明日賀友朗

タイトル:

※本人の楽曲を聞きながらインタビューを読めます

『全てのライブで遅刻してますね。ただ決められたステージ時間は絶対に守る』

9.表現形式に関するこだわりを教えて下さい

明日賀友朗:表現のこだわり、それが格好をつけないこと、嘘をつかないこと、そして時間を守ることだ。

山崎さん:遅刻するやん(笑)

-(笑)。格好をつけないというのはマネージャさんから見てどうですか?

山崎さん:いや、僕は格好つけた方がいいと思う。というより、今もはちゃめちゃに格好つけてるやんと思う。すごく胸を張るから。でもあれが素だったら、、まあ、素なんだろうね。

-本人は格好つけてないつもりなのに、勝手に格好つけてしまう。

山崎さん:オードリーの春日さんも高校時代から素でやっているのに周りからそういう言われ方をされてたらしいです。それを若林さんがもっとオーバーに漫才でやったら面白くなるんじゃないかとあの漫才スタイルを作ったみたいで。

-山崎さんも、素の部分をもっとオーバーにやってもいいんじゃないのかと思うんですか?

山崎さん:もっと明日賀友朗でもいいと思います。例えばサングラスをLEDで発光するやつにしてもいいんじゃないかとか思うんだけど。

-山崎さんから見た明日賀像はどういったものですか?

山崎さん:まあ見た目に関してはしょうがない。怪我の功名じゃないですけど、あれぐらいでいいのかなとも思うところがあって。

明日賀くんの曲ってメッセージもあるし、少しへんてこりんなんで、あれを普通の格好をした冴えない青年が歌っても、「この人どうしちゃったんだろう」という風になっちゃう。この人はなんでこんなことをしているんだろうってところに引っ張られちゃう。
明日賀くんは最初からピエロじゃないですか。こいつからなら何が出てもおかしくないから、奇妙な表現形式だったとしてもぜんぜんやっていいし、逆に歌詞の中身が入ってくるんですよね。

「下北沢を颯爽と歩く明日賀友朗氏」

-前段ではじかれないということですね。

山崎さん:そうそう、前段である程度、諦められるから。

-諦めさせるということも大事かもしれないですね。

山崎さん:普通の格好で出てくると情報量が多すぎるんですよね。あ、おかしな人だ!って出てきてくれる方が案外見やすいんです。弾き語りみたいな表現方法においては誰がやるかっていうのはすごく大事で、不細工のくせに男前の歌を歌っても結局ダメなんですよ。どんなに良い曲でも、その矛盾が引っ掛かりに繋がっちゃう。

逆に、奇妙な『たま』さんみたいな歌を普通の男前が歌ったら混乱しちゃうんですよね。
やっぱりちゃんと『たま』さんの顔をしていた方が分かりやすい。短時間のライブの中だとそういうのが大事で、明日賀くんがあの格好をして普通に男前用の歌を歌ったら地獄ですよ。もうお終い。ジャルジャルのコントです。『見た目と内容が釣り合ってない奴』。

-嘘をつかないことと明日賀さんはおっしゃっていますが、山崎さんも意識されていますか?

山崎さん:自分では感じていないことを言うとか、一般の人はこう思っているんだろうなというような表現をするとかはやめようと思ってます。俺はこの事象についてこう思った、というのをやらせるようにしています。

-明日賀さんは時間は守るんですか?

山崎さん:守らないです。嘘をつかないっていった瞬間にめちゃくちゃ嘘をついてますね。
全てのライブで遅刻してますね。ただ決められたステージ時間は絶対に守る。

-前回のライブの遅刻も2分ぐらいでしたね。

山崎さん:大幅な遅刻はしないですね。1分から2分ぐらいの遅刻です。
レコーディングも遅刻するんですよ。僕がスタジオ入って、パソコン立ち上げてマイクをセットして、あれこれやっていたら20分ぐらいかかるじゃないですか。20分くらいしたらガチャって扉が開いて「明日賀、友朗だ」って。それで、「すぐ歌える状態にあるけど録る?」って聞いたら「明日賀だ」と答える。

-遅刻して「明日賀だ」というのもポジティブですね。

山崎さん:謝らないんですよ。明日賀友朗が謝っているのは一回も見たことないです。

-でも、タイミングのいい遅刻です。

山崎さん:うん、そうですね。遅刻で人に迷惑をかけたことはない。

10.私を構成する9枚

明日賀友朗さん

※ジャケットが見つからなかったため⑨のみ掲載

1.タバスコブラザーズ「KAKEHEN NO KAI」
(明日賀)タバスコさん、それがラップのグループだ。明日賀が好きなパンチライン、それが“辛さ以上にあるぜ酸味”というタバスコの本質を歌った箇所だ。
(山崎)このグループ、ぜんぜん知らん

2.ぶらうん管「街とかけまして」
(明日賀)都会派フォークバンドの代表格、それがぶらうん管だ。大切なこと、それが激しくなくても太いリズムがあることだ。
(山崎)この人らも知らん

3.東雲東「西の山伏」
(明日賀)東(あずま)さん、それが演歌の大御所だ。“西の山伏、もはや危うし”のところでまわすこぶし、それが最高だ。
(山崎)下の名前で呼ぶほどのファンなんだ。僕はこの人知らん

4.栽々亭小み宅「ボクサーパンツ」
(明日賀)新作落語の名手、それが栽々亭小み宅師匠だ。師匠のすごさ、それが時代とともに使うフレーズを変えてネタを成長させた柔軟性だ。
(山崎)落語も好きなんですね。僕はこの噺家さん知らん

5.僕らは何も変えられない「シューティングスター」
(明日賀)困るもの、それがどっちがバンド名でどっちが曲名かわからんバンドだ。 
(山崎)いるよね、そういイキった名前のバンド。でもこのバンドは知らん

 
6.SHIHOKO「会いたい」
(明日賀)すぐ名前をローマ字にして名乗る奴、それが女性シンガーと地下格闘家だ。
(山崎)これもよくあるタイプの名前と曲名。でもこの人知らんなあ

7.飛島翔平「さくら」
(明日賀)こういうタイトルの曲をたくさん作りがちな奴ら、それが男前な歌い上げる系シンガーだ。
(山崎)世の中にこのタイトルの曲が多過ぎてどれかわからん。その上、この人知らんわ

8.罪兔かしす「殺しちゃうから」
(明日賀)病んでる風キャラの地下アイドルを追っかけるおじさん、彼こそ本当に病んでいる男だ。
(山崎)打つ手がなくなった地下アイドルの最後の手段だよね。しかしこのアイドル、知らんなあ

9.misono「家-ウチ- ※アルバムが1万枚売れなかったらmisonoはもうCDを発売することができません。」
(明日賀)このアルバムの初月売上枚数、それが3000枚だ。
(山崎)やっと知ってる人が出てきたと思ったらmisonoさんかい。しかもmisonoさん、1万枚売れなかったのに引退してないやん

山崎さん

1.小沢健二「痛快ウキウキ通り」
小学生の頃に衝撃を受けました。ハネたリズムと底抜けに明るい音色。そしておしゃれ!ジメジメした田舎町にはない都会的な魅力もあって憧れ倒しました。
明日賀くんに歌ってもらったカバー作品もsoundcloudにあるのでぜひ聞いてね!

2.サザンオールスターズ「太陽は罪な奴」
なぜかこのシングルCDを父が持っていて、僕はこの曲をものすごく気に入っていたようです。いまでもカラオケでいちばん歌います。日本語作詞の基本は七五調である、というのもサザンから学んだことです。

3.ゆず「ゆずえん」
小中学生時代のお気に入り。弾き語り用バンドスコアみたいなのを買って友達とフォークデュオみたいなのをしてました。それがきっかけで地元の駅での路上ライブをはじめたりなんかして。

4.KICK THE CAN CREW「VITALIZER」
中学生の頃にはじめて聞いたラップ作品。リズムを楽器ではなく歌唱で刻む技法(それがラップなんですけれども)に感動したのです。それまで聞いていたオザケン、サザン、ゆず、ミスチルなんかにはないものでした。
この頃から曲をつくっていたので、韻を踏むことやあえて流れからハズれたメロディをつけることを意識しはじめました。

5.椎名林檎「勝訴ストリップ」
これも中学時代。圧倒的なかっこよさ、怪しさ。
特に亀田誠治さんのベースに夢中になりました。高校生の頃、椎名林檎のコピーバンドでベースを弾いていました。

6.フィッシュマンズ「Chappie, Don’t Cry」
かっこよくてマネしたかったけど、歌いながらウラのリズムでギターを弾くのがなかなかできなくて猛烈に練習した記憶があります。

7.Sugar’s Campaign「FRIENDS」
都市型ポップスと呼ばれるジャンルの中でいちばんのお気に入り。音作りに影響を受けました。
明日賀くんの曲はほとんどドラムとリズムマシーンを同時に鳴らして編曲しているのですが、この技法はこのあたりに憧れてはじめたものです。

8.ハンバートハンバート「家族行進曲」
特に『横顔しか知らない』がお気に入りです。表面的にトガらなくてもトガった作品はつくれるんだと知りました。

9.明日賀友朗「壁」
初めて二人でスタジオに入ったときに聞かせてくれた曲で、もうあまりの素晴らしさにひっくり返りました。

「来る時間には遅れるが帰る時間は守る明日賀友朗氏」


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