タイトル:キャットのアイズ
※本人の楽曲を聞きながらインタビューを読めます
『ステージでは”語るように歌え、セリフは歌うように語れ”と』
4.音楽活動を始めるきっかけを教えて下さい
明日賀友朗:明日賀の最初の音楽、それが誕生だ。
山崎さん:生まれた時から明日賀友朗は明日賀友朗だったんでしょう、やっぱり。そう生まれてきてしまった以上そうならざるを得ないですよね。この前、明日賀くんが赤ちゃんのとき写真見せてもらいましたけど、ピンクでしたもん。
ピンクの布にくるまれて、どこで売ってるの?みたいな小さいサングラス掛けてましたよ。
-実際にギターとか楽器を触られたのはいつ頃なんですか?
明日賀友朗:(いかめしい顔をしている)
山崎さん:僕もそれは全然わからない。
-キャリアはどれくらいなんですかね。
明日賀友朗:(怖い顔を維持する)
山崎さん:興味深いですね。そういう風に生まれてきてしまった人がどこで楽器にたどり着いたのか…。
-マネージャーの山崎さんも知りえないんですね。
山崎さん:そうですね。ただ、実際にそこまでギターうまくはないですね。
めちゃめちゃギターソロ弾くとかじゃないし、色んなパターン弾けるとかでもないし。「コイツ思ったより下手だな」って思っていつも接してます。
-明日賀さんは練習とかするんですか?
山崎さん:自分の曲をライブでやるためには、決めた弾き方、歌い方をできるように徹底してやってもらいます。
しっかり練習してフィジカルとして身につけないと。技術から逃げるやつはやっぱりダサいんですね。
人前に立つからには、曲のメッセージにプラスアルファの部分を表現しながら立たなきゃいけないと思っています。
曲は身体に染み込んでいて当たり前。基礎技術、高い音の出し方、力の入れ方、そういうのものを全部まず習得した上でステージに立たないと表現の幅が狭まってしまいますからね。だからすごい練習はしてもらっています。
-サボろうとしたりしないんですか?
山崎さん:明日賀くんはサボらないですね。合間とかに一人カラオケにいって、ずっとサザンの「涙のキッス」を連続で歌ったりして声出しをしているらしいです。めちゃくちゃ歌いこんでいるらしい。
-カバーしたりはしないんですか?
山崎さん:してもいいんじゃないですか。カバー曲シリーズも並行してつくっていきたいと思っています。
歌唱に関することについて、ステージでは”語るように歌え、セリフは歌うように語れ”と伝えています。ミュージカルの言葉らしいんですけど。歌は良い声を出すのが目的じゃなくて、意味を伝えることが大事。セリフっていうのは意味を伝達させることでなく、演劇全体にリズムを持たせることに意味がある。誰が言ってたっけ、役所広司的な人が言っていたと思うんですが。
明日賀くんにもよく言っていますよ、MCは自信持って喋って、俺の声を聴けではなく歌詞の意味を受け取ってもらえるように歌えと。
『アイスランドで生まれたらどうするんだって』
5.音楽はいつから始められたのでしょうか
明日賀友朗:明日賀が誕生したその瞬間の最初の一呼吸、それが「夢が」だ。
山崎さん:「キャットのアイズ」という曲の最初のワンフレーズですね。「夢が」って言ったんですね、生まれた時に。
-ということは、いつから始めたかというと0歳0ヶ月?
山崎さん:そうなりますね、「夢が」って節をつけて言ったってことはもう8割出来てますからね、「キャットのアイズ」の原型が。
自分が何語をしゃべるとかも全然わかんない時に、自分の母国語とかも全然ファジーな状態なのにいきなり「夢が」でしょ。アイスランドで生まれたらどうするんだって。そもそも明日賀くんが生まれたのは日本なのかな。
『グレートなわれわれが作った音楽を、聴きたい人には聴かせてあげたいということであって』
6.今後の目標を教えてください
明日賀友朗:明日賀の考えにないもの、それが過去と未来だ。
-今を生きるということ?
明日賀友朗:(勇ましい表情)
-明日賀さんは先のことを考えたりしないんですかね?
山崎さん:それは多分僕の役割なんじゃないかな。マネジャーとして、明日賀くんはただ歌を上手に歌って、ダイナミックに作って、それでライブ出来たらいいんじゃないですか。いつまでも音楽とともにあれるように。僕はたまたま出会ってしまったので、彼と一緒に色々やっていきたい。
明日賀くんは音楽の本筋と違うところをやりたくないからマネージャを使っているんですよ。
-山崎さんは自分自身の将来について考えたりするんですか?
山崎さん:たくさん曲を創って録音していきたいというのはあります。それをフリーダウンロードで公開し続けるのが大切だと考えています。活動する中でライブは絶対必要なわけじゃない。音楽をお金にするというのも今のところ考えていない。
世のため人のため、グレートなわれわれが作った音楽を、聴きたい人には聴かせてあげたいということであって。人に好かれるために音楽の中身を少し変えようとか、人に好かれるために営業の方法を変えようとかはやっぱり僕たちには馴染まないです。
『こんなもん、こいつの顔に興味あるやつしか聴かねえだろうっていうね』
7.お金についてどう思っていますか?
明日賀友朗:詳しく知らないが興味を持っていないもの、それがお金だ。
山崎さん:でしょうねって感じです。興味ないんだろうな。それをやりたくないからマネージャがいるんでしょ、という。
-山崎さんはどういう価値観をお持ちなんですか?
山崎さん:僕も執着しないようにしています。金持ちになりたいとは思わないし、日々が満足できるレベルであればいいなと思っているので。今生活できているその家計の中から、生活費や貯金や諸々を引いたお小遣いで音楽活動をしているわけです。
お小遣いの範囲から出るものはやらないし、仕事で音楽をやっていた時は、音楽をお金にしないといけないっていうのがあってもう本当に苦しんだんですよ。仕事で面白くないアーティストの面白くない曲を編曲しないといけないこともあって、それ誰が聞くんだよと思いながら作っていたこともあったし。こんなもん、こいつの顔に興味あるやつしか聴かねえだろうっていうね。
-そういう部分で苦しんだんですね。
山崎さん:音楽とお金をつなげて考えるのがもう本当に嫌だったし、今でもそこは嫌ですね。逃げ続けていたいです。
-個人としては生活できればとお聞きましたが、全体を見たときにお金についてどういう価値観ですか?
山崎さん:考えたことないですね。投資とか株とかやらないし、そんなことする暇あったら、走ったり身体鍛えたり、ギター弾いたりして、日々面白くしていった方が良いです。金を増やすために何かをするというのは、あんまり心動かされない。
貧乏になったらなったで、なんとかなるし。それよりも楽しいことをやっていたい。
-興味の対象にない感じなんですね。
山崎さん:実際家に貯金がいくらあるかも知らないです。給料が通帳に振り込まれて、そこから自動的に家賃とか光熱費とか引かれて、そこからお小遣いをもらって、残りが貯金になったり奥さんのへそくりになったりしていると思うんですけど、総額いくら貯まっているとかぜんぜん知らないです。
アンタッチャブルな口座にいくら入ってるか不明です。
『異常そのものとして、ひとつの異常として生きていくんでしょうね』
8.音楽をやっていなかったら何をやっていると思いますか?
明日賀友朗:音楽をしているもの、それが明日賀だ。
-質問が無効化されましたね。
山崎さん:音楽がなければ「無」なんでしょう。やはりこの人は音楽をすることに捉われたモンスターなんですね。それ以外のことは考えてもないという。
-山崎さんから見て音楽をやっていない明日賀さんは何をやられていると?
山崎さん:想像できないですね。音楽もやらずにあんな格好で歩いていたらマジでやばいですよね。音楽家だとしてもやばいのに。異常そのものとして、ひとつの異常として生きていくんでしょうね。今現在も彼は異常として生きているんだけれども。
-どちらにしてもひとつの異常として存在するんですね。
山崎さん:そうですね。
-異常な側面というのは、音楽への没頭の仕方とかですか?
山崎さん:レコーディングとかで、僕はこれでいいんじゃないと言うんだけれど、明日賀くんが納得しないというのがよくあって。そういう時はもうちょっとできるみたいな顔をするんです。
「今日時間ないじゃん」って言うと「明日賀がヒマな日、それが明後日だ」とか言って。誰が払うねんスタジオ代と思うんだけど。どんどん追加されて予定を埋めてくるんですよ。
僕のミックスにも妥協を許さないです。真面目ですね、音楽に対しては。