「尊敬してる、みんなのことを。めっちゃ大事に思ってる」
4人で描く、シロイソラの景色(後編)
左から、ボーカル&ギター・古屋ひかりさん、ベース・縫部たまきさん、キーボード・田中琴音さん、ドラム・近藤宇音さん
タイトル:温室
※本人の楽曲を聴きながらインタビューを読めます
「ポップじゃないガールズバンド」というキャッチフレーズを掲げ、都内を中心に活動するバンド、シロイソラ。
「彼女たちの音楽は一体何をルーツにして、どこから生まれてくるのか?」という謎に迫ったロングインタビューの後編です。
前編では、バンド結成前からメンバー間でそれぞれ繋がりがあったことや作品の作り方など、初期の音源から既にシロイソラの世界観が確立されていたことを裏付けるエピソードを聞くことができました。
後編は「今後の目標を教えて下さい」からスタート。そして音楽とは離れた話題を話す中で、4人がどういった考え方を持ち、それがどのようにバンドに影響しているかが見えてきました。
また、最後には4人それぞれの「私を構成する9枚」を公開。
この4人だから描くことができるシロイソラの景色。その色の重なりに焦点を当てていきます。
『続けるって大事だなって、最近より思うようになりましたね』
<インタビュー>
7.今後の目標を教えて下さい。
田中琴音(以下、たなか):バンドとしては、「続けたい」っていうのがありますね。
縫部たまき(以下、ヌイベ):自分も。
たなか:どこに行きたいとか何になりたいっていうよりは、続けたいなって。
-自分もバンドをしているので、すごく分かります。
ヌイベ:バンドを続けてて、ずっと成長し続けている実感があるから、楽しいって思えてる。
自分としては、ちゃんと成長し続けながら、バンドを続けたいです。
たなか:3年やってるとさ、もう辞めてるバンドとかいるじゃん。昔共演したバンドで。
だから結構、続けるってことだけで価値があるんだなって最近すごく思う。
ヌイベ:単純に数が減るよね。
たなか:先輩になっていく。プレッシャーは感じるけどね(笑)でもそれも、スパイスというか。
だから結構、続けるって大事だなって、最近より思うようになりましたね。
-バンドとしての音楽もマンネリにならずに、音楽性も新しいものを色々取り入れて進化し続けているのがすごいと思います。
ヌイベ:おんなじような音楽をずっとやってると自分が飽きてきますね。
もうこれはやったから違うのやりたいって。
古屋ひかり(以下、ひかり):でも、毎回新しい感じの曲を作ってきてくれる。
たなか:ヌイベ本人はあんまり意識してないかもしれないけど。
ひかり:毎回すごいって思う。だからこっちも飽きないし、いつも楽しみにしてる。
たなか:そうそう。楽しみだよね、毎回。
ヌイベ:頑張らないと(笑)
-メンバーの皆さんのそれぞれの目標はありますか?
ひかり:まだまだ、自分たちの音楽を聴いてる人って少ないと思うので、もっとたくさんの人に聴いてもらうのが今の目標です。
もっとほんとに、いっぱい聴いてほしい。
そういった意味で、配信ライブをやって正解だったって思います。
たなか:シロイソラの音楽性と相性は良いよね。前から、シロイソラを聴いてくれる人たちは、ライブに足を運ぶタイプではないかもしれないみたいな話をしてて(笑)
ヌイベ:あんまり外に出てこないよね。
たなか:そういう人たちにはなかなか会えないよね。
ヌイベ:自分がその立場だったら行かないと思う。ライブハウス怖いし(笑)
たなか:ライブハウスに行くってちょっとハードルあるし。だから、配信ライブは良いきっかけになったね。
ヌイベ:他に目標ってある?
たなか:さっき言った「続けたい」っていうのはやっぱりそうで、あとは、ヌイベに呆れられないように(笑)
ヌイベ:ないないない(笑)
近藤宇音(以下、ねね):私もいっしょで、バンドを続けたいっていうのと、あとはなんだろ…(笑)
たなか:個人として音楽をやってるっていうよりは、「シロイソラとしてやってる」の方が強いよね。
ねね:でもさっき言ったように、たまちゃん(ヌイベさん)に言われたことをパッとできるようになるのが目標。
ヌイベ:もう十分クリアしてるよ。
たなか:この前テレビで、ゲスの極み乙女。の川谷絵音さんが出てて。
ねね:関ジャムかな。
たなか:そうそう。関ジャムの昔放送された回が流れてて、川谷さんと番組のレギュラーメンバーが話してたんですけど。
曲作りの様子をスタジオでやってて、そしたら川谷さんも曲作りのときに「こうして」っていうのを雰囲気で話すタイプで。
川谷さんもヌイベタイプだった。
ヌイベ:っていうより、自分が川谷さんタイプなんだよ(笑)
たなか:でも、ゲスの極み乙女。のメンバーはそれをすごく汲み取りながらやってて。それを見て、もっと汲み取るスキルを上げたいなって思った。
ヌイベ:それはありがたいです(笑)
ヌイベ:自分はベーシストとしては、始めたときからずっと目標にしてるのが、音数を少なくシンプルにして、いかに説得力のある音を出せるかっていうのを追求しています。
あんまりベースでごちゃごちゃやってるのが単純に好きじゃない…潔くないと思っていて。
ベースの役割はやっぱり、その名のとおり「支える」ってことだと思っているので。
このバンドでやるときは結構好きなようにできるので、他のパートを「こんな感じにして」って言っておいて、自分は好きなように、いかに音数を少なく削るかとか、そういうのを追求して今もやってます。
たなか:めっちゃまともだった。自分が恥ずかしくなってくる(笑)
ヌイベ:ちゃんと考えてるから(笑)メンバーには、今のまま、このままでやってほしい。自分が好きなようにやるから(笑)
-確かにヌイベさんのベースからは、そういったこだわりが伝わってきます。
ヌイベ:良かったです。
たなか:良いよね、ヌイベのベース。
ヌイベ:「シオン」でも、曲でベースあまり動かないじゃん。ずっとルート弾きだけして。
たなか:でも、弾かないのに、ベースがいないと曲が成立しない。
ヌイベ:そう、それを目指して作った。
たなか:あの曲、めっちゃ最初の頃に作ったじゃん。すごいよね。
ヌイベ:構成をめっちゃ考えてる。ギターだけだったらさ、ずっと同じじゃん。
ベースが入って初めて芯が通るみたいな曲を作ろうと思って。それは結構明確に考えてた。
ひかり:ギターのフレーズはずっと繰り返しだもんね。
-それと、メンバー間ですごく褒め合うじゃないですか。Twitterでリプライし合ってるのをたまたま見かけて(笑)、すごく良いバンドだなって思いました。
たなか:なんか申し訳ないです(笑)
ヌイベ:大事だよね。
たなか:別に褒めてるとかじゃなくて、普通にメンバーの演奏が好きなんだよね(笑)
ヌイベ:確かに(笑)
ねね:感想を言ってるんだよね。
たなか:そう、感想がたまたま褒め言葉になってる。直接言うのは恥ずかしい(笑)
ひかり:シロイソラのメンバーであると同時に、リスナーでもあるっていう気持ちがあって。
ヌイベ:確かにね。尊敬してる、みんなのことを。めっちゃ大事に思ってる。
たなか:配信のときもずっと褒め合ってるから、どうなんだろって(笑)
ひかり:でも、心の底からの言葉なので、それ以外逆に思いつかない。
たなか:じゃあ他に何をしゃべろうって。
ひかり:何もしゃべれなくなっちゃう(笑)
-少し話が逸れますが、スタジオ以外に4人で遊びに行ったりってあるんですか?
ヌイベ:あんまりないかもしれないです。
たなか:4人ではあんまりない?
ヌイベ:たなかとご飯とか行きたいけど、誘っていいのかな?って(笑) 一番忙しそうだから。
たなか:急に呼ばれるのはちょっと苦手で、3日前くらいに連絡くれれば(笑)
ひかり:自分がたぶん一番フットワーク軽くて。予定立てずにパッと会ったりしてます。
ヌイベ:呼んだらその日に来てくれる。「今から町田来れない?」って。
たなか:2人はそうやって会ってるイメージがある。
ひかり:今はなかなか集まれない状況ですけど、前は週に1回はスタジオに入ってました。
ヌイベ:結局、結構会ってるんだよね。
-週1で集まってたらそうですね。
ひかり:ライブも月に1回はやってました。なので、ライブのときは「ご飯何食べる?」とか。
ヌイベ:それも含めて楽しんでるよね。
『お金が集まってるところは、今世の中の人たちが興味を持ってるところなので』
8.お金についてどう思いますか?
ひかり:バイトをたくさんしてます。音楽も続けたいし、旅行に行くのも好きで。
ヌイベ:よく行ってるよね。
ひかり:めちゃくちゃ働いて、その分めちゃくちゃ遊びます。
ヌイベ:経済回してるよね。
-旅行はいろんな場所に行かれるんですか?
ひかり:海外も、国内も行きます。ゲストハウスに泊まったりしてますね。
-思い出に残っている場所はありますか?
ひかり:国内なんですけど、四国ですね。愛媛だけ回れなかったんですけど。
高知が良いなって思って。車が運転できるとすごく良くて、海沿いをドライブできるし、海のそばまで行けるし、海沿いに観光スポットがちょうど立ち並んでて。良い所でした。
行くまでは高知ってどういう場所かあんまり想像できなかったんですけど、「こういう所なんだ」って思いました。
あまり下調べとかせずに行っちゃいます。
たなか:お金は、「心の余裕」みたいなものですね。普通にちゃんと稼ぎたいタイプで。
でも、ひーちゃん(ひかりさん)みたいに「旅行に使いたい」とか明確な目的があるわけじゃなく、いざというとき、「何かやりたいな」って思ったときにお金があればすぐに実行できるっていう意味で、あった方がいいなと思います。
ねね:お金の使い方としては、例えばライブやフェスに行くのに使ってたんですけど、それが今なくなったので貯金できてます。
ヌイベ:自然と貯まるね。
ねね:洋服買うのとライブ行くって感じだったんですけど、洋服も服屋で働いてるので社割で買えて、服にもお金を使わなくなって(笑)
あとはスタジオ代とか。旅行とかで大きな額を使うことはあんまりなくて、ちっちゃく使っていく感じですね。
たなか:私もそういうタイプ。目標を持って貯金したりはあんまりしないかも。
ひかり:逆に目標があって一気にバッて使っちゃう。貯める目標がなかったら、そんなにバイトしてないと思う。
ヌイベ:自分も、大きな何かに使うとかは全然なくて。お金そのものにはあんまり興味がなくて、お金の流れに興味を持ってます。
お金が集まってるところは、今世の中の人たちが興味を持ってるところなので。
結局人間の心理というか、「この人たち何考えてるんだろう」っていう、そういうところに繋がっていくんだと思います。
そういうことの一環として、ほんとにちょっとなんですけど、株もやってます。
増やすためというよりは、世の中がどうなってるのかなっていう、流れに興味があります。
でもさすがに、生きていけないほど減ったら困るので、最低限は貯めておこうかなっていうくらいですね。
-株を始める動機が興味深いですね。
ヌイベ:親の方針もあって、大学生のときに「株やりなさい」って言われて。
元々は興味なかったんですけど、勉強の一環で。
ひかり:普通は「ちょっと株やってみようかな」って言ったら止められるよね。
たなか:どっちかって言うとね。
ヌイベ:親もたくさん稼ぐとかではないんですけどずっと株をやってて、社会との繋がりの一つっていう見方をしてますね。
お金の考え方は、親の影響が大きいかもしれないです。
たなか:ヌイベは良い意味でご両親の影響を受けてそう。
ヌイベ:めっちゃ受けてる。昔は抵抗あったけど、今は考え方も含めて親のことを面白いなって思ってます。