タイトル:Imagine
※本人の楽曲を聴きながらインタビューを読めます
『嫁にも「あんた、本当にふらふらしているよね」と言われます』
2.創作の方法について教えて下さい
-改めて、具体的な制作方法をお聞かせください。
Dragon Chop:基本的にはキーボードです。家のパソコンとキーボードでデモを作ります。ドラムの音もキーボードに入っているので全て作っちゃいますね。
以前は1人で作った作品に合格をだしたりしていました。でも、それだとレベルが低いまま世に発信されてしまう可能性があるので、バンドで動くようになってからは、まずデモを作ってメンバーに配って、「次のリハでこれ、やりたいです」とみんなに聴かせる。
-バンドメンバーに作品を配り、一度くぐらせるんですね。
Dragon Chop:大勢で作ると統率がとれなくて、なかなか進まないんですよ。言いだしっぺがちゃんとケツを持たないといけない。曲は歌ありきだし歌はボーカルが書くから、歌を書いた人間が主体的に進める。そこにエネルギーを使わないとみんな動いてくれない。そこは説得力がないと…。みんな先輩なので調子に乗ったことは言えないから、しっかりと作り込んで”何をやって欲しいか”をイメージします。デモ音源の制作ソフトは基本的に Garage Band です。
(上:VOX/Continental 下:Roland/JUNO-DS)
-バンドとしての曲以外に息抜きとして作曲するんですか?
Dragon Chop:しますよ。聞いてみますか、そういう曲。
息抜きが意外と必要で、こないだ Akame Rockers*4 で KARAMUSHI*5 さんのバックバンドをやったんですよ。KARAMUSHI さんも大先輩だから「ちゃんとやらないとまずい」と思い、時間をかけて練習したのね。練習していると疲れてくるから、そこで自分の曲を作ったりします。人に聞かす用ではなくて、弟とか友達に聞かす用ですね。
-なかなか、やばそうな曲のにおいがします。
Dragon Chop:僕と弟は古いゲームが大好きで、今でも家に来てプレステ2をしています。小学生の時は、弟と一緒にゲームの BGM に対して「この曲やばいべ…」とか言って。弟とキモイ話をいっぱいしていたんですよ。
『三段跳び/エチオピアの音楽(DEMO)』
Dragon Chop:エチオピアの音楽を聴いていて「エチオピアの三連符をモチーフにした作りたい」と思って。
別にエチオピアの曲ではないけど『エチオピアの音楽』というタイトル。”エチオピアと日本の演歌が似ている”という内容の TV のバラエティ番組があって「本当…?エチオピアってあれじゃん。ハイレ・セラシエ*6の国じゃん」と思いながら観ていて。
エチオピアの曲をググったら本当に日本の歌謡曲っぽくて、バックミュージックがすごいカッコよくて…。
後は『怪しい看板』というタイトルの曲がある。
『怪しい看板(DEMO)』
-これは Akame Rockers として演らないんですか?
Dragon Chop:今のところ、歌も浮かばないしメンバーに聞かせてもない。エチオピアの曲に関しては実は Akame Rockers でやろうとしている。エチオピアというタイトルだと意味不明だから『三段跳び』にしようと考えている。ゆくゆくはインストの曲だけで構成されたアルバムを作りたくて、それを作る動きがこの曲をきっかけにできそう。
-これ生演奏でできたらカッコいいですね。
Dragon Chop:インストでいうと、もうひとつ取り沙汰されている曲があって、最初はホラー映画っぽい雰囲気。
『JAPAN(DEMO)』
-イントロからの幅がすごいですね。
Dragon Chop:ホラー映画イントロは好きです(笑)インストだから「飽きないように、あえて展開をいっぱいつけよう」と思って。
-制作のスタイルはどういった感じですか?
Dragon Chop:基本的にひとりの時はゲームをするか、キーボードを弾くか、そのどちらかしかしていないんですよ。ライブが終わった後は1週間ぐらいゲームしてた。ちなみに、今はマインクラフトにハマっています。平らな土地を作ったり、穴を掘りまくったりしているんですよ。昨日も2時間ぐらいかけて、山をひとつ平らな土地にしました。”何をやっているんだ感”は否めませんよね(笑)
-作業自体がお好きなんですね。
Dragon Chop:そうですね。でも集中力がないからふらふらする癖がある。トイレにおしっこに行くと「何するんだっけ?」となります。2階にぼんやりと上がって「そうだ。曲を作ろうと思ってたんだ」と思い出して作曲に取り掛かります。
それで「休憩!」と言って、水を飲んで寝ようとする。寝る前に突然「もうちょっと仕上げとくか」と言って、また作曲する。ずっーとふらふらしながら、曲を作っています。
-ふらふらしている中に曲作りがあるんですね。
Dragon Chop:そう、作曲がふらふらの中のルーティンになっているんです(笑)
落ち着かなくて、ふらふらしているんですよ。嫁にも「あんた、本当にふらふらしているよね」と言われます。30分に1回は移動していますね。その移動中に何をしていたかを忘れちゃうんですよね。いいフレーズが浮かんだ状態になったらソファーから立ち上がって、そのまま制作部屋にいって「やろう、やろう」って。その作業が終わった瞬間にアイスを食いにいく(笑)
ちなみに自分の家の中にノートが至るところに落ちているんですよ。下の部屋にも3冊くらいあって車にも1冊ある(笑)ボールペンもそこら中にある。「ここにない場合はあそこ」…ライターみたいですね。
-自分の行動に合わせてノートを配置しているんですね。とても興味深いです。以前の取材で T-man さんにお伺いした”情報を生きるために活用している”という話が頭に浮かびました。Dragon Chop さんは普段はどういったことを意識されていますか?
Dragon Chop:ずっと音楽のことしか考えていないですね。仕事中もずっと考えている。ムカつく奴がいるとイライラでそいつのことを考えそうになるけど「考えるな、考えるな」と思う。その時以外は音楽のことを考えています(笑)
*4 Akame Rockers… Dragon Chop 氏がキーボード、ボーカルを務めるバンド。日本文化とブラックミュージックを融合させた音楽を目指す。
*5 KARAMUSHI…神奈川・厚木のベテランのレゲエシンガー。メッセージ性の強い楽曲で人気を博する。
*6 ハイレ・セラシエ…1930~74年に在位したエチオピア皇帝の名。 また「三位一体の力」を意味する言葉。