左から、ボーカル&ギター・古屋ひかりさん、ベース・縫部たまきさん、キーボード・田中琴音さん、ドラム・近藤宇音さん
タイトル:電線と生活
※本人の楽曲を聴きながらインタビューを読めます
『「完璧だ!」ってなりましたね』
ひかり:自分が高校3年生のとき、受験が終わったのが11月くらいだったので、そのときからバンドやろうっていうのは話してましたね。
実際にライブとか始めたのは、大学1年生のときでした。
たなか:今メモ見たら2017年の6月が、3人でやったやつだけど、それが初ライブだった。
ひかり:もう3年前か。
ヌイベ:全然そんな気がしない。
-最初、誰がバンドを組もうって言い出したんですか?
ひかり:たまちゃんが「スタジオに入ろう」って言って。
ヌイベ:自分ですね。
ひかり:最初2人で始めて。それで「メンバーどうする?」って。
ヌイベ:お互い知り合いがいなくて(笑)曲だけは作り始めてたんですけど。
たなか:その前に、3人で別のバンドを…4人だったんですけど、ねねちゃんじゃないドラムの子がいて、4人でやってた時期もちょっとあるんですよ。
ヌイベ:あれいつだろ?
たなか:結構前…5年くらい前かな?
ヌイベ:そんなに前か。
たなか:それもなかなかうまくいかなくて、1回辞めて。シロイソラがそのバンドの続きとかじゃなく、一旦なくなって。
私も一旦バンドを辞めて、やるかやらないかも悩んでたんですけど。
そのときはキーボードじゃなくて何のパートだったっけ、ギター・ボーカルだったのか。
ヌイベ:そうだ。
たなか:ひーちゃんはまだ歌ってなくて、ギターだったね。私がギタボで。めっちゃ忘れてたね(笑)
ヌイベ:忘れてたね(笑)
たなか:私はその後、「ベースか何かでバンド組もうかな、どうしようかな」っていうぐらいで、ゆるく考えてて。
そしたら、2人に「別のバンドとして始めるから、また入ってもらえないかな?」って声かけてもらって。
ひかり:それで3人揃って、「じゃあドラマーをどうしようか」ってなって。
「同級生に1人いる」って、ダメ元でねねに声かけて。
最初みんなでスタジオに入った日、すごいドキドキして。「この子はこの雰囲気に合うのかな?大丈夫かな?」って。
そしたらすごく楽しんでくれて。「掴んだ!」って思いましたね。
たなか:あんまり最初の日のこと覚えてないなぁ。
ねね:でも、たまちゃんの呼び名の話があって。
たなか:あっ、言ってたね。
ねね:最初、「何て呼べばいい?」って聞いたら、「『たまちゃん』って呼んで」って言われて。
「縫部たまき」っていう名前なんですけど、カタカナで「ヌイベタマキ」って書いてあって。
たなか:LINEの名前がね。
ねね:ひーちゃんも、私にたまちゃんの話をするとき「ヌイベタマキが〜」ってフルネームで言ってたから、下の名前が「まきちゃん」だと思ってて。「ヌイベタ マキ」ちゃんだと思ってたんですよね。
だから、「え、『たまちゃん』…?」ってなって。
たなか:あったね、その話(笑)
ねね:それだけしか覚えてない…(笑)
ヌイベ:最初の日のこと、全然覚えてない。
たなか:もったいないね(笑) 思い出したい。
ねね:最初、*永山だっけ?
たなか:そう、永山。
ひかり:最初、みんなで永山のスタジオに入って。
*永山・・・東京都多摩市の地名。京王永山と小田急永山の2駅がある。
-ちなみに、最初ヌイベさんがひかりさんとバンドを組もうとしたのは、ボーカルとして歌ってほしいと思っていたんですか?
ヌイベ:そうですね、ひーちゃんに歌ってほしいなって。
たなか:たぶん、音楽の趣味の影響は受けてて。ひーちゃんも。「この人となら、好きな音楽がやれる」ってお互いに思ってたんだろうなっていう。
ヌイベ:言うこと聞いてくれそうって(笑) やりやすさ、ですね。たなかにも入ってほしかったし。
音楽やるとなったら、やりやすさって大事だなって。単純に、喋りやすい人がいないし。
たなか:たぶん高校の部活の中で、一番音楽的な趣味は合ってたよね。
ヌイベ:ドラムだけが、ほんとに知り合いがいなくて。そしたら、めちゃくちゃ逸材を連れてきてくれて。「完璧だ!」ってなりましたね。
-シロイソラとして最初に作った曲って覚えてますか?
たなか:「6月の記憶」?
ヌイベ:あれはその前のバンドからやってたかな?
たなか:引き継いでやってたよね。シロイソラとしての最初の曲は、「海の見える街」。
ヌイベ:今はもうやってない曲ですね。そうだ、あの曲だ。
ひかり:たまに弾き語りで自分が歌ってます。
ヌイベ:そうだ、1人のときに。
-「海の見える街」は、ヌイベさん作の曲ですか?
ヌイベ:そうですね。
ひかり:タイトルのとおり、海の見える街に泊まりに行ったときに作った曲ですね。
自分の母の知り合いの家が、千葉の銚子っていう所にあって。自分がギターを持って2人で遊びに行って。
ヌイベ:それで、「ちょっとこれ弾いて」って自分がフレーズを弾いたのをそのままひーちゃんに弾いてもらって、「とりあえず弾いてて」ってずっとやらせながら曲作って。めっちゃこき使ってましたね…(笑)
たなか:私、「皮相」も作ってて。あの曲も結構最初の段階であったよね。
ヌイベ:同時期くらいにあったね。どっちも今やってないのか。
-「皮相」は1stシングルに入ってる曲ですよね。ちなみに初ライブの場所はどこだったか覚えてますか?
ひかり:初ライブは、下北沢のDaisy Barでしたね。
たなか:2017年の6月でした。
ねね:3人でやったときだよね。
たなか:そう。そのときはねねちゃんも既にメンバーになってたんですけど。
ひかり:うちらが、早くライブやりたいって先走っちゃって。
たなか:ブッキングに誘われたときに「出ます!」って即答しちゃって。そしたらねねちゃんが都合が合わなくて。ごめんね、あのときは…。
ヌイベ:これで「辞める」って言われたらどうしようって思ってた…(笑)
たなか:ライブハウスに断るのも、さすがに初ライブだとできなくて。
ひかり:3人編成でやるしかないってなって。
たなか:ドラム、打ち込みしたんだよね。
ヌイベ:たなかに、自分の大学に来てもらって。自分が音源を聴いて、「ドラムたぶんこうだと思う」って言いながら打ち込みを作って。
たなか:しかも、別に打ち込み用でもないようなフリーソフトで(笑)
ヌイベ:そうそう(笑) やってたね。
たなか:それが2017年の6月8日、Daisy Barでしたね。
ねね:でも私、そこで初めて「あ、私メンバーなんだ」っていうことに気づいた。ずっとサポートだと思ってて。
たなか:えっ、嘘だ(笑)
ねね:今度のライブのためのサポートメンバーだと思っててそこまではやってて。
ひかり:「サポートでもいいから」っていうことは言ってたかもしれない。
ねね:そう、それでサポートだと思ってて。そのライブには出れないのに、まだバンドにいていいんだ、私メンバーなんだなって。
たなか:その次のライブが、2017年の8月30日に、またDaisy Barでしたね。
ひかり:それは何人編成?
たなか:それが4人編成の初ライブ。
ヌイベ:あんまり覚えてない。
たなか:(メモを遡って)セットリストが、「廻る」、「海の見える街」、「電線と生活」、「クチナシ」、「リバーサイドヒルズ」。
ねね:おぉー。
ヌイベ:懐かしい。
たなか:この日、Landmarkと初めて一緒に出たんだ。Landmark、moon grin、postman’s walker。
ねね:分かる!覚えてる。
たなか:なんだかんだ覚えてる。
-Daisy Barが最初出始めたライブハウスだったんですね。
ひかり:そうですね。
ヌイベ:自分が候補に挙げて。
ひかり:たまちゃんから「電話しといて」って言われて。
たなか:こき使われてる(笑)
ヌイベ:電話嫌いだから、お願いって(笑)
ひかり:最初確か大学の帰り道とかに、歩きながら電話かけて。でも「ライブハウスの人に何て言えばいいんだろう?」って思って。
ヌイベ:そういうのも考えたくなかったから…(笑)
ひかり:「あ、出たいんですけど…」って電話口で話して。「曲は…オリジナルです」とか(笑)
最初はブッキングのシステムもよく分かってなくて。そしたら、「とりあえず何か音源を持ってきて」って言われて。
たなか:それで3人でDaisy Barに行ったんだよね。そのときも、ねねちゃんだけ確か時間が合わなくて。
そこで日程を言われたから、3人で決めちゃって。保留していいのかも分かんなかったんだよね。
ひかり:そう、それも分かんなくてね。
たなか:ここで答えないと出演させてもらえないと思って(笑)
ひかり:下から下からだったね。分からないから。
『「この人たちは素でオルタナティブをやってる」って言われて』
4.創作の方法について教えて下さい
ヌイベ:自分が曲を作るときは、最初に抽象的な「こういうものを作りたい」っていうぼやっとしたイメージがあって、それを少しずつ具体化していくみたいな流れで毎回作ってます。
曲によって違うんですけど、ある程度各パートのアレンジとかを考えて、iPadとかで「こんな感じ!」って作って送るときもあれば、ほとんど何にもなく、言葉で「なんかこんな感じ」って伝えるときもありますね。
たなか:iPad買ったのいつだっけ?最近でもなくなってきたけど、しばらくはなかったよね。
ヌイベ:一昨年の春くらいに買ったのかな。
ひかり:アレンジが具体的に決まってるときもあれば、ベースと歌だけとか、それが究極にシンプルなパターンですね。
ヌイベ:ベースと歌だけは、1回しかやってない(笑)
たなか:でもさ、こないだ送ってくれたデモ音源で、まだバンドで合わせてないのあるじゃん。あれ聴いてたら1曲あったよ、ベースと歌だけの曲。「かえっておいで」かな。
ヌイベ:あー!マジか(笑) 大体はギターとかピアノで伴奏をつけてますね。
ひかり:たまちゃんがいつもデモ音源を送ってくれるときに、テンポを刻む用のメトロノームが入ってるんですけど、そのメトロノームの音も、アレンジの音の一部なんじゃないかって思うときがあるんですよね。
外の環境音とかもよく入ってるんですけど。車が走ってる音とか。それも楽器の音みたいに聴こえて。
たなか:あれはあれで1個できあがってるよね。
ヌイベ:各パートのアレンジはそれぞれみんなに任せて、一緒に考えながら作るっていう感じですね。
たなか:初めて合わせるときに、とりあえず「こんな感じかな?」ってやってますね。
スタジオで1回目合わせて、ヌイベに「そういう感じじゃない」とか、「そこはそれでOK」とかコメントをもらって。
1回録音しておいて、持ち帰って。
ひかり:合わせる回数を積み重ねながら、徐々にできていきますね。アップデートされていく感じ。
たなか:そうそう。
-コード進行と歌だけ最初に作って、メンバーみんなでアレンジを足していっているんですね。
ヌイベ:結構そんなことが多いですね。
たなか:その場のノリみたいなものをちょっとずつ重ねていって。
-アレンジを採用するかどうかの判断は直感的なんですか?
ヌイベ:自分が好きかどうか。
たなか:最初のイメージに合ってるかどうか、とか。
ヌイベ:やっぱりイメージが、最初に強いのがあります。
ひかり:ドラムのアレンジがすごいよね。いつもその場で答えるんですよ。
ヌイベ:口で適当に伝えて。
たなか:ヌイベの表現が、なんとも抽象的で(笑)
ヌイベ:うまく言えないことをすごい伝えて(笑)
ねね:分かんなくて、停止しながら考えてますね。
ひかり:それをみんなで待つんだよね。絶対フレーズが降ってくるから。降ってきたらまた突然動き始めて。
ヌイベ:想像を超えるドラムアレンジを毎回出してくれる。
ひかり:でもねねは毎回「合ってる?合ってる?」って確認してきて。
たなか:一番不安そうだけど、全然一番できてるよね。
ひかり:それでみんなで「いいよ〜!!」って言う。
ヌイベ:めっちゃいい。ドラムはアレンジ、ちゃんと作ったことほぼない気がする。口で言いながら伝えてる。
ひかり:ドラムを口で言うってすごいよね。
たなか:結構、ハイハットとか言うのもままならないよね(笑)「シャンシャン」みたいな伝え方。
-メロディが先か歌詞が先かって傾向はありますか?
ヌイベ:歌詞は、いつも思い浮かんだ言葉とかをメモしていて。曲作るときは、まず音を適当にバーって積み上げていって、それと同時に「この言葉を当てたらいいな」って思い浮かべば一緒に当ててるし、言葉が浮かばなかったらそのストックしてるところから探して「この音ならこの言葉がいいかな」って当ててますね。言葉から作ることはないかもしれないですね。
たなか:結構、メロディに対して言葉が自然になるように作るのはこだわってるんだろうなって思います。
ヌイベ:そうそう。イントネーションがおかしくないか、とか。
たなか:ギターのリフっぽいのを送ってくれるときと、コードを送ってくれるときとあるじゃん?
ヌイベ:うんうん。
たなか:あれは、やっぱりどっちが先に思いつくかによるんだ?
ヌイベ:デモ音源を送るときは、「最低限、この感じこの雰囲気が守られていればあとは自由にしていいよー」っていう状態にしてる。
リフがあるときは、「このリフはキープしてほしい」とか。でもちゃんと言ったことはないね。
たなか:でもそうなんだろうなっていうのは分かる。
-良いリフを思いついたら、それを使ってほしいっていうことですよね。
ヌイベ:そうですね、「これ以上良いのはない」っていうところまで自信を持ってたら「これで!」って入れますね。
たなか:1回、お世話になっているライブハウスのブッカーさんがスタジオ練習を見に来てくれたことがあって。
そしたら、「この人たちは素でオルタナティブをやってる」って言われて。
ひかり:スタジオ練習のときもそんなにテンション上がるときってなくて。
たなか:今のインタビュー中がマックスくらいかも(笑)
ひかり:スタジオで曲がジャーンって終わった後も、沈黙が流れたりして。
たなか:誰かが喋り始めるまでね。
ひかり:ブッカーさんは、たぶんそれに耐えられなくて、「静かだねー」って言ってました(笑)
そのときに、「この人たちは素でオルタナティブをやってる」って言われたんですよね。
たなか:ほんとに抽象的な言葉で「どうしてほしい」とか話してるから、あんまり理論的な言葉は使ったことないね。
ヌイベ:普段はこうだけど、仕事のときはちゃんと言ってる。「これとこれをいつまでにこうしてください」って(笑)
-抽象的っていうのは、例えば「空みたいにして」とか「海っぽくして」っていう言い方ですか?
ヌイベ:そうそう、そういうときもあります。「波が鳴ってて」とか。
ひかり:ボールプールっていうバンドのギターの方とたまちゃんが知り合いで。
ヌイベ:大学の先輩ですね。
ひかり:対バンした帰りに、「どうやって曲作ってるの?」って聞かれて、今話したみたいなイメージですって答えて。
自分たちが、ボールプールのある曲で「水が湧いてくるような音ありましたよね?あれどうやってやってるんですか?」って聞いたら、「水…?どれだろう…」って言われて(笑)
逆に「うちらはこうやって作ってるよ」って教えてもらって、「そういう感じなんだ」って思いましたね。
たなか:あと、「温室」のレコーディングのときかな?イントロを「雷様みたいな感じで!」って言ってたよね。
ヌイベ:「伝わるかな?」って思いながら。
たなか:でもみんな分かるんだよね。
ひかり:「温室」の最初のイントロね。
たなか:ヌイベとねねちゃんで録ってたときにね。
ひかり:後から聞いて、「あっ、雷だったんだ」って(笑)
-「温室」のイントロはすごく良いですよね。
ねね:叩くときに、ちゃんと手も振りながら叩いて、雷様っぽく見えるようにしました。
たなか:それは初めて聞いた(笑)
ねね:フレーズとしてもそうだし、見てる側もちゃんとイメージできるように。
たなか:確かに、そう言われるとそうだね。
-今まで3枚音源をリリースされていて、1枚ごとにアレンジやバンドとしてやりたいことが変化したり進化しているのが、リスナーとして聴いていても伝わってきます。
1stの1曲目に入っている「グレー」から既にシロイソラの世界観ができあがってるし、それと3曲目の「海底カーテン」がシロイソラの中では明るい雰囲気の曲ですよね。
たなか:最初、そういう曲を作った方がいいかなっていうので。
ひかり:もっといっぱい、幅を広げたいというのもあって。思いつくままに作ってましたね。曲がなきゃライブもできないし。
ヌイベ:嫌いにならない程度に明るい曲にしようと思って(笑)
たなか:許せるギリギリ。
ヌイベ:あれがたぶん上限だね。そう、最初は曲調の幅を広げようって言ってたよね。
ひかり:自分たちも分かんなかったし。
ヌイベ:そう、あんまり定まってなかった。
-「海底カーテン」は、ひかりさんとたなかさんのツインボーカルですか?
たなか:音源はそうですね。最初、ひーちゃんだけ歌う形で作ってたんですけど。
ひかり:元々ライブで一緒に歌ってて。自然とそうやって録りましたね。いろいろ模索してたときで。
たなか:たまたま、録ったタイミングではそうだったっていう。
ヌイベ:ダブルボーカルでいこうって思ってて。
ひかり:いろいろ考え続けてた結果でしたね。
-その後の2nd『ノスタルジア』では、それこそ1曲目の「温室」のイントロが衝撃的でしたね。
ヌイベ:「ぶち壊してやろう」って思って(笑)
ひかり:温室をね。
ヌイベ:「温々した所にいやがって!」っていう、皮肉を込めてます。
-2曲目の「シオン」も、代表曲的な位置付けですよね。
ヌイベ:好きな曲ですね。自分で作ったけど。
-3曲目は「電線と生活」。
ヌイベ:良い曲。ライブでやりたいんだけどね。
たなか:あれ良い曲だよね。
-タイトルがすごいですね。「電線」が出てくるのが。
ヌイベ:たなかが作った曲ですね。
たなか:電線が好きなんですよね。高校卒業のときに有志で作る冊子みたいなのがあって、やりたい人だけ寄稿できるんですよ。
それで、自分が卒業したときのやつをパラパラっと読んでて、書き出しの方だったと思うんですけど、「電線で夜空の星が見えなくなってて、文明が発達したせいで寂しい」っていうことを書いてたんですね。
一方で、新宿とかに行くと電線が地下化してるじゃないですか。もっと都市化して発達した所だと。
高校が杉並なんですけど、あの辺はまだ全然電線とかある住宅街で。新宿とか行くと、むしろ電線がなくて。
それを皮肉っぽく書いてるのがすごく好きで。匿名の寄稿なので、誰が書いたのかも分かんないんですけど。
それで、その勢いで書いて。
ヌイベ:そうだったんだ。
たなか:私、家の方がニュータウンで、それこそ電線が地下化されてて無いんですけど。
中学まで地元の学校に通ってて、高校でちょっと遠い所に通うようになって、全然違う風景で、街並みが結構好きで。
電線が好きですね、割と今でも。こんがらがってる電線とかあると写真撮ります(笑)
ヌイベ:「電線」と「生活」っていう組み合わせがもうめっちゃ好き。なんか凝縮されてるよね。
いいな、そういうちっちゃいことに気付けるのがいい。
たなか:あれは、文集を書いた人のおかげだね。
-3枚目の『float in time』では、ひかりさんがエレキギターからアコースティックギターに完全に持ち替えたりっていう変化がありましたよね。
ねね:完成版ですね。
たなか:現状のね。正に。
-ところで、曲やCDのタイトルってどういうタイミングで付けてますか?
ヌイベ:何でも、完成してから考えるよね。
ひかり:シングルのリリースタイトルは、全部できてから考えてますね。
たなか:入れる曲が決まってね。
ひかり:みんなで考えてますね。それも、作品に対してこんな感じのイメージっていうのがあって、それに合う言葉をみんなで探して。「それっぽい、それっぽい」とか言い合いながら。
たなか:そうそう、そんな感じ。
ひかり:『ノスタルジア』は、割とすぐ出てきたんですけど、『float in time』はみんなで考えましたね。
たなか:結構悩んだよね。
ヌイベ:ホワイトボードに書いて。
-会議して決めたんですね。
たなか:漢字、カタカナ、英語は使っちゃったから、次困るよね。
ねね:確かに。
ヌイベ:数字!
たなか:記号とかにする?
ヌイベ:記号いいね(笑)
-1stの『睡想』はどういう経緯で決まったんですか?
ひかり:あれは、レコーディング最中に私が来たらもう決まってたんですよ。
たなか:みんなで決めてなかった(笑) あれはたぶん私が考えました。
ひかり:そうそう。私が歌録り終わって、みんなの所に行ったら、「『睡想』に決まったよ」って言われて。
たなか:確定事項だった(笑)
海っぽいイメージの曲の「海底カーテン」があったので、「水槽」っていう言葉が浮かんで。
でもそのままだと嫌だったから、それっぽくして。
ひかり:良いなって思った。
-曲のタイトルは、その曲ができあがってから考えているんですか?
ヌイベ:完全に作り終えてからですね。一番悩むかもしれないです、曲のタイトルが。
そのタイトルによって曲のイメージが決められちゃうのが嫌で。
-例えば『float in time』に収録されている「A」って、何にでも当てはめられますよね。
ヌイベ:そうなんです。なるべく広いものにしたくて。
タイトル、いらないんじゃないかって思ってて(笑)ほんとに数字でいいじゃんって。
ひかり:困っちゃうよね。
たなか:なんかクラシックみたいでいいじゃんね。「交響曲1番」みたいな。
ヌイベ:それがいい(笑)
-同じく『float in time』に収録されている「awkward」や、この前配信ライブで演奏されていた「lugduname」もそうですが、あまり見かけない、かつ印象的な英単語がタイトルに使われていたりしますよね。
たなか:「lugduname」は1965年に起こった飛行機事故の話から着想を得て作っていて、仮タイトルを「1965」って付けてたんですけど。
でも、元々1965年について調べたきっかけが、ART-SCHOOLに「1965」っていうタイトルの曲だったので、被っちゃうなと思って。
他のタイトルを付けなきゃって考えてたんです。
それで結構、曲に「死」っていうイメージがあったので、毒について調べてたんですよ。
そしたら”甘い化合物”として「lugduname」が出てきたので、「これだ!」って決めました。
ヌイベ:めっちゃたなかっぽいなって思った。
-曲のタイトルもそれぞれアイデアを出し合うんですか?
ヌイベ:曲は作った人がタイトルも付けてますね。
たなか:「awkward」っていう単語は知ってたの?
ヌイベ:ううん、知らなかった。
たなか:日本語が先にあって英訳したみたいな感じ?
ヌイベ:これもまたイメージなんだけど、「ぎこちない」とか、「不安定」とか、そんな感じの言葉で、日本語で良いのが浮かばないから、じゃあ単純に英語にしようと思って。それで調べたら良い感じのが見つかりました。たぶん単語の意味も知らない人の方が多いだろうし。
ひかり:「awkward」ってスペルも難しいよね。
たなか:うちらでさえ間違えたもんね、セトリ書くときとか(笑) やっと覚えてきた。
曲のタイトルへの思い入れは人それぞれですね。私は割と考えるかも。
ヌイベ:考えはするんだけど、なんだろうな…ぼやかしたいっていうか。
-曲の歌詞に出てくるワードをタイトルにするパターンはほとんどないですか?
ヌイベ:無いですね。それもあんまり好きじゃないっていうのもあります(笑)
ねね:1曲もない?
ヌイベ:避けてきてはいるけど、あるのかな?
ひかり:「クチナシ」とかは?
ヌイベ:あっ、あれはそうだね。
なんか、そんなタイトルならいらなくない?って。曲で言ってるじゃんって思いますね。