objective-Saw

タイトル:黄泉眠る

※本人の楽曲を聞きながらインタビューを読めます

『一番はやっぱり、「友達と一緒に生きていきたい」という思いがあって』

7.今後の目標について教えて下さい
objective-Saw:音楽的なことでいうと、アルバムを出します。

あとは、自分の身近な人たちと面白いフェスでもできたらなっていうのは、結構な目標かもしれないですね。

自分の活動の目標として考えることももちろんあるんですけど、今は、良い音楽をしている人に会いに行く、というのが一つすごくあります。
その中で何か生まれていけばいいなぁとか思っています。

-auly mosquitoを今後こうしていきたいというのはありますか?

※2 auly mosquito・・・Sawさんが代表を務める総合芸術家集団

objective-Saw:auly mosquitoは、良い意味でもう、個が強くて独立した人たちが集っているのでみんながそれぞれ活躍していて、帰ってこられるような場所になれば面白いですね。安らげる場所というか。

一番はやっぱり、元々始めたきっかけでもあるんですけど、「友達と一緒に生きていきたい」という思いがあって。
その延長で、いつも言ってるんですけど、ゲートボールクラブくらいの緩さでできたらと思います。

みんなが活躍する上での手助けになりつつ、単純にやっぱり、「あの人頑張ってんなぁ」とお互いに刺激をもらえるような関係であればいいんじゃないかなと思いますね。

-auly mosquitoは、元々は「素晴らしい乳房だ。蚊がいる。」という名前でしたが、由来は何かありましたか?

objective-Saw:尾崎放哉という俳人がいて、「すばらしい乳房だ蚊が居る」という句があるんですよね。堀口くん※3と話しているときに、

※3 堀口くん・・・堀口晋作氏。auly mosquitoのメンバーで、詩人として活動中

実際に乳房にピトッて蚊が止まっているのを想像したら、すごいシュールやなぁとなって。それにしようってなりましたね(笑)

で、その名前にしていたんですけど、あるメンバーから「名前が恥ずかしいから辞めたい」と言われて、「じゃあ名前変える」となって(笑)それで「auly mosquito」になりました。

-「auly mosquito」という名前には、どういう意味が込められているんですか?

objective-Saw:メンバー何人かで飲んでいたときに新しい名前を考えていて。
「mosquito」は、元の「素晴らしい乳房だ。蚊がいる。」から「蚊」を残しました。「auly」というのは、ハワイ語で「優雅な」という意味があります。
語呂が良くて、語感がまろやかだったので、それにしました。

8.お金についてどう思いますか
objective-Saw:どうも思わないです(笑)
どうも思わないけど、ひしひしと感じるのは、お金は変換する道具なので、
何にでも化けれるし、逆にお金に引っ付いていないものを探すことが難しいくらい、
全部に引っ付いてるやんという感じがあるんですけど、それ故に人々の感情を動かすものだと思います。
恨んだり、喜んだり、やる気出したりとか、色々あると思うんですけど、
自分にとっては畏怖の対象。それで解決もすれば、喧嘩もできる、魔物みたいな存在ですね。

やっぱり、周りのことを考えるとお金は大切やなとは思います。
自分自身はどうも思っていないんですけど、人の感情を動かすものと捉えたら、絶対無下にはできないです。

『自分の中で、三宅洋平さんと三島由紀夫は似てると思うことがあって』

9.音楽をやっていなかったら何をやっていると思いますか
objective-Saw:何でしょう…小説家?
今も、文章は書くんですけど。長文とかは書かなくて、短文ばかりをブログに綴ったりしています。

自分は今創作の手法として音楽というものを使っていますけど、それがなかったら、文字に傾倒するというか、言葉での表現にもっと走る気がします。

-もし文章を書くことを専門としていたら、フィクションとノンフィクションどちらを書いていたと思いますか?

objective-Saw:フィクションですね。結局それも、「人間とは何ぞや」というのを書けるからという理由です。
ノンフィクションの方がリアリティがあるのかもしれないですけど、推察ができるので自分の場合はフィクションになりますね。

-好きな作家さんはいますか?

objective-Saw:けっこう定番ですけど、三島由紀夫です。
自分の中で、三宅洋平さんと三島由紀夫は似てると思うことがあって。
強度、骨格があるっていうか。「強い!」と思わされるものが文章から感じられます。
基本的に強いものに惹かれがちです。

-昔から文章を書くのは好きだったんですか?

objective-Saw:全然、全く。メタ認知症を発症してからですね。
それまではクラブばっかり行って、本なんか全然読んでいなくて。
24歳くらいのときに、パッと「1日に1冊、本を読もう」と思って。隙あらばずっと文字を見て、文字のシャワーをずっと浴び続けるというか。
それもちょっと、本を読んでるときだけは考え事をしまうところから逃げられる、という感覚がすごくありました。現実逃避読書です。

「本を読んでいる」というか、「言葉を浴びている」と言った方が正しいかもしれません。

10.表現形式に関するこだわりを教えて下さい
objective-Saw:こだわり…そのときそのときなんですけど。
入りがクラブミュージックだったので、楽器、生音にそんなに触れてこなくて、
生音という選択肢が頭になかったというのが、ずっと続いてるんですけど。

さっきの話と被る部分があるんですけど、音楽は表現する上での一つのツールだと考えて、もっと細分化すると、オケで歌うことだったり、バンドで歌うことだったりも、一つのツールですよね。
自分の表現を媒介するものとして、それぞれに性質の差があるので、そのときの自分の感覚とマッチしているものを使うという感覚です。

オケのアルバムを5年くらいかけて作って、一区切りついたので、「次はギターだ!」じゃないですけど、最近は生音で作ってます。

-それも、今は生音での表現がご自身の感覚とマッチしているからでしょうか?

objective-Saw:今はそうです。ギターとかバンドをやりたいなという感覚です。自分が聴く音楽が、生音のものが増えたというのもありますけど。

-一つの形態でやっている人間からすると、その時々で自分の感覚とマッチしているもので音楽を表現するというのは、面白いですね。

objective-Saw:気分屋ですけど、言ってしまったら(笑)

-ちなみに、Sawさんが音楽を始めた入口としてレゲエミュージックがあったと思いますが、個人的にはSawさんにはHIP HOPの印象も強いです。

objective-Saw:24歳で就職するときに、クラブ通いをやめた時期がありました。クラブ通いをしていたときの自分は、ちょっと取り繕っていたり無理していた部分もあったと思います。

そのときに読書を始めたり、音楽の作り方もレゲエとは意識的に変えました。

ただ、青春時代をレゲエやブラックミュージックに費やしていたので、そこは土台としてずっとあります。

11.こどもの頃や、半生におけるエピソードを教えて下さい
objective-Saw:何個かあります。

まず小学校2年生くらいのときに、自転車でマンホールの周りをグルグル回ってたらこけて、4針くらい縫いました(笑)
マンホールってそんなに大きくないから、そりゃそうなるやろという(笑)
なぜかは分からないですが、ぐるぐるマンホールの周りを沿ってこけて、縫いました。

あと、小学6年生のときに、兄貴の部屋にいたら、めっちゃお腹痛くて。
そのときめっちゃ爆音で、KGDR(キングギドラ)※4の1stアルバム『空からの力』に入っている「未確認飛行物体」という曲を流していて。病院に行ったら盲腸でした(苦笑)
ずーっと忘れられなくて。腹痛の中、キングギドラがずっと流れてたのが。

※4 KGDR(キングギドラ)・・・Kダブシャイン、Zeebra、DJ OASISの3人が1993年に結成した日本のHIP HOPグループ。

-お兄さんは何歳上ですか?

objective-Saw:兄貴は2歳上です。
兄貴が中学校で先輩から教えてもらったHIP HOPのアルバムが、我が家にやって来ました。

あとは、母から聞いた話なんですけど、昼間に家に泥棒がバッて入ってきたときに、僕が鉢合わせたらしくて。でもずっとニコニコしていたらしいです。後で母が、「あのとき泣かなくて良かったね」と言っていました。
僕は記憶にないので、赤ちゃんくらいのときだと思います。

それと、具体的なエピソードではないんですけど、めっちゃ迷子になってました。どこに行っても消えてました(笑)
迷子と、忘れ物。
スーパーとかの放送で「笹谷創くん(5歳)がお母さんを探しています」と何回も呼ばれて。

-ちなみに、地元の大阪から東京に出てくるきっかけは何でしたか?

objective-Saw:仕事でしたね。職場で「誰か東京に転勤したい人いる?」という募集に手を挙げて。
元々は奈良でこんにゃく屋さんに就職したんですけど。

新しい場所、新天地に行きたいっという気持ちがあったんです。
刺激多いしいろんな方いらっしゃるので、東京の生活も好きです。

『人の中で生きて、人の中で死ぬ。それに尽きると思います、結局は』

12.今生きているこの人生に関するこだわりや、どんな人生にしていきたいという思いはありますか
objective-Saw:人の中で生きて、人の中で死ぬ。それに尽きると思います、結局は。

-子供の頃から友達とわいわいしているのが好きでしたか?

objective-Saw:そうですね。例えば、誰かにちょっと嫌なことがあっても、それをからかってるくらいの方が好きです。関係性として。
湿っぽくなるよりは、なるべく明るく生きていきたいです。

-ご自身で、寂しがり屋と思いますか?

objective-Saw:そうですね。小さい子が泣くみたいなことを、表現という言葉を借りてやっているような気もします。「自分を見て!」じゃないですけど。
音楽する人は、多分そういう人が多いと思うんですけど。人より承認欲求が強いというか。
そういう感覚は薄まりましたが、どこか拭えないです。

「人の中で生きる」というのはそういうところに全部行きつくと思います。

-それがauly mosquitoにも繋がっていますか?

objective-Saw:そうですね。発足した理由というか。

-面白いですね。Sawさんを象徴する言葉が出てきましたね。人の中で生きて、人の中で死ぬ。今日はありがとうございました。

objective-Saw:ありがとうございました。


【アーティスト情報】

objective-Saw


【プロフィール】
1990年2月生まれ、大阪府出身。
2017年2月 盟友の堀口晋作と総合芸術家集団「auly mosquito」を創設
2018年12月 笹谷創名義でビート集『要約』をデジタルにて発売
2019年6月 ファーストアルバム「黄泉と平成」をリリース
自主企画 「百花繚乱」をEARにて開催