タイトル:カールモールのテーマ/karlmohl special band
『小さいときから、何かを企画するのがすごく好きでしたね』
9.子供の頃のエピソードを教えて下さい。
マダム:小さいときから、何かを企画するのがすごく好きでしたね。ささやかなことで言えば、家族の誕生日とか、友達が引っ越しちゃうから送別会をやろうとか。
やっぱり、誰かに喜んでもらうことが自分の中でものすごく大事なことというか、喜ばしいことですね。だから、プレゼントとかも、「あの人には何をあげたら喜ぶだろう」って考えて。
子どもだから、お金もないし、でも、相手に「わぁ!」って言ってもらいたいから、そのときの最大限の自分の企画力とか、アイデアを駆使して。
菜の花をものすごく大量に採ってきて、親にプレゼントするとか。友達の送別会も、「じゃあ、流行ってる歌をみんなで振り付けして、ここでは手紙読んで」とかを、みんなで公民館借りてやってました。
-小学生でそこまでするのはすごいですね!(笑)
2020年2月20日開催の創立50周年記念パーティーにて用意された、素敵なフルーツカービング(彫刻)
マダム:公民館とか、コミュニティホールみたいな所って、1時間100円とか200円で貸してくれるから。招待状とか作って、みんなで送別会を企画したりしてました。
それと、私、小学2年生くらいまではすごく引っ込み思案で、人前で物事を発言するっていうことはそんなに得意なタイプではなかったんだけど、何がきっかけだったかは全然分かんないんだけど、急に活発になって。
あとは、幼稚園のときにヤマハ音楽教室に通ってました。
取手市民会館で発表会があったんだけど、みんなで歌を歌うグループレッスンの発表会で、4歳のときにソロパートをもらって。
そのときの、大ホールでマイクでアカペラでソロパートを歌ったときの、気持ち良さみたいなものが忘れられなくて。そこからすごく歌が好きになったので、音楽が好きになる最初のきっかけは、やっぱり歌うことでしたね。
それで、うちは親もけっこう歌うのが好きだったので、合唱団とか、あと小学校高学年のときに子どもバンドみたいなものを近所の子どもたちといっしょにやってたときがあって。みんなでヤマハのTEENS’ MUSIC FESTIVALに出て、賞をもらいました。
それもやっぱり、私の中で音楽がすごく楽しいなと思った体験の一つでしたね。それこそ、代々木かどこかの野外のすごく大きいステージで決勝か何かの機会に演奏して。確かデモテープとか送って、決勝に出て。ハウスとんがり大賞っていうのをもらいました(笑)ハウスとんがりコーンの1年分。
そのときは20人くらいの大所帯で、打楽器をみんなやったり、ドラムと、ベースもいたのかな?ドラム、ベース、キーボード、あとはみんな打楽器、みたいな編成で、歌ったりとかして。「Take Five」とかのジャズも演奏しましたね。
子どもの頃はそういう何か企画したりとか、歌ったり演奏することは、喜んでもらえたり褒めてもらえることで、自分に少しだけ自信が持てるもの、っていうのはあったかもしれない。
-先ほど仰っていた、誕生日会や、友達の送別会のような企画事に関して、最初の成功体験や思い出に残っていることってありますか?
マダム:そうだな…でもやっぱり、友達の送別会ですね。いろんな演目を決めて、「エンディングはやっぱり泣かせたいよね」と思って(笑)
今でも覚えてるのが、光GENJIの「Graduation」っていう曲があって。すごく良い曲があって、その曲を最後に流して歌って泣くっていう。企画事で覚えてるのはそれかなぁ。
『音楽と関係ない、近所の人。そういう人たちに、カールモールをもっと知ってもらって』
10.カールモールでランチ営業を始めたきっかけを教えて下さい。
マダム:ランチ営業は、さっき話したみたいに、お店として安定した収入が欲しいなっていう部分と、あとはうちの娘が保育園に入ったタイミングで私の昼間の時間帯が空くから、その時間帯にランチをちゃんと再開したいなってずっと思ってたんです。
でも、なかなかそのタイミングが難しいなぁと思っていたときに、カールモールの向かいにヨドバシカメラの本社ができて、「せっかくならこのタイミングで始めようか!」となりました。
あとはやっぱり新しいお客さんの獲得だよね。その、音楽と関係ない、近所の人。そういう人たちに、カールモールをもっと知ってもらって、例えばバータイムとかにも来てくれたり、お店を知ってもらいたい。あとは単純に私が食べるのとか料理がすごく好きっていう。それくらい、かな。
-では今回、満を持して始めたということですね。
マダム:そうそう。でも、リニューアルするなら、「ちゃんとみんなに良いって思ってもらえるものにしたいね」って言ってて。
ランチも打ち合わせ自体は割と前からずっとしてて、でも食器どうしようとか、そういうのって動き始めないと全然進まないから、「じゃあこの日にやりましょう!」って決めて、食器を買ってきてこういうのでどうだろうって組み合わせてみたりして、今の形になって。
-ランチのメニューはどういう風に決めてらっしゃるんですか?
マダム:メニューは、一応、忙しくなってもすぐに出せるメニュー。それと、カールモールの雰囲気に合ったもの。メインに関してはね。
あとは、やっぱり日替わりで、出来合いのものじゃなくてちゃんと手作りで何か毎日違うものっていうのは作りたくて。あと野菜とデザートはあると嬉しい。っていうので、いろいろと、「じゃあ何にしようか」と考えて。
お惣菜は忙しくないときには私がその日良さそうな野菜とか買ってきて、手間のかからない、意外と美味しいものを作ってます。と言いつつ、最近あまりに事務作業などが忙し過ぎて、お惣菜はマスターの手作りばかりです(笑)
カールモールのランチメニュー(各¥1,000(税込))※2020年2月現在
-では、日替わりメニューはマダムさんが日々考えてらっしゃるんですね。
マダム:そうそう。企画を考えるより、今はこっちの方が楽しい(笑)だって、主婦だから、料理を考えるとかは毎日の日常的なことだから。あとは、テレビとか雑誌とかネットで見てて、「これをこういう風にすると、いいな」と思って作ってみたら「これいいじゃん!」ってなったりとか。けっこうそういう、生活の中の知恵が、仕事に活きてますね。
でも私、こうやって「主婦なんで」とか言ってるけど、自分が主婦っていう感覚が気薄なんだよね(笑)
『ランチに来てくれて、その日の夜に飲みに来てくれたお客さんがいて』
11.ランチ営業の状況、印象に残っているエピソードを教えて下さい。
マダム:意外と人が来てくれる、っていうことと、あとは、こないだ1人、ランチに来てくれて、その日の夜に飲みに来てくれたお客さんがいて。そういうのってすごく良いなって思って。
-それは素敵ですね!
マダム:やっぱりバータイム開けてても、知らない人がふらりと知らない店には入らないからね。
例えばお昼に来た客さんが、「ここ、夜は何やってるんですか?」って聞いてくれるから、多分、お店に入ってすごく興味を持ってくれてる人がいっぱいいるんだなっていう印象はすごくあって。
なんかその、音楽じゃないところの新しいお客さんっていうのはすごく新鮮。うちって、別に音楽だけやりたいからやってるお店とは違うから、カールモールというお店を知ってもらうのがまず大前提にあるから。そういう意味では、ランチをきっかけに、そういう風にお店を知ってくれたりとかするのはすごく嬉しいですね。
-では、ランチの営業状況は順調なんですね。
マダム:そうですね。割と5月も、全部で43人くらい来てくれたのかな?まぁ、そこそこじゃないかっていう。
人数的に限定10食にしていて、もちろん1日10人来てるわけじゃないけど、でも、始めて1ヶ月で、これくらいかなぁと思ってます。
よりブラッシュアップして、「じゃあ、今度こういう風にしてみよう」って、土日の企画で培ったものをランチに応用するっていう上では、全然、いくらでもまだやってないことはいっぱいあるから。全然まだまだ、伸び代しかないっていう。そっちの方が楽しいよね。
-そうですよね。では、まだまだ実現させたいアイデアが色々あるんですね。
マダム:そう、いっぱいあります。
取材時に頂いた、懐かしのチキンライスセット
『カールモールを100年続けたいです』
12.今後の目標を教えて下さい。
マダム:カールモールを100年続けたいです。そして、そのためにも来年の50周年を無事に迎えたいですね。
-ちなみに、100周年のカールモールはどんな風になっているか、想像できますか?
マダム:いやぁ…何も想像がつかないよね(笑)なんか、でも、カールモールってそういうお店なのかなっていう気がする。きっと、全然違うかもしれないし、でも全然違うんだけど、なんかカールモールらしいよねっていうものは、必ず根っこにある形にはなってるかなと思ってて。
まぁ、分かんないですよね。そのときに、誰がこのお店をやってるかも想像がつかないし。でも、続いてるとしたら、必ず良い部分だけが残った状態で、新しいものに進化してると思うし。それは、今もそうだしね。
-そうですね。今回50周年を迎えるタイミングでもそれは同じですよね。
マダム:そうそう。ハード面の部分もそうじゃない?例えば、今だったらマイクがちゃんとSHUREのSM58があるっていう状態になって良かったねっていう(笑)そういうのとか、新しいものをちゃんと取り入れられる頭の柔らかさを持って、続いていってほしいかな。
うちは古いお店だけど、例えばPayPayを導入したりとか、クラウドファンディングをやったりとか、プロジェクターとかDJ機材とか、「このお店にそういうのあるんだ!?」って思われることは常にやっていきたいですね。
-娘さんがカールモールを継いでいる可能性はありそうですか?
マダム:どうなんだろうね(笑)でも、それは分かんないなぁ。そうなってくれたら、嬉しいけど、でもそれは彼女の人生であって。
別になんだろう、ほんとにお店を継ぎたいって思って継いでくれるんなら良いと思うし。でも、まずはちゃんと他の所で働いてほしいかな。
仮に、娘が二十歳くらいになったときに、カールモールがすごく盛り上がってるとして、急に「私、社長です」みたいに言いだしたらどうしよう(笑)絶対あの子調子に乗るから、そういうの(笑)そういう感じとかじゃなく、ちゃんと社会経験を経た上で、「これをお店に活かしたい」とか、そういう思いでやりたいって言ってくれるなら、それはそれでありがたいかなぁとは思うけど。
そこは、ちゃんとマスターの思いや私の思いを全部引き継いでくれる人であれば、娘でなくても構わないかなっていう。
血族がやるとね、いろいろ面倒だと思うんだよね。私とマスターは血縁がないじゃん?だからちゃんと、遠慮とか、きちんと距離を持っていろんな物事を進められるけど、家族とかになると絶対にそうはできないと思うんだよね。お互いにね。
だからそういう意味では、どうなんだろうね。分からないな(笑)
創業50周年記念パーティーにて、マスターとマダムによるシャンパンタワー
『50周年って区切りではあるけど、全然ゴールとかではないし、スタートとして』
13.カールモールの今後の予定や、PRポイントがあれば教えて下さい。
マダム:とにかく50周年を迎えるために、クラウドファンディングをぜひ達成したいですね。達成できることによって、来年2020年のスタートに、すごくいろんな新しいことが始められる可能性があるというか。
もちろんそれは、お金がどうこうじゃなくて、お金もあったらより可能性や選択肢が広がるっていう部分では、いろいろやりたいので、やっぱりまず、みんなで楽しく、良い形で迎えられるように頑張りたい。それで、カールモール50周年をきっかけに、知ってくれた人が、また何かやってくれたりとか。
50周年って区切りではあるけど、全然ゴールとかではないし、スタートとして。スタートラインによりたくさんの人がいて、新しいスタートが切れることがすごく理想かな。
あとは、音楽以外のジャンルの面白い人たちがもっといっぱい出てくれたらいいなって思ってます。
-それも面白そうですね。
マダム:特に、トークショーとかすごくやりたくて。音楽以外のジャンルの人たちがいっぱいやってくれたら面白そう。
-例えば、こういうトークショーが面白そうってありますか?
マダム:すごく些細な、個人がものすごく個人的に興味を注いでいることを、みんなに共感されるかどうか分からないけど、そういうのって面白いじゃないですか。
-面白いですよね!それこそ、この前の*イチキさんの2サスのトークショーも。
*イチキ游子さん…カールモールの常連アーティストでもある、歌手・ガレージ女優。2時間サスペンスドラマへの造詣が深く、2サスの魅力をプレゼンするトークショーをカールモールで開催されている。
マダム:そうそう!ああいった、自分がすごく愛を傾けているものを発信することで面白さが生まれるっていう。別に、ためになる、ためにならないじゃなくて、なんかやっぱり、面白くありたいですね。
『健康、笑い、おいしい食事。以上!』
14.今生きているこの人生に関するこだわりや、どんな人生にしたいかを教えて下さい。
マダム:健康、笑い、おいしい食事。以上!
-大事ですね!
マダム:それに尽きるかなぁ。だんだんシンプルになっていきますよね。
まず、健康が一番に来るところに老いを感じるよね(笑)まぁ、当たり前なんだけど。
でもやっぱり、自分の健康だけじゃなくて、親も年をとってきたり病気したりとかっていうのを見たり。あとやっぱり、私くらいの年齢になると、ちょこちょこ若くして亡くなったりする人とか、あとは病気になったり、最近そういうのがけっこう多くて。あとは単純に娘を二十歳まで育てないといけないし。あとは健康じゃないと、楽しくないし、おいしいご飯も食べれないっていう、当たり前だけどとても大事っていうこと。
「どんな人生にしたいか」って質問、すごいね(笑)でも、最後死ぬときには、笑いながら、おいしいものをひとくち食べて死にたいなっていう。家族とか、好きな人にちゃんと見守られて。畳の上で死にたいよね(笑)
15.あなたを構成する9枚の作品を教えて下さい
1.槇原敬之 『君は僕の宝物』
2.スピッツ 『ハチミツ』
3.スピッツ 『空の飛び方』
4.Carpenters 『青春の輝き〜ベスト・オブ・カーペンターズ』
5.France Gall『Poupee De Son / フランス・ギャル・グレイテスト・ヒッツ』
6.The Cardigans 『Carnival』
7.勝手にしやがれ 『シュール・ブルー』
8.山崎まさよし 『ステレオ』
9.pupa 『floating pupa』
【プロフィール】
千葉県生まれ。
OLと両立しながら音楽活動中に、カールモールに出演するようになる。
マスターからオファーを受けて2012年8月にカールモールのマダムに就任。
2019年2月、カールモール発の自主レーベル『カールモールレコーズ』を設立。
同年5〜6月に『カールモール50周年記念プロジェクト』としてクラウドファンディングを実施し、目標の2倍以上となる金額を達成する。
2020年1月、自身が完全監修した新宿カールモール50周年記念コンピレーションアルバム『新宿琥珀倶楽部』を全国リリース。
【リリース情報】
50周年記念コンピレーションアルバム『新宿琥珀倶楽部』
KMR0001 (ブリッジ) 税込2,200円
「新宿」という街で50年続く不思議なライブ・サロン「新宿カールモール」の創業50周年を記念して制作されたメモリアル・コンピレーション・アルバム。一癖も二癖もある才能しかないカールモール所縁のアーティストを15組収録した至極の一枚。
まるで歌のような詩の朗読、五感、六感を揺さぶられる音楽のみを収録しました。レトロでクラシカルな店内を舞台に繰り広げられる白昼夢のような演目を、1曲目から15曲目までどうぞご堪能くださいませ。