シロイソラ

左から、ボーカル&ギター・古屋ひかりさん、ベース・縫部たまきさん、キーボード・田中琴音さん、ドラム・近藤宇音さん

タイトル:シオン

※本人の楽曲を聴きながらインタビューを読めます

『住んでる街を自転車でずーっと回ったり』

9.音楽をやっていなかったら、何をやっていると思いますか?

ひかり:自分は言葉をすごく大切に思っていて、中学生くらいの頃からよく書き溜めてるんですよ。
最近小説みたいなものを作って、ちょっと投稿したりとかしたんですけど。
自分を表すツールとして、言葉しかないんだろうなって思ってます。

-もし音楽をやっていなかったら、そういった執筆に打ち込んでいたかもしれないんですね。

ひかり:そうだったかもしれないです。

-表立って発表されてはいないんですか?

ひかり:あんまり考えたことはないですね。最近、それこそ自分がどれくらいできるか試す意味で取り組んだので、これからそれを続けるのか、どうやって向き合っていくのかは、まだ考えてないですね。

-曲の歌詞は書かれるんですか?

ひかり:歌詞とか考えてた時期もあるんですけど、自分は結構言葉が溢れてくるみたいな感じで、少ない言葉でたくさんの意味を表すっていうのは難しくて。歌詞には向いてないんじゃないかなって思って。

ヌイベ:難しいよね。

ひかり:自分の中で、これからそうやってやっていくのかなって感じです。

ヌイベ:メンバーみんなで読ませてもらったんですけど、もっと書いてほしいって思いました。面白かった。

ひかり:これからたぶん、もっとやっていくと思います。

たなか:私はバンドをやってなかったらっていう意味だと、普通に音楽を聴くのが好きなので、趣味の1つとして音楽を聴くっていうのは今と変わらずやると思うんですけど。

それもなかったらっていう意味だと…普通に過ごしてたかもしれないです(笑)
仕事は今もしてますけど、普通に仕事して、週末ちょっと遊んだり…アニメ見たりゲームしたりは今もするんですけど、音楽やってなくて時間があればもっとするだろうし。
他の創作活動を代わりにやるかって言われると、たぶんやらないだろうなって気がします。

ヌイベ:お花で何かを作ったりしてなかった?

たなか:フラワーアレンジメントね。あれは親の影響でちょっとやってた。見様見真似で、お正月の花飾りを作ったり。
でも何か作るのはそんなに得意じゃない。

ひかり:でも、詩を書いたりしてなかった?

ヌイベ:めっちゃ良いじゃん。

たなか:もしかしたら、一番創作でやりそうなのは詩集を作るみたいな方向性かもしれません。

あんまり1人でコツコツ練習するのもできないタイプで。音楽も1人でやるタイプのものだったらたぶん続いてなくて。
バンドでやってるから、自分もちゃんとやらないといけないし。

ほんとに楽器が好きで、練習も毎回楽しいっていう人もいっぱいいると思うんですけど、そういうタイプかって言われると正直そうではなくて。
バンドをやるっていうことのために練習もやる。
重ねていくことに意味があるような創作は、1人だったらやらないと思います。

ねね:私はとりあえず、趣味をもっと増やしてるかなと思います。
1人じゃできないこと、例えば誰かといっしょに創作活動をしてたかなと思うし、やりたいなと思ってます。

サイクリングとかも好きで、バンドを全くやってなかったら、ジムに通ったり、ボルダリングとか、そういう運動系もしてたかなって思います。

たなか:すごい長距離のサイクリング行ってたもんね。

ねね:そう、上野まで行って。

ヌイベ:信じられない(笑)

ねね:友達といっしょに行って、往復8時間くらいでした。

たなか:私はバンドに入るまでねねちゃんを知らなかったから、普通の女の子なのかなって思ってたんですけど、それを聞いたときすごいびっくりして(笑)

ヌイベ:結構エキセントリックだよね(笑)

たなか:能力を隠し持ってるよね。

ヌイベ:引き出すといろいろ出てくる。

ねね:*たぶんこういうの誘うとひーちゃんにはイヤだって断られる(笑)

*ねねさんが小学生の頃、同級生のひかりさんを遊びに誘っていたが、体を動かす遊びだと断られていたエピソードから。インタビュー前編の「2.音楽、創作、表現活動を始めるきっかけについて教えて下さい」参照。

たなか:ひーちゃんはよく走りに行ってるんだよね。

ひかり:夜中に走ってる。筋トレとかもたまに、一時的なものなんですけど、やったりとか。

たなか:運動の目的が違うよね、2人は。

ねね:そうだね。

ひかり:自分は衝動的にやっちゃう。ねねは友達と予定立てて行くんでしょ?

ねね:でも、1人でも、住んでる街を自転車でずーっと回ったりする。

ヌイベ:もはやパトロールじゃん(笑)

ねね:そのときも決まったルートがあって、それを3周くらい回って、1時間くらいかけて帰るとかやってました。

ひかり:「今日も異常なし!」みたいな。

ねね:私が異常なのかも(笑)

一同笑

ねね:工事現場とかあると、「この人また来るなぁ」って思われてると思う(笑)
元々サイクリングが好きだったわけじゃなくて、自分の部屋がないから、1人の時間が欲しくて、サイクリングをやり始めたら好きになった感じ。

ヌイベ:分かるような、分かんないような(笑)

たなか:絶妙に分かるけど、それはしないかもしれない(笑)

ひかり:でも、サイクリング良いなって思った。

ねね:今度、自転車を買い替えたいと思っています。

たなか:おぉー。

ヌイベ:すごい。えっと、何だっけ(笑)

たなか:全部ねねちゃんに持っていかれた(笑)

ヌイベ:もし音楽をやってなかったら…自分は何かを作り出すのが好きで、それも抽象的なんですけど。絵を描くのとか、文章を書くのとか、何もないところから何かを作り出すことが好きなので、音楽じゃなかったとしても、別の方法で何かを作ってるとは思います。

あと、基本的に人といっしょに何かやるのが好きじゃないので(笑) 1人で黙々とやりたいので、逆に今なんでバンドを続けてられるんだろうって、結構思うときがあって。やっぱりこのメンバーだからかなっていうのがすごくありますね。

たなか:お互い干渉はしないよね。

ヌイベ:距離感がすごくちょうど良い。

たなか:干渉されるのはイヤだよね。

ヌイベ:「ほっといてくれ」ってなる…(笑)

たなか:分かる分かる。

ヌイベ:基本そういう感じですね。音楽をやってなかったとしても、やってることはあんまり今と変わんないかもしれません。音楽だけが抜け落ちる、みたいな。

『自分の中では理屈があるのに、ダメな理由が分からないっていうことに対しては反抗的』

10.子供の頃のエピソードを教えて下さい。

ヌイベ:みんな、元々の繋がりがすごいよね。

ひかり:自分はマンションに住んでるんですけど、たまちゃんが同じマンションで。

ヌイベ:4階と5階で。

ひかり:自分が物心がついたときにはいたので、いつから一緒にいたのか分からないくらいで。

ヌイベ:自分もよく覚えてない(笑)

ひかり:それで、保育園ってクラスが決まってるじゃないですか。たまちゃんとは2歳離れてるので、一緒にいることはありえないんですけど、特別にたまちゃんがいるクラスに行けて。自分のクラスの子とは遊ばずに、たまちゃんのいる年長組に遊びに行ってました。ほんとはダメだけど、バレてたのかな。

保育園時代のヌイベさんとひかりさん

-物心がつく前から一緒にいるってことになりますよね。

ヌイベ:十何年とかの付き合いだよね。

ひかり:たまちゃんが引っ越してからも会ってるよね。引っ越してからの方が多いのかな?

ヌイベ:そんな気がする。

ひかり:近所だから、ご飯をお裾分けするとかもしてました(笑)
それと自分は兄が3人いて、それもちょっと影響を受けてるのかな。かわいいものよりはかっこいいものの方が好きなのも自分らしいかなって思います。
兄の1人がアニメ好きで自分も影響を受けてアニメを見たり、もう1人の兄が本を読み始めるとその本を読んだり、それについてお互い語ったりします。良い関係だと思います。

-今も仲が良いんですね。

ひかり:仲は良いと思います。

たなか:オンラインで練習してると、お兄さんと話してるよね。

ヌイベ:たまに入ってくるよね。

ひかり:「飯は?」「後で作るから待ってて」って(笑)
母がタイ人で、片言で話してくるんですけど、自分は分かるんですよ。人が何かを伝えようとしてるのは分かるので、そこを意識して人と接してます。

言葉って、例えば日本人同士で言葉は通じるのに言ってることが通じないことってあるじゃないですか。
それも不思議で、母と言葉はあまり通じないのに伝えたいことは分かる。それは親子だからっていうのもあると思うんですけど。
でも、「この人は一体何を伝えたいのか」というのを思いながら、自分は人と接しているつもりです。

争いごとが嫌いで、どこかで分かり合えるところがあるんじゃないかって思います。

-先ほどお話しされていた、「言葉を大事にしている」ということと繋がりますね。

ひかり:そこから来ているのかもしれません。片言でも伝わる日本語とか、無意識にそういうのを探しながら接してたので、だから言葉にはこだわってるのかなって思います。

たなか:私は、ヌイベとは高校のときに部活で知り合ったんですけど、その前の話をすると、結構優等生タイプで学級委員とかやってました。小学校のときは学級委員で、中学では生徒会をやったりして。別に根がすごく真面目なタイプではないんですけど、取り繕うのが上手いのかな(笑)

ヌイベ:高校生のとき、「真面目系クズ」って言ってたのを覚えてる(笑)

たなか:そういうところはあるのかな(笑) でも、高校に入ってから、ほんとにやりたいことをやるようになりました。部活もそうだし。中学までは、どっちかって言うとやった方が良さそうなことをやる場面も多かったかなと思います。

生徒会は活動中は楽しかったし、部活が面倒なときも生徒会に行ったりして(笑) そういうタイプでした。
昔から、人前に立つのが元々好きみたいで、そういうのをやってたっていうのはありますね。

ひかり:しゃべるときに安定してるよね。

たなか:小学校か中学校のときか忘れたけど、委員会とかで人前に出てしゃべったときに、「聞き取りテストのしゃべる人みたい」って言われた(笑) 特に小学校とかだと原稿を見ながらしゃべるから。
緊張は普通にするんですけど、目立ちたいタイプでした。

ねね:私は一人っ子で、結構1人でも楽しめるタイプで。2人でやる用のゲームを1人でやったり(笑)
小さいときは、テレビ番組の「VS嵐」でやってるローリングコインタワーがどうしてもやりたくて、おはじきを使って遊んでました。

そういうのが影響して、自転車でどこかに行ったりするようになったと思います。
あとは、どちらかというと目立ちたくない派だったので、ギターからドラムに変えたらすごくしっくり来ました。

でも、1人遊び以外にも、新しい遊びとかを考えるのが好きでした。鬼ごっこの進化形とか、小学校6年間で自分で生み出した遊びがめちゃめちゃあると思います。

ヌイベ:保育園のときや小学生のときは結構クソガキでした(笑)保育園からもよく脱走したり。
家の近くに誰も使ってないよく分からない物置があって、「誰も使ってないんだから壊してもいいじゃん」って思って、ひーちゃんのお兄ちゃんと保育園のときに石投げて窓ガラス割って(笑)

ひかり:全然使われてなかった所だよね。家で私が親に「2人がこんなことしてた」って話したら、私の兄が「たまき(ヌイベさん)の方が石を投げるスピードが速かった」って言って。

ヌイベ:「速い分、空いた穴が小さかった!」ってめっちゃ興奮して報告してた(笑)

ひかり:それを1人で力説してて。

ヌイベ:「速く投げる方が穴が小さいんだよ!」って。

たなか:何も悪いと思ってなかったんだね(笑)

ひかり:「そういう問題じゃない!」って。

ヌイベ:親に連れられて市役所に謝りに行ったんだよね(笑)
やっちゃいけない理由が明確なことはやらないんですけど。脱走するにしても、通ってた保育園の隣に公園がくっついてて、柵で一時的に仕切られるようになってたんですけど、「この柵に意味はない」って思って、柵を越えないとブランコに乗れないから越えたっていうだけで。

自分の中では理屈があるのに、ダメな理由が分からないっていうことに対しては反抗的っていうのがあって。しかも、たぶん今もそれは残ってて。そんなに悪いことはしないですけど(笑)
昔から今も変わってないところかなと思います。でも、周りの大人は苦労したんだろうな(笑)

ひかり:なんか、落とし穴とか作ったよね。

ヌイベ:そう、すべり台の着地点に(笑)

たなか:タチが悪い(笑)

ひかり:ちょうどすべり台が終わるところに、穴を掘って、段ボールをかけて砂を盛ったりとかね。

ヌイベ:結構本格的に作ったよね。離れた場所から様子を見てたら、ちゃんと穴にはまった子がいて。

ひかり:それ見て「はまったー!」って。

ヌイベ:「やったー!」って。何が「やったー!」だ(笑)

-落とし穴をどこに作るかの、目の付けどころが鋭いですね。

ヌイベ:絶対に落とすにはどこがいいかなって(笑) それ、ひーちゃんも一緒に作ったよね。

ひかり:2人で一緒に作った。ずっと一緒に遊んでた。
お腹が空いたけどおやつがないときは、びわとか柿の実を取って食べてました。家の塀からはみ出てるのがあるじゃないですか。

ヌイベ:敷地外だからオッケー。中のものは取らない(笑)

-そこもちゃんと考えてたんですね。

ヌイベ:自分の中では理屈がありました。でも危ないよね(笑)

ひかり:でも誰も食べてなかったから。

ヌイベ:そう、「もったいないじゃん!」って(笑)


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