∮TaKu‘ ,n∮

※1ページごとに、本人の作品をご覧になれます


『Pierrotops』

『現代アートではそういう感覚が世間にないから、俺がそういうのを変えていきたい』

6.今後の目標を教えて下さい

TaKu‘ ,n:結構、生活っぽいんですけど、キャリアが低いし短いし、芸術だけだと生活は無理なんで、今やっているバイトと同じぐらい絵で稼げるようになりたい。

そっちを辞めるとは考えていないんですけど、ちょっとづつ割り合いを減らしていきたい。
今、ちょっとずつ仕事を減らしているんですよね。減らさないと、こっちで稼ごうとならないというか。バイトをしている割り合いより芸術をやっている時間の方が長いので、それをどんどんと広げていく。いきなりやるというよりは、地に足をつけてやっていきたい。

社会保険を払いたいし、そこは大事かなって思いますね。社会保険を払っているという安心感。返ってくるかはわからないけど、社会的信用が欲しい。今の仕事を続けるかわかんないですけど、仕事はしていたい気持ちもあります。社会の中にいたい。絵も社会だけど。働いていて、ちょっとイラッとするのも逆に良いかなと。

後はやっぱり、海外とかでやりたい。色んな国の人がいて、というのはありますね。
今はとにかく日本で売れたいです。日本で群を抜いていきたい。そのあとに、海外で活動できればと思います。

大きな目標としては、モデルさんのショウとかで自分の作品をデザインしたものを着て欲しいですね。

-ファッションとコラボレーションですか?

TaKu‘ ,n:コラボレーションは色んなアーティストとしたいですね。
音楽をやっている人のジャケットだったり。デザイナーじゃないんで、自分のアート表現がいいなという人にデザインをして欲しいんですよ。

モデルさんがアートを身につけているのはかっこいいなって。すごい表現の幅があるというか、それはすごい昔から目標。

後、ブランドに使って欲しい。やっぱり日本って芸能とかファッションとかより、デザインアートが少し下に見られている気がする。「現代アートはよくわかんない」とか。ちょっとサブカルチャーに寄らされているというか。すごい崇高、すごいいいことなのに。

ブランドとコラボレーションしたい理由の一つは、現代アートではそれがすごい発信力になる。権力的なのにただのっかりたいというより、ファションというのはすごい影響力が強いし、かなり崇高なことと捉えられている。
現代アートではそういう感覚が世間にないから、俺がそういうのを変えていきたい。

-個人的な作風などの目標はあるんですか?

TaKu‘ ,n:僕はコンセプトがあって、TRRと言っていて、Tが「Tranceformation」で変容、Rが「Regeration」で再生、最後のRが「Reconstruction」で再構成、「変容」と「再生」と「再構成」。
僕の作品は全部それで出来ている。元のものを変えたり再構成することによって、新しいものを創り出す。コンセプトに基づいてやっているので、手法にはこだわりがない。ただ、コラージュの割合が高いだけで写真も作るし。

写真で作った作品も結構あるし、コラージュアーティストではないんですね。
僕はコンセンプトを通して心を解放させているんですよ。囚われている心、社会の抑圧を解放させたい。変容、再生、再構成はどんどんと変わっていくんですよ。だから、僕のすでにある作品も違う作品になったりするし、変わっていく。変化することはやっぱり素晴らしいことだなと思っていて。
「変わっていってほしい」というメッセージですね。

-変化するということの素晴らしさを教えてください。

TaKu‘ ,n:人間はすごい変化をしていく。
子どもと大人はちょっと違いますが、色んな情報がはいってきて、変容していく。精神がみんなコラージュしてるんですよ。だけど、みんな絵の具で赤や黒で作品を作ることを考えすぎている。絵の具というのはすごい広い意味で、(紙パックの柄を指して)こういうのも絵の具と変わらない。

記憶とか情報とか認知とか、いっぱい入ってきて、今の状態があるんです。
だから、子どもの時と比べて明らかに変容、再構成されています。それが自分の作品を見たときに勇気をもらってくれる理由のひとつ。

変わっていくのはどうしても怖いんですよ、人間って。そういう脳の仕組みもあると思うんですけど、人間は変わっていかないとどうにもならない。変容、再生、再構成、すべてのものはそれで出来ている。
筋肉とか顔の形も変わってくる。だから変化というのは、普通、当たり前だし。どんどんと「変容」して「再生」して「再構成」していくんです。

『結構なポンコツですからね、何をやってんだろうなぁ』

7.芸術活動をしていなかったら何をしていると思いますか

TaKu‘ ,n:ええ、恐ろしい。笑
結構なポンコツですからね、何をやってんだろうなぁ。想像がつかない。風俗でもいってんじゃないかな。笑

『廊下に机が出てる。それをしまうことから生活が始まる』

8.どんな子ども時代でしたか

絵はそんなには描かなかったんですけど、小さい世界がすごい好きでした。みんなはサッカーや野球とかスポーツが好きじゃないですか。ウチはカープファンで父さんが野球の監督で野球が全然好きじゃないのに、無理やり球場に連れていかれたんですよね。人数が足りないとライトを守らされたりしていて、失敗すると怒られる。地獄でしたね。

その時にあった一つの救いは、ちょっと水が流れているグランドの端の方でした。水道があって水を流すと小さな川みたいになるんですよ。

そこに蟻や虫がいっぱいいて、頭の中で自分もそういう世界に入っていってました。「箱庭みたいな世界に入って冒険をする」というのを想像する。ずっーと、やってましたね。寝る前とかも妄想して、ゲームの設定を自分で考えて、最初は弱いんだけどもだんだん強くなる能力者とかを想像して。

自分で言うのもあれですが、俺は想像力がすごい。毎日創るぐらいだから、創造性あると思いません?
あれは、小さい頃の練習というか、当たり前のようにやっていたのが、効いたのかな。どこからでも発想は出来る。それがいいものかわからないけどね。

閉じこもると言えばいいのか、小さな世界の中で世界を感じる。みんなグラウンドじゃないと感じないけど、俺はそこで感じていた。

-スポーツは嫌いだったんですか?

TaKu‘ ,n:そうですね。でも、今は結構好きですね。
ジョギングや水泳など1人でできるスポーツは好きです。野球の何が嫌だって、好きでもないのに下手だって言われたから。

-友達とのエピソードは、何かありますか?

TaKu‘ ,n:何才ぐらいの時?すごいよくなくて、精神を蝕まれていた。いじめられていた。あるあるかもですね、アーティストあるある。精神が脆すぎて、あんまり反逆する子じゃなかった。今だったら反逆しますよ。

-あまり口数が多くなかったんですか?

TaKu‘ ,n:そうですね、「やめてよ」とか言えないし、向こうからしたら「オモチャがいた」みたいな感じじゃないですか。それが僕しかいなくて精神を蝕まれた。あのときに学ぶこともあったので、いじめられて良かったです。今なら全員に負ける気がしないですね、気合いで。だから修行と思ってます。高校生からは少し楽しかったです、音楽を始めだして。二回目の人生みたいだなって。

-内向的だったんですね。

TaKu‘ ,n:内向的、内省的。やっぱり攻撃的な衝動が今あるから、当時もあったんでしょうね。その時は「自分が悪い」とずっと思っていて、殺してやりたいとか思わなかった。自分が弱くて悪い。

ヘラヘラしてましたね。ヘラヘラしたら許してくれるのかなと思ってました。
一回自殺しようと思いました、でも自殺の仕方もわからなくて。廊下に机が出てる。それをしまうことから生活が始まる。黒板に書いてある自分の悪口を消すことが日課でした。

-ガッツリですね..。

TaKu‘ ,n:気づいているんだろうけど、それを放っておくんだな先生って。権力者に歯向かえないやつらもいるし、一緒になってヘラヘラ笑っている人もいるし、世の中そういうもんだなという感じですね。
言われたらやり返してやろうとか今はめちゃめちゃありますね。そういうガッツはついた。地獄だったな。

-大人になってから出会うと、過去はわからないものですね。

TaKu‘ ,n:今は自分ぐらい幸せな人いないんじゃないですか。彼女がいて友達も最高なやつがいて、絵も売れているし。

『「自分らしさとはなんなんだ」とかそういう辛い思いをしている人を解放させたい』

9.いま生きている人生に対するこだわりを教えて下さい

TaKu‘ ,n:こだわりはすごいあって、音楽を辞めたとき、友達から全く連絡こなくなって。その時に今までの付き合いがいかに浅はかだったのか、薄い付き合いだったんだなって。
だから連絡をくれた友達は今でも友達です。
力ちゃんももちろんそうだし、今右腕として俺のフライヤーを作ってくれているアーティスト、緑川縁さんという人がいるんですけど、その人も親友。

その2人は連絡くれた。上原里奈さんというシンガーもすごい連絡くれて、友達はこういうことだなと思いました。その3人が死んじゃったら、絶対泣く。そういうのが友達なんですよ。
上手く行った時とか、辛い時とかに応援してあげたりとか、それを出来るのが一番大事なことで、友達がうまく行っているときに、足を引張ちゃうのは友達じゃない。

それがすごいこだわりですね。そういう風に人間関係は作ってます。
後は一緒に仕事をする人も尊敬できる人がいいです。かっこいいなとか尊敬できるなとか、俺のことを好きでいてくれる人、好きじゃないと意味がなくて。やっぱり一年とかで終わっちゃうから、一生語れるようにお互いリスペクトしている関係が良いですね。

そういうのを感じ取れる自分の感性が大事ですね。
「この人は欲でやっている」とか「名誉でやっている」とか、「俺のところでやれば宣伝してあげるよ」もすごい大事だけど、それだけでは完結したくない。自分で選んだ大好きな人、尊敬できる人の中で、それが一番いい。

ちなみに笹谷さん(=インタビュアー)はすごい好奇心が強い人だなって。楽しんでますよね。

どんな人生にしたいか…、表現を通して人に影響を与えていきたいです。
やっぱり感動させたいし人生を変えたいです。自分も音楽を8,9年間やっていて、もがいていた。自分が本当にやりたいことに気づかない人っているじゃないですか。中学生がどうして死ぬのか、めちゃくちゃ頭いいのか、誰も助けてくれなかったのか。

帰れる場所、優しくしてくれる場所、待ってくれる人がいない状況の日本の状態をニュースで消費だけしてるのが辛い。「こうすればいいんだ」とか専門家の人が発言したり、芸能人の人がいじめられている人に会いにいったりするけど、「うるせぇな」としか思わないです。「いじめられたことあんの?」と思う。

色んな才能に気付く人がもっといればいい。「勉強はできないけどお前は忍耐力がある」とか、そういう才能に気付ける大人がいればいいなって。「自分らしさとはなんなんだ」とかそういう辛い思いをしている人を『解放』させたい。
そういったコミュニケーションをしていきたい。それがアーティストととしての人生ですね。人間としては大好きな人に囲まれて死にたいですね。
大好きな人を看取りたいし一緒にいたい。

10.あなたを構成する9つの作品を教えて下さい

 

※左上より順にコメントを頂いています

Daftpunk “discovery”
二十歳の時に聴き始めてから今だに聴き続けている。人間の根源的な部分を刺激してくるから制作の時に良くスイッチにしてます。

fishmans”男たちの別れ(live)”
日本で1番好きで、特別なバンド。佐藤くんの声は何も聴きたくないときにも聴きたくなる。

David bowie “HEROES”
タイトル曲のヒーローズは自分でも、題材に作品にしました。”僕は王になれる、あなたは女王になれる。たった一日だけ”という歌詞は僕にとっていつまでもお守り。

ZAZEN BOYS”すとーりーず”
ナンバガ、ザゼン。青春ですね。このアルバムはついに歌詞がいくとこまで振り切っていて最高だった。向井さんの前では”パンツ一丁で、踊れ、ヤマアラシに乗っかって”というフレーズすらロックンロールの素材。
アーティストの大竹伸朗さんについて知ったのも向井さんのインタビューでした。

SEKAI NO OWARI”Tree”
楽曲も声もパフォーマンスのファンタジー振り切っている感じと、当時ロック好きな人達に叩かれながら突き進んだ姿は自分にはめちゃくちゃロックに映った。何千人ものライブで”こんなにたくさんの人達の前で歌えるなんて、、、、夢にも思ってた。ずっと信じ続けていた”というMCが最高。

リチャードプリンス
New Portraits
有名人、一般人、モデル(赤の他人)などのインスタのスクリーンショットをキャンバスに印刷して作品化したシリーズ。コメント欄にリチャードプリンス本人のコメントがあり、それがサインとなっている、非常にクールで尖った。アプロプリエーション作品でアート作品とは?について考えさせてくれた作品。

ジャン=ミシェル・バスキア
アートってカッコいいんだ!って初めて思わせてくれたアーティスト。うまい、下手とかでなく画面を、表現を通して言葉を超えてエネルギーを伝えることが出来る。自分にとっては先生みたいな存在。

大竹伸朗
ネオンと絵具箱
向井さんが影響を受けたとインタビューでみてから調べて好きになりました。毎日創り続けることに意味があると教えてくれたアーティスト。

安野谷昌穂
STEIDL-WERK No.23: MASAHO ANOTANI “DEFORMED”
まだ若手のアーティストなんですが、コムデギャルソンとのコラボレーション。作品の尖り感。表現する素材の自由さにガツンとやられました。この画集めっちゃオススメ

【アーティスト情報】


∮TaKu‘ ,n∮


【プロフィール】
変容と再生と再構成のアーティスト。
元々別々のものだったものを変容し、再構成し、一つにして新しい認知として”再生”する。
素材や手法にはこだわりはなくあらゆる手段で画面を創り上げ、社会から抑圧された認知を解放して人間本来の創造性を取り戻す。


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