にトークする一人のミュージシャンがいた。その男はただでさえ、ゲストの国民的スポーツ選手である高橋大輔と苗字が被ってる中、自身の一番の武器である歌ではなく、トークで戦いに挑んだ。久本雅美やいとうあさこらに烈火の如くエピソードトークを振りかざした男、彼の名は高橋優。
笑い上戸の安田章大(左)絶好調の高橋名人(右)
この日のトークパートの順番は、高橋大輔、藤原紀香、安田章大そしてトリを任せられたのが高橋優である。関ジャニ∞安田のパートの終わりがけに、こってりと作り上げた安田とのエピソードトーク(作品といっても良い)を披露し、会場に「俺おもろい話出来ますよ」とアナウンスを開始。それを受け、かしこまりましたと言わんばかりの「芸人顔負けの面白トーク!」テロップとナレーションで紹介しCMへ。
高橋名人、出陣
CM明け。
と、ここで司会の一人であるHey! Say! JUMP・伊野尾慧の顔の表情が突如死ぬ。
高橋優のパートが終わるまでに笑顔を見せたのは、寝る時に口が開かないために使ってる「ネルネルテープ」という商品名の可愛さでのみの一回。番組序盤の高橋大介のスケート話では、ドラマでフィギュアスケーター役を演じた経緯もあってか、あんなに興味津々で表情豊かだった伊野尾の顔が、時間停止AVの如く動かなくなる。だがさすがに弾き語りを聞く時に無表情はやめた方がいい。仕事だし、これ。
時間停止した伊野尾はさておき、CM明けの高橋優はここから徐々にエンジンをかけていく。1曲弾き語りを終えると、ミュージシャンが売れるまでの苦労How toなど、基本こちらが聞きたいことはきちんと話してくれる。目は死んでるのかな?って心配になるくらい感情がないが、口からはスイスイと言葉が放たれる。
しかし上手い受け答えは彼の面白いやろ話に繋がる罠だった…。
罠カード発動!
この日、高橋優が披露したエピソードは五つ
その1
・関ジャニ∞安田と遊んだ時に、変装何もせずそのままの格好で来といて、誕生日プレゼントに「有名になったから」とサングラスを渡され、「いや、あなたが掛けた方がいいでしょ」、と。
その2
・売れてない頃、路上ライブで声だけは大きかったので、100人以上足を止めていたバンドの客に「あいつうるさい」と言われていた。一方、自分の客はいつも二人でだったのに、何故か今Twitterで「路上時代から応援してました」という人が五人以上いて、絶対嘘ついてるやつおるやろ、と。
その3
・同じくまだ売れてない頃、生活費を削るため、ティッシュを食べてた。さっき高橋大介のVTRでティッシュが映った時も、あれ食べれるなぁ〜って思いながら見てたんですよ、と。
その4
・アパレルでバイトしてた時に、定規のセンチとインチを間違えて、長ズボンの裾直しがハーフパンツにしてしまったんですよ、と。
(披露後のやりとりで「話面白いからギター芸人とかやればいいじゃない?」「センチとインチ〜♪なんつって笑」)
その5
・大阪の新幹線の移動中、寝る時に口が開かないように絆創膏を口にしてたら、隣のマネージャーが爆笑してて、何や思ったら絆創膏に「アカン!」と書いてあったんですよ、と。
弾き語りも含めた持ち時間一人15〜20分のトークバラエティにおいて、これは正直詰め込みすぎだ。全然面白くないわけじゃないし、TVで話すミュージシャンとしてのトークなら面白い方である。普通にインタビューに答える分には、受け答えの上手いミュージシャンで通用する。
しかしトーク中に「あ!あの話今披露出来る!」みたいなダウジング状態が伝わってしまい、用意してきたお話感が強く、聞いてるだけで「お、おう…も、もう十分やで、ラフにお話ししよーや…な?」となってしまう。
自身のラジオなどで擦り倒したであろうエピソードを隙あらば、半ば強引に何個でも出していこうというスタイル。いわゆる全部サビって感じで、ほっこりする話とか息抜き出来るタームがない。ツアーのバンドメンバーとのVTRですら、「ご当地土産を買って、みんなで食べる会を開いてます」と紹介しながら、そこでも味をありとあらゆる例えを使って表現しようとする当人とバンドメンバー達が映し出され、もうお腹いっぱいである。インストゥルメンタルも作ってくれ。
高橋名人、唯一のミス
今回の収録で、高橋にとって痛手だったのは五つ目のエピソードを披露し終えた後に振られた、福山雅治の話題だ。ここさえなければ、まだ「俺おもろい話持ってるで」感がバレずに済んだ可能性もある。
事務所の先輩の福山雅治に対して、「唄歌えるわ、喋るの上手いわで僕なんか足元にも及びません」とさっきまでのエンジンフル回転のトークとは打って変わって、分かりきった謙遜をしてしまう。
これを受けた芸人側の久本、いとうあさこは、当然すかさず「今『俺がスゴいでしょ?』って顔したもん、バレちゃった」と突っ込む。高橋優のパートはこの「バレちゃった」で終わる。しっかりTV番組の中で料理されたのだ。
音楽番組(カラオケで流れるやつとか)での短い尺での「今年はどんな夏でしたか?」みたいなテーマで一摘みのエピソードトークとしてならいいと思う。多分番組がごきげんようだったら、丁度噛み合ったと思う。用意されたテーマで話す。その話の中で小堺さんが質問して掘り下げていく。
一方、メレンゲの気持ちは、久本に身を任せてトークしたら、どんな口下手なタレントであってもいくらでも愉快に拾ってくれる。久本達とわちゃわちゃお喋りしていく番組なのである。ちょっとギターと歌の上手い芸人が、4曲もオリジナル曲弾き語りされちゃあ、なかなかきつい。ナレーションにしても、期待感上げる様な盛り上げタイプなのがネックだったかもしれない。
しかし死んだ目をしていても表情でバレるってなかなかのことである。恐らく寝てる時も口が空いてしまうと話していた点から察するに、全ての感情が口に出てしまうのではないか。この放送で分かったのは、死んだ目の人の必死さは怖いということだ。