SHAKARA

タイトル:しかたないこと

※ページ毎にご本人の作品をお聴きになれます

6.構成する9つ


 
 

1. Nas / illmatic
アルバム単位で言えば、おそらく人生で一番聞いた作品です。ラップとは何かを教えてくれた作品。

2. ATCQ / Low end theory
illmatic がラップを教えてくれた作品なら、これはヒップホップを教えてくれた作品です。

3. Max Romeo / War Inna Babylon
Dubby で黒くて骨太で。ロックステディも大好きですが、こうゆうレゲエに俺はなりたいです。

4. The Upsetters / Super Ape
Dub といえば。まともな人間では考えつかないディレイ処理の浮遊感。この世の作品ではない。

5. Miles Davis / Kind of Blue
ジャズを変えた作品。宝石みたいな作品だと思います。後にも先にもこの作品ほど現代音楽の流れを変えた物は無いのでは。

6. Chronixx / CHRONOLOGY
現代レゲエの最高傑作、最高到達点。このアルバムのツアーをNY在住時にしっかり見れたのは、とても大きな経験です。

7. 湘南乃風 / Riders High
私のレゲエのすべての始まり。

8. Kanye West / Beautiful Dark, Twisted Fantasy
ヒップホップは、この作品以前と以後に分かれると思う。アンダーグラウンドだったヒップホップをメインストリームに押し上げた作品です。

9. TERIYAKI BOYZ / SERIOUS JAPANESE
レゲエの始まりが湘南乃風なら、HIPHOPはテリヤキ。RIPも聴いてましたが、HIPHOPはカルチャーなんだと気づかせてくれた作品。

『職業ミュージシャンにはなりたくない。難しいけれど、なんでもありにはなりたくない』

7.お金についてどう思っていますか?

SHAKARA:お金は必要で大事だと思います。両方を経験したわけじゃないですけど、周りにお金がなくても音楽をやっている人がいて、このやり方が正しいんだと思って、ニューヨークにも行きました。日本に帰ってきて大学を卒業して、バイトをして、とりあえず暮らしていくには困らない額のお金を稼いで音楽活動をやっていくんだと。金がない中でのし上がっていく、それが合っている人もいると思う。

1年間やってみてそれが自分には合わないと思った。稼ぐ手段がそれしかなかったらしょうがないんですけど、日本のような豊かな国で、そうじゃない道を普通に歩んでいる人もいる中で、あえてお金のない中で音楽を続ける選択をした時に、クリエイティビティが繋がってこないと感じた。

それだったら手に職を持ってお金を稼いで、しっかりと時間を作って音楽をする方が自分のクリエイティブな部分を高めるには向いていると感じた。自分のやり方が正しいと思わないし人によるかとは思います。

-働き始めて仕事から学んだことはありますか?

SHAKARA:論理的なことを考えているのが左脳、アートなどは右脳で感じると言われていますよね。どっちかに偏る人が多いのかなと。音楽をやろうと思えば右脳しか動かさないし、仕事となると左脳しか使わない。凄く思うんですけど、それがどちらもうまく動かせた時にすごい力を発揮するというのが自分の中にある。

右脳の力で、新しいサービスを作る時と新しい曲を作る時の感覚は近くて、着想は同じだと思います。

仕事の時も右脳的なクリエイティビティは大事にしたいし、逆に音楽をやる時は「これをどうやって表現するのが、一番いいのだろうか」と考える、いい循環になっています。

右脳しか働かさないと「売れるためだったらなんでもいい」になると思うんですよ。うまく表現できないですが、自分のやり方に自信があって進め方を理解していれば、そうはならないかなと。

音楽で稼げればいいんですけど、自分が今経験している仕事をしながら音楽活動をしているこの考え方は、音楽でたとえ飯が食えるようになったとしても変わらないですね。

-触れる対象が変わっていくだけで、バランスのとり方は変わらないんですね。

SHAKARA:職業ミュージシャンにはなりたくない。難しいけれど、なんでもありにはなりたくない。

『「音楽好きの人にもっと Reggae を知ってほしい」、「若い人に Reggae を聴いてほしい」気持ちがあります』

8.音楽をやっていなかったら何をやっていると思いますか?

SHAKARA:先ほどの話に繋がりますが、新しいサービスやデバイスを作る、そういう類のビジネスマンになっている気がします。新しく出てきたアプリ好きなんですよ。「この不便をこう解消してきたか」と感じるし、あれは課題解決ですね。新しいテクノロジーを持ってくる人が好きなので、そういうのを生み出す人を目指していたかも。

-発想で機転を利かせるという点では音楽活動の話と共通しますね。

SHAKARA:そういうものだと受け入れていたけど、「ここをこうすればいいですよね?」と生み出せるビジネスマンは凄いと思います。

-少し、難しい質問ですが、なぜ「発想で解決をしていきたい」と、ご自身で考えるのだと思いますか?

SHAKARA:ゴリゴリの営業マンや可能であれば株をトレードして稼ぐ方がお金が大きいので楽だと思うんですよね。でも、それは自分しかよくならないと思います。やっていく中で、自分が生みだしてそれで稼げる、生みだしたことによって周りの人も便利になっている、「そっちの方がよくねぇか?」とせっかくお金を稼ぐなら単純にそう思います。

音楽の場合でも、自分の作品だけを作ってライブをひたすらして、お金をある程度稼いでやっていく選択肢もあります。なぜ、クラブでイベントをしているかというと、「音楽好きの人にもっと Reggae を知ってほしい」、「若い人に Reggae を聴いてほしい」気持ちがあります。そこから生み出されるものが絶対あるんだと思う。

『やりたいことのためにやりたくないことを切り捨てる勇気』

9.これまで生きてきた中で、印象に残っているエピソードを教えて下さい

SHAKARA:自分、野球部だったんですよ。それで全然うまくいかない時期があって。

-守備位置はどこだったんですか?

SHAKARA:センターだったんですけど、1年の時はそれなりにできたので、先輩の試合にも連れて行ってもらって良い感じに過ごせた。そこで「俺、いけんじゃん」と思っちゃって、全然努力をしなくなった。2年生になった時にレギュラーを降ろされて、後輩が俺の代わりにレギュラーになって。

それ自体すごくきつくて、そこで「よし、レギュラーを取り返せるように頑張ろう」と思える人間もいますが、その時の俺はそうしなくて「これ、頑張ったらダサいわ」と思っちゃったんですよ。

「レギュラーを獲られて悔しい、必死になって取り返そうとする姿がダサい」とみんなに思われそうだと考えて、そこから「元々、レギュラーに興味もないし」みたいなスタンスでふざけだした。

-必死になることが格好悪いと感じる思春期の話ですね。

SHAKARA:それが、半年ぐらい続いて、中3になるかならないかの時に父親に「お前、そんなことだったら今すぐ辞めろ」と言われて。別に怒っているんじゃなくて、「それ、意味あんの?」みたいな。

「学校終わってだらだらと練習して、だったらお前辞めろよ。やるんだったらちゃんとやって、やらないんだったらぱきっと辞めりゃいいんじゃないの」と言われた時に、誤魔化していたなって。レギュラー落とされて後輩に取られて、向き合うとキツくて、向き合わないようにちゃらちゃらやっていたんですよ。

そこから「ちゃんとやるか」と思って、レギュラーを取り返したんですよ。それ自体は大きな経験だったんですけど、それ以上に思ったのが「俺は野球が好きじゃねぇ」と。

-向き合ったからこそ、気がついたのかもしれませんね。

SHAKARA:小学生から野球をやっていたから、中学も高校もやるのが当たり前と思っていた。雨の日になって練習がなくなると、みんな喜ぶんですけど、「練習がなくなって喜ぶようなものに時間を費やしてどうするんだろう」と思って。

それで、音楽と出会ったのもあって、音楽が好きだから高校に入ったら音楽をやろうと。

人生の中で向き合わなきゃいけないことはあると思うんですけど、やりたくないことはプラスになるわけじゃないし、必要じゃないことは容赦なく切り捨てた方がいいと思ってきて。もちろん、それが誤った判断を生むこともある。年齢を重ねてからはそれが全てじゃないと思うようになってきましたけど、それはひとつ人生の教訓としてあるかもしれませんね。

とても嫌な人間に聞こえますけど、周りに流されてやりたくないことに時間を費やす必要はないかと。やりたいことのためにやりたくないことを切り捨てる勇気。その時にすごく感じました。あのまま惰性で野球を続けなくてよかった。

-ちなみにプロ野球では、どこのファンなどありますか?

SHAKARA:全く観ないので特にないです。

-先日、野球を生で観に行きましたけど、とても楽しかったです。

SHAKARA:あれだけの大人数がひとつのボールを見る、その熱量は凄いですよね。

『どこかしらで誰かが影響を受けてくれていたら、いいなって。そう思います』

10.人生に関するこだわりや、どんな人生にしたいかを教えて下さい

SHAKARA:自分なりにこだわって今まで切り捨ててやってきたんですけど、最近とても感じるのは”こだわるためにこだわらないことに向き合う強さ”も必要だなと。こだわりたいから他のすべてを切り捨てる感覚でいたんですけど、本当は切り捨ててはいけないものもいっぱいあったはずなんですよ。

それを見てもいない、経験もしていないのに切り捨てていた。でも、今まで切り捨てたものの中にこだわりにとっても大切なことが転がっていると思っています。一度、経験してみる強さ、時間も取られるしストレスも溜まるし本当は嫌なんですけど、その強さを持つのはひとつ大切だなと。

あとは、周りの人にいいインスピレーションを与えられる人になりたいです。別に誰にでも優しくできるタイプじゃなくて。そういうことが自然とできる人は本当に尊敬します。困っている時に世話をして、どうあろうが優しく接せられる人。実際、そういう人に助けられてきた。

同じことが自分もできるのかと考えたら、やっぱり出来ないなというのもあります。少なくとも身の周りの人にはいい影響を与えられる人でありたいって。そこから始めようって。それを徐々に広げられたらいいなと思います。

自分が作った曲を聴いて Reggae を始めようと思う人が出てきたり、イベントに来てくれて Reggae に触れて音楽の幅が広がったりしたら嬉しいなって。その程度です。

直接的に何かをするより、やっていることや見せたい世界で人生が救われたまではいかなくても、どこかしらで誰かが影響を受けてくれていたら、いいなって。そう思います。


【アーティスト情報】


 

SHAKARA

– profile –

1994年東京生まれ。レゲエアーティスト、ビートメイカー。
15歳から東京を中心に活動を始め、2013年から2年連続で、MightyCrown 主催の”Sound City”において未成年枠の”YoungBloods”に抜擢され、大きな話題となった。
2017年から単身渡米し、NYでのルームメイトでもあった Daisuke Kazaoka と共に、音楽レーベル”Grand Avenue Records”を設立。
2021年には自身がトラックを手掛けた楽曲”OLD SONGS”をリリースし、ロングヒットを記録。2022年には自身がセルフプロデュースを手掛けたEP”street nerd”を発表。
 

-Subscription-

 

-SNS・website-


【レーベル情報】

 

Grand Avenue Records

– profile –

2017年、NewYork Queens にて、当時の同居人であった SHAKARA と Daisuke Kazaoka が出合い、グッドミュージックとしての”レゲエ”を表現することを目的に設立された音楽レーベル。2019年に、Mosvag、Pluto、Shoma fr dambosound が加入し、現在の体制となる。
2021年には、青山蜂にて主催イベント”Grand Avneue Camp”を開催し、レゲエの新たな形を提示し、レゲエシーンやクラブシーンを中心に大きな注目を集める。2022年には、レーベル初のコンピレーションアルバム”Steamin’”をリリース。

 

-SNS・website-


【Discography】

SHAKARA
WET PAINT

release: 2017 / format: EP


SHAKARA
PART 2 STYLE MAGAZINE 2018年9月号 〜スタジオワン特集〜

release: 2018 / format: mix tape


SHAKARA
PART 2 STYLE MAGAZINE 2020年5月号 〜Studio One × Chill特集〜

release: 2020 / format: mix tape


SHAKARA
しかたないこと

release: 2020 / format: single


SHAKARA
The Rocksteady Boy

release: 2020 / format: demo single


SHAKARA
いなくなる前に

release: 2020 / format: single


SHAKARA
OLD SONGS

release: 2021 / format: single


SHAKARA
street nerd

release: 2022 / format: EP



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