タイトル:手紙
※本人の楽曲を聞きながらインタビューを読めます
『独特の周りからはみだしてはいけないという雰囲気がある』
11.子供の頃のエピソードを教えて下さい
明日賀友朗:明日賀が小さい頃、大切にしていた木を切られて激怒した男、それが父だ。
謝った男、それが明日賀だ。許した男、それが明日賀の父だ。
山崎さん:ワシントンと同じエピソードや。まあ伝説がある男なんですね。明日賀くんらしいエピソードですよね。大統領クラスです。
明日賀友朗:明日賀が中2の頃に割ったもの、それが海だ。海を割り底を歩いた男、それが明日賀だ。
山崎さん:神ですね。嘘をつかないからまあ本当なんでしょう。海を割ったんでしょう。
-どれくらいの規模で割ったんですかね。
山崎さん:浅瀬で2メートルとかだったらいけるかもしれないですね。まあそのくらいのことはしかねないかな。変なことをするんで。
-山崎さんの子供の頃のエピソードを教えください。
山崎さん:生まれてから18まで島根の松江っていう地獄みたいな田舎にいたんですけど。自分はいつかここから抜け出すんだというのを子供の頃から自覚していましたね。
僕、先生が言うこととかに「なんでそうなんですか?」とか言って「みんなもそうしているから」なんて言われると「いや、みんなと一緒というのは理由になっていなくないですか?」とかぎゃんぎゃん言う子供だったんですよ。
自分に合ってないなと自覚していたので中学入ったぐらいの時にもう自由に過ごしてやろうと思って。授業とか面倒くさかったら行かなかったり、でも部活はだけ行ったりとか、自由なことをしはじめて。
高校もある程度いったら適当なタイミングで辞めて自分で図書館で勉強して大学行くとか。田舎のルールから逃げていました。 親もそれがいいんじゃないのって。それは今思うと変だったかな。
-今振り返ってどう思いますか?
山崎さん:そのやり方は自分に合っていたと思います。
田舎生まれの人にしかわからない、独特の周りからはみだしてはいけないという雰囲気がある。みんなと一緒であるということがすごい大事っていう世界で。でも島根って介護の専門学校とかはめっちゃあるんだけど、高校出た後に勉強する場所がないんですよ。県立大学と国立大学と国立の医学部しかないんで、3つしかないんです、県内全部で。そこに合致する偏差値と学科がないやつは広島か大阪に出るしかなくて。
僕はそこそこ勉強ができるし、ということは県外に出てもいいんだなって。
家も両親が大卒だし、何となくそれを確信していました。島根に残っている大人は田舎ルールを受け入れている人か高卒しかいないと思ってて。田舎の閉塞感にうんざりしてましたね。
高校を辞めてバンド活動をしながら自分で大学受験の勉強を進めることにしたときに、自分のことを自分で決められることが嬉しくて自信になりました。
『言論の自由、十分に情報を出すこととは何なのかというのが意識としてあったんじゃないでしょうか』
12.今生きているこの人生に関するこだわりや、どんな人生にしたいかを教えて下さい
明日賀友朗:明日賀の人生のこだわり、それは明日賀友朗だ。
-トゥモローは英語ですか?
明日賀友朗:漢字だ。
-自分の名前を名乗っただけですね。
山崎さん:自分の名前にすごいこだわりを持っていますもんね。
電話の時、名前出るから「もしもし」でいいのに「明日賀…友朗だ」って必ず言ってくるんです。
-ちょっと溜めてから名乗るんですね。
山崎さん:名前が好きなのかな。うん、親もダジャレで名前をつけるなよってね。
-本名なんですか?
山崎さん:本名らしいですよ。
-明日賀さんはご兄弟はいるんですか?
明日賀友朗:(沈黙)
山崎さん:僕もわからないですね。でも、奥さんはいらっしゃいます。
-結婚しているんですね。
山崎さん:友子さんという方なんですが、彼女も変な格好をしていらっしゃって。ピンク色のパーカーでフードをかぶってピンク縁のサングラスを掛けている女性です。この前一緒に焼き肉に行ったんですが「明日賀友子が頼みたいもの、それがまるちょうだ」とか言ってて。奥さんもずっとその口調で喋っているんですよ。同じタイプのやつおるんやと思って。出会うべくして出会ったんですね。
-山崎さんと明日賀友朗の出会いについても教えてください。
山崎さん:僕が音楽を辞めて就職して、会社内でおじさんバンドみたいなやつに参加することになった時です。付き合いでしぶしぶ。ベースを弾くことになって、ベースを背負ってぽくぽく新宿の東口を歩いていたら、彼があの格好で歩いてきて。「音楽家、それが明日賀だ」と言ってきました。突然にです。
僕が楽器を持っていたから声を掛けてきたんだと思うんですけど、でも「明日賀友朗だ」しか言わないんで、こっちから「音楽やるんですか」って聞いたら、「音楽家、それが明日賀だ」って。
それでスタジオで遊ぼうかとなりまして。後日スタジオに呼び出し、「曲がある」と言うんで聴いたら「うわっ」って。
-才能に惚れこんだんですね。
山崎さん:曲の爆発力ですよね。とんでもない男がおったと。
-最後に山崎さんの人生に対するこだわりを教えてください。
山崎さん:健康を大切にしたいですね。やっぱり30になって相次いで体壊すんですよね、僕も周りも。
僕も去年、自律神経失調症になったんですよ。身体に無理をかけても大丈夫だったのに、自律神経の部分が弱くなってしまって。切り替えが下手になっているから、無理な徹夜とか飲みすぎとかは起きれなくなったりする。今までは6時間くらい寝たら、起きる作業さえしてしまえば、なんとなくいけたんですが。
身体がついてこなくなった。それで病名をつけるとしたら自律神経失調症だって診断されて、へぇーと思って。これは無理が効かなくなったやつだなって。後は痔ですね。痔の手術も最近しました。
-大丈夫ですか?
山崎さん:痔は無事になおりました。他の病気も不安はあります。同級生も痛風やってたりするし。ちゃんと健康でいて、楽しいことを優先していきたいですね。金儲けとかそんなことではなく。
それと、社会の一員である責任として、不正義であるとか、それに従うのは良くないのではないかと思うことにも異を唱えていきたい。自分さえいい生活できてれば他の人がどうなろうと構わないというのはちょっとかっこよくないですよね。
僕結構、国会前とか行く人で。下北沢の再開発問題のときも、地元の区議と一緒に署名運動とか駅前でやったりね。それで再開発のロータリー化を止めたという成功体験もあって、政治は民の声で動かせるんだという。
-明日賀友朗の曲にも政治的なメッセージはあるんですか?
明日賀友朗:(不敵な笑みを浮かべる)
山崎さん:「壁」とかは政治的じゃないですか。
最近出した「手紙」っていう曲も、言論の自由、十分に情報を出すこととは何なのかというのが意識としてあったんじゃないでしょうか。
-問題を提起する感覚なんですね。
山崎さん:興味ある人がわかってくれたら嬉しいなぐらいの感じだと思います。「手紙」をただの文通の歌だと感じるか、政治の歌だと感じるかは聞く人次第です。
-どういった歌詞が良いみたいなのはあるんですか?
山崎さん:明日賀くんが「あなたはそのままで素晴らしい」みたいなストレートな物言いをする歌詞を出してきたら、ちょっと酔っぱらっているのかなと思います。歌詞というのは2系統あって、例えばラブソングだったら「I Love You」を連打する歌詞。これは名曲になる。もしくは「I Love You」を使わず「I Love You」という概念を伝える。
この二通りがあると思うんですが、明日賀くんは完全に後者に属するタイプの作詞家だなと。それはすごく本人の感じからわかりますね。そこの巧さがあると使える歌詞かなと思います。そういうことをわかっていないアマチュアに多いのが中途半端な作文みたいなやつです。下手くそだなって。本読んでねえだろって。
-毒舌(笑)
山崎さん:僕は明日賀くんの良くない部分をそぎ落とす係ですから。世の中の下手くそをたくさん知っているので。 下手くそなアマチュアを見て、これをやってはいけないと知るのも大切です。
-このインタビューで山崎さん、すごい感じ悪くなりますが大丈夫ですか(笑)
あしたが・ともろう
年齢不詳、173センチ70キロ
2015以前の経歴は不明。
2015年 マネージャー山崎と出会い音楽活動を開始。
2017年 アルバム『夢が見れなくなったらなに見る?』発表
2020年 アルバム『知らん』発表