タイトル:ATM
※本人の楽曲を聞きながらインタビューを読めます
『冷静な判断ができなくて、とりあえず一塁まで走って、デッドボール』
7.音楽をやっていなかったら何をやっていますか
ootee:なんだろ、やっていないかな。
音楽をやっていなかったら、何をやっているんでしょうね。今だったらYouTuberをやってみたいとか思うかもしれないとか…全然、想像つかない。
-野球をずっとやられていたんですよね、「野球選手になる」というのはなかったんですか?
ootee:いや、全然下手なんで。
-進学はスポーツ推薦だったんですか?
ootee:公立なので、スポーツで受ける予定だったんですけど、その時期体育の授業かなんかで普通に足を捻挫して、投げたり打ったりできなかったんですよ。
その時、前期試験、後期試験、今でいう推薦と一般入試みたいなのがあって、前期は小論文で、小論文の意味が分からなくて、こっちは無理だなって。
自分がやっていることに関して小論文を書くか、野球だったら野球、サッカーだったらサッカーの実技をやる選択肢があったんですけど、小論文て意味わかんないので、受けなかったんですよ。
それで一般入試で、テスト全然できていないんですけど、何か野球部の力が働いたのか、受かって。
人生経験で言うと、3年生の最後の夏にランナーコーチをやったのがでかいですね。自分が3年生になった時の練習試合でスクイズをしたときに、結構なスピード130後半ぐらいで、ボールが顔面に飛んできて避けたら指に当たっちゃって、冷静な判断ができなくて、とりあえず一塁まで走って、デッドボール。
「痛いな」と思ったら、指が裂けて血で真っ赤になっていたんですよ。その怪我から、何もできなくなって、投げるのもできないし。
それで、最後の試合はランナーコーチになって。人数が多い名門校とかだったら、3年生で試合に出れなくてスタンドで応援とかも多いと思うんですよ、自分はスタンドではなかったんですけど。
その時はそこまで人数多い高校じゃなかったので、自分以外3年生とかは試合に出てて、挫折とは言わないですけどみじめな思いをする。普段野球部でスクールカーストも上で、ウェイウェイとかなってはいるものの、そんなにうまくいっていないという葛藤を抱えながらいましたね。
『仕事は金儲けなんで、素直に納期を守ったりするんですけど、その分仕事以外は仕事感覚を持ちたくないなって』
8.表現形式に関するこだわりを教えてください
ootee:なるべく自分でやりたいですね。
トラック、作詞、REC、マスタリングも自分でやるのが理想。
理由は明確なんですよ。本当に納期の感覚がよろしくなくて、仕事みたいになるじゃないですか。仕事は金儲けなんで、素直に納期を守ったりするんですけど、その分仕事以外は仕事感覚を持ちたくないなって。「一緒に曲やろうよ」とかポッと言っちゃうんですよ。ただ、すぐにはできない(笑)
こだわりという感じではなくて、そういう予防線を張っているのはダサい感じなんですけど。仕事が早いみたいなの全然なくて、仕事だと思っていないので。
-もともとバンドをやられていて、結果的にHIPHOPを選択された理由は?
ootee:バンドとか、誰かとやるのに向いていないというのを知っているからかもしれないですね。
キャラクター的に自分の表現をするのは言いたいこと、ズバズバ言えるんですけど、仲間に「練習して来いよ」とか「何でそこ、そんなにもたるの?」とか言えないタイプなんですよ。あんまり向いていないですね。
自分は結構頑張ってやると思うんですけど、「自分はそうじゃないと思う」って言われたら、「そう思うんだぁ」って、他人のことは変えようと思わないタイプですね。一緒にイベントとかでやるのは楽しい。でも納期を決めて一緒にモノを創り上げていくのは、好きだけどすごい下手なんですよ。
そんな感じですかね。
『めちゃくちゃネガティブな感じで、イメージ的に死ぬのが怖いって思っているタイプ』
9.今生きているこの人生に関するこだわり、どんな人生にしたいですか
ootee:自分がカッコいいなと思いこみ続けられているのが、一番いいですね。なんか思い残しとかってあったら嫌だ。仕事とかでもそうですし、色々こう上がり下がりあると思うんですよ。最終的に自分はカッコいいなと思い続けられるように、それがいいなと。
あんまり、でも考えたことないですね。
-話が飛びますが、死に対してどういう感覚をお持ちですか?
ootee:めちゃくちゃネガティブな感じで、イメージ的に死ぬのが怖いって思っているタイプ。イメージできてしまう。
小学生ぐらいの時にほんとうに何もわからないんですけど、「火垂るの墓」の本を読んでいたんですよ。
あの時、中島みゆきの「浅い眠り」という曲が流行っていて、それこそ有線とかでかかっていて、その浅い眠りは歌詞の内容は死とか全く関係ないんですけど、そのメロディラインと火垂るの墓の内容がすごい勢いで脳内でリンクして、超怖いと思って全く寝れなくなっちゃたんですよ。
そこでトラウマみたいになっちゃって、「死んだらどうしよう」ってさすがに困って。
「死んだらどうなるんだろう」って親に聞いた時に、ウチのおかんはあっけらかんとしていて放任主義で「だいじょうぶ、死んだら死んだことわかんないから」って。「それはそうだな」と思って、それで解決している感じですね。
無くなってしまうことは怖い。それは思いますね。だからこそ、いろいろ出来ることをやっていきたいなと思いますね。
-浅い眠りとと火垂るの墓がマッチするのはわかります。
ootee:そうですよね。歌の歌詞とかも中島みゆきに限らずなんですけど、小学校の低学年なんか歌詞の意味とか掴めなくて、メロディラインと歌い方だけ残るんです。それとリンクして、「やっば…死んじゃうんじゃん」って、結構でかかったすね。
中島みゆきの表現力は人生を変える力ってたっぷりあると思います。色んな意味で。
10.あなたを構成する9つの作品を教えて下さい
※左上より順にコメントを頂いています
・「Life time」GRAPEVINE
最強の名盤です。自分の音楽の基礎
・「sculpture of time」ラクリマクリスティー
打ち込みを使わないで、全ての音を自分達が出せる音でやるってバンドの拘りが好き
・「first time」モーニング娘。
モーオタだったので、しかもファーストアルバムが一番好き
・「最終兵器」キングギドラ
高校生の時で、日本のHIPHOPはこのアルバムが一番衝撃が大きかった
・「ride in to the party」DJ KAORI
ゴリゴリのラップミュージックばっか聴いてるときに出会って、オシャレ系のクラブミュージックにはまりました
・「第3の男」童子-T
18で車乗り出した頃で、一番カーステで聴いていたから記憶が強烈
・「BLACK LIST」Acid Black Cherry
異性関係の謎の「パラダイス期」みたいなのがあって、その時よく聴いていたから
・「ラッパ我リヤ伝説」ラッパ我リヤ
ラップの基礎、全ての韻にやられたし、今でもリリック丸暗記出来ている
・「Mega City Five」DOBERMAN INC
すべてのトラックが衝撃的、病んでいた自分が立ち直るきっかけになった「MEGA SHININ’」
【アーティスト情報】
【プロフィール】
キングギドラ、ラッパ我リヤなどの日本語ラップに人生を導かれた中学生からのヘッズ。
2015年、MCバトルブームに触発され、「自分もマイクを持っていいんだ」と思い立ちラップを始める。
「胎動 BATTLE OF STREET」、「闘魂MC BATTLE」、「小江戸MC BATTLE」などのMCバトルで優勝、2018年「MC BATTLE THE罵倒」群馬代表。
作品では完全自主制作のアルバム「ワードローブ」を、ストリート手売りで完売。以降もLIVE、制作ともに止まらず続けている。トラックも自ら創作、ウィットとライムを大切にしたリリックでリアルを伝える。