茶封筒

『キセキの集合体』 深淵なる茶封筒の中身

左から、ベース・かずしげさん、ボーカル&ギター・らすてぃーさん、ドラム・のりおさん

タイトル:シーサイドゴリラ

※本人の楽曲を聴きながらインタビューを読めます

高い演奏力と、一度聴くと忘れられない中毒性の高い楽曲で、強く心地よいインパクトを聴衆に与える3ピースバンド・茶封筒。
ライブハウスに通う音楽ファンはもちろん、バンドマンやライブハウス関係者からも広く愛され、注目を集めています。

茶封筒が多くの人を惹きつけてやまない理由。その一つに、メンバー3人の「人柄」があるのではないか?
そう考え、今回インタビューさせていただきました。

掴めそうで掴めない、でも確実に何かがある茶封筒の中身をいっしょに覗いてみましょう。
まずは、今まであまり語られなかった結成秘話〜活動初期のエピソードから。

『1回、5人でスタジオ入りましたよね?』

<インタビュー>

1.なぜ音楽をやっているのですか?

らすてぃー:一人ずつ答えた方がいいですか?

-そうですね、お一人ずつ答えていただけるとありがたいです!茶封筒の皆さんは、ライブをかなりたくさんやられてますよね。あの本数を維持されているのはすごいなと思っていました。

らすてぃー:ライブの本数は意識してはいるんですが、個人的に言うと、ライブも僕にとっては生活の一部というか。辞めるっていう選択肢が特になくて。

音楽活動が日常生活の一部ですね。曲作りも、曲を作ろうとして作るのではなくて、生活をしていると曲ができてしまいますね。

かずしげ:自分は創作みたいなものをしないので…ベースラインを考えることはするけど、曲自体は作らないので。楽器を弾きたくなったら弾くっていうのを、始めたときからずっとやってきたらここまで来ました。

のりお:この質問、難しいですね(笑)自分の場合は一時期、4年間くらいドラムをやってなくて。そこから、うちのらすてぃーと出会って、茶封筒を始めて。やっぱり、結局バンドがやりたかったのかな。
自分は特に、音楽が生活の一部とかっていう意識はなくて、「新しいものを作ってみたい」っていう衝動がまた戻ってきて、そこからまた音楽がやりたいなぁと思って。

-ちなみに、茶封筒結成の経緯はどういう流れだったんですか?

らすてぃー:経緯は、僕がずっと1人で曲を作っていて、ライブをやるときだけスポット的にメンバーを集めてやってました。仲が良い人の大学のスタジオで、ちょっと演奏するっていう。でも、メンバーは、結婚とかだったり、大学院に行くとかで安定しなくて。

その頃はライブハウスには出てなかったんですけど、正式なメンバーを集めようと思って、OURSOUNDSに曲をアップしてました。5曲くらいでしたっけ?

かずしげ:結構上がってましたね。

のりお:10曲くらい上げてたんじゃない?

らすてぃー:そう、10曲くらいブワーッと曲を上げて。メンバー募集したんですね。

かずしげ:OURSOUNDS、バンドメンバーの募集サイトですね。

のりお:募集ページを見る度に、アップされている曲が増えてた気がする(笑)「あ、また増えてる!」って。

-らすてぃーさんのメンバー募集がきっかけで、皆さん集まったんですね。

らすてぃー:そうですね。最初5人集まって。

-最初5人だったんですか!

らすてぃー:1回、5人でスタジオ入りましたよね?

かずしげ:入りました。2回じゃない?

のりお:2回か3回かな?

かずしげ:3回くらい多分入りましたね。

らすてぃー:最初、僕は歌う気なくて。

-そうだったんですね。

らすてぃー:他の人に歌わせようと思って、ギター・ボーカルと、キーボードがいたんですよ。キーボードに、COOL JAPANみたいな見た目の女の子がいて。

-(笑)

かずしげ:全身ピンクみたいな、ヤバい雰囲気で(笑)

のりお:登場するときは必ずキックボードに乗って現れる(笑)

-強烈なキャラクターですね(笑)

かずしげ:キックボード盗まれて遅刻してきたことありましたね。

らすてぃー:鍵が甘いから盗まれやすいんですよね、キックボードは。

-確かに(笑)

らすてぃー:それで、ギター・ボーカルの子はバンド未経験者だったのかな?初心者でもOKで募集してたんですけど、僕ら3人が経験者だったのもあって、ちょっと先に抜けて。

キーボードの女の子は、パン屋さんで働いてたんですけど、パン屋さんがブラック過ぎて、練習に来れなくなって辞めちゃって。

-それが時期的にはいつ頃だったんですか?

かずしげ:2017年の夏、8月ぐらいですね。その頃に初めてメンバーでスタジオ入って。

らすてぃー:結局3人になって、最初にライブやったのが、11月でしたね。

-初めて茶封筒で出演されたライブハウスってどこでしたか?

らすてぃー:下北沢のDaisy Barでした。

-そこから活動の輪が広がっていったんですね。

らすてぃー:いやー、そのときは全然軌道に乗ってないですね。

Daisy Barで2回ライブやったんですけど、どっちも特に反応なかったですよね。そのときの対バン相手とは仲良くなって、今でも仲良いんですけど。

それで、「しょうがねぇな」みたいな感じになって。新宿のライブハウスに行って、2回出たんですけど、2回目で「対バンで合わせるバンドがいない」って言われて。

かずしげ:Marbleですね。

らすてぃー:でも「そんなことないだろう」って思って(笑)

で、僕が北海道出身なんですけど、下北沢の近松っていうライブハウスにたまたま北海道出身のブッカーさんがいて。周りの友達でも、近松でライブやってる人たちがいたので、連絡してみたんですよね。いつ頃でしたっけ?

かずしげ:近松に初めて出たのは、2018年の4月ですね。

らすてぃー:その間に1回、新宿レッドクロスに出ましたね。

かずしげ:2017年の12月にレッドクロスに1回出て、Marbleにも出て。2月にまたMarbleに出て、そこで断られて。で、3月がライブなくて、4月に近松出てっていう。

らすてぃー:近松では初対面の人の活動休止企画に呼んでもらって。

-それはレアなケースですね(笑)活動を開始された頃のお話を知らなかったので、今興味深い話を聞けていますね。

らすてぃー:「不思議だね」とはよく言われますけどね。

かずしげ:「OURSOUNDSで会えたのが奇跡だよ」って言われたりしますね。

らすてぃー:メンバーの募集自体は、2017年の7月くらいから始めて。ちょいちょい会ってはいたんですけど。ギタリストとかはやっぱり、連絡は来るけど実際会いましょうかとなると待ち合わせには来ない、みたいなのは多かったですね(笑)

かずしげ:自分は、2017年のゴールデンウィークに暇すぎてOURSOUNDSに登録したんですよ。

のりお:俺も会ってたもんな、たまに。メンバー募集でいろんな人に会って、スタジオ入ったりとか。

-話が少し戻りますが、茶封筒を始めるとき、らすてぃーさんは最初ボーカルをされる予定ではなかったんですね。

らすてぃー:最初は絶対イヤでしたね。なんというか、まだ恥ずかしさみたいなものがあるじゃないですか。それよりは、他に誰かボーカルがいて、自分はそれにハモるくらいが丁度いいのかなって思ってました。

でも、最初のギター・ボーカル候補の人に歌ってもらったら、やっぱりなんか…「違う!」ってなって(笑)

かずしげ:らすてぃーさんが自分の声でデモ作った曲を人に歌わせると、全然違うものになるんですよね。

-イメージが変わってきますよね。

らすてぃー:最近、茶封筒のカバーをしてくれる人が増えてきてて。それはすごく良いんですよね。その人の味が出てて。

-元々音楽を始めたときも、歌は歌われてなくて、あくまでギタリストだったんですか?

らすてぃー:始めたときは、歌ってはいたんですけど、でも、やっぱりメインのボーカルは別にいましたね。

のりお:ギターとコーラスっていう感じ?

らすてぃー:でも、ギターもそんなに好きじゃないんですよ(笑)

『SoundCloudのアカウントが4つありますからね』

2.創作の方法について教えて下さい

かずしげ:らすてぃーさんがSoundCloudに新曲を上げて、それを僕とのりおさんが聴いて、バンドでやりたい曲を選んでいますね。

のりお:それも、上がってくる新曲の曲数が半端ないんだよね。10数曲くらい。そこから選ぶっていう方も結構しんどいですね(笑)どうしようかなーって。

らすてぃー:僕は割とデモをバンバン録ってアップするので。

のりお:実際知らない曲もあるかな。忘れてるのかな。

らすてぃー:僕も忘れてますよ。「このタイトルの曲、何だっけ?」って。

-(笑) らすてぃーさんは作曲のペースが早いんですね。

らすてぃー:そうですね。そもそも、新曲をデモにする時間がなくて。なので、実際はSoundCloudに上げてる曲以上に曲数はありますね。

全部で180曲くらいあると思います。そこからSoundCloudには160曲くらい?

かずしげ:160曲くらい上がってますね。

のりお:どの曲がどこにあったか探すのも大変で(笑)

かずしげ:SoundCloudのアカウントが4つありますからね。

-4つもあるんですか!

のりお:「あれっ、あの曲ないよなぁ」って。

-茶封筒の曲はテーマや内容がすごく独特ですが、曲作りのヒントはどこから得てらっしゃるんですか?

らすてぃー:何ですかね?何でもいいと言えば何でもいいんですよね。僕、タイトルから曲を作るんですよ。タイトルを頭に入れて、そこから何となく作り始めて。

-こういうタイトルの曲を作ってみようか、っていうところからなんですね。

らすてぃー:そうですね。そしたら、何となく、映画じゃないですけど、こういうストーリーが合うかな、っていう作り方ですね。「沢田」とかは作り方がまた別ですけど。

-「シーサイドゴリラ」っていう曲があるじゃないですか。「シーサイドゴリラ」っていうワードは、直感で出てきたんですか?

らすてぃー:「シーサイドゴリラ」は、江ノ電に乗ってたときに、蛍光ピンクの水着を来てる黒ギャルがいて。電車から見えて、「ゴリラみたいだなぁ」って思って。

-(笑)

らすてぃー:別になんか、ギャルって悪い人じゃないなっていう人が多くて。僕の地元でも、友達に結構ギャルの子がいるんですけど。ハッピーな曲ですね、あれは。

-黒ギャルのことを「シーサイドゴリラ」って歌ってたんですね。

らすてぃー:「シーサイドゴリラは カラオケ声小さい」っていう歌詞は、ギャルが裏声で歌うことを言ってるんですよ。ミックスボイスとかっていう概念がなくて、カラオケで倖田來未とか歌うと裏声になるんですよね。

-そういう意味だったんですね(笑)
では、まずらすてぃーさんがいっぱいデモ音源をアップされて、そこからかずしげさんとのりおさんが「この曲をバンドでやろう」ってピックアップされているんですね。

かずしげ:そうですね。それで、ピックアップした曲をみんなでスタジオでやってみて。

でも、スタジオでやってみると、だいたいデモ音源とは全然違うものになりますね。

らすてぃー:そうですね。結構、曲のジャンルごと変わることもありますね。

かずしげ:メロディが変わったりもしますね。

らすてぃー:歌詞も変わりますね。

-それは、バンドでスタジオに入ったときにかずしげさんとのりおさんからアイディアが出るんですか?
それとも、スタジオで合わせてるときに、らすてぃーさんが「やっぱりこうしよう」って思いつくんですか?

らすてぃー:大体リズム隊の2人からですかね。

かずしげ:そうですね。

-スタジオワーク中は、かずしげさんとのりおさんのお二人からなんですね。

かずしげ:あんまり自分、口では言わないですけどね(笑) 黙ってベースラインを変えたり。

-なるほど(笑)

のりお:結構もう、「みんな自由にやって」みたいな感じで。

-うまく合わさる瞬間を待つんですね。

らすてぃー:それはライブのときもありますね。

のりお:曲によっては、スタジオではあんまり合わせてない曲もありますね。

-スタジオ練習はどれくらいのペースで入られてるんですか?

かずしげ:去年はライブが多すぎてなかなか入れなかったんですけど、基本は週に1回、2時間です。

らすてぃー:最近は、ちゃんとスタジオに入るのは1ヶ月に1回とかでしたね。

-ちなみに、かずしげさんとのりおさんがデモ音源からピックアップされる曲は、らすてぃーさん的には予想どおりなのか、逆に意外なチョイスだったりしますか?

らすてぃー:あー、「ここ好きなんだ」っていう意外なチョイスはありますね。
例えば、「寿司屋の彼氏」や「酢を飲めよ」は、曲と曲を作ってる間に作った曲だったので。

-そうだったんですね!息抜きとして作ったと。

らすてぃー:「酢を飲めよ」のデモも、僕が職場で休憩時間に作って。

かずしげ:小声のデモ音源ですよね(笑)

らすてぃー:そしたら、ああいう曲として完成しましたね。


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