シロイソラ

左から、ボーカル&ギター・古屋ひかりさん、ベース・縫部たまきさん、キーボード・田中琴音さん、ドラム・近藤宇音さん

タイトル：awkward

※本人の楽曲を聴きながらインタビューを読めます

『それでシロイソラが良くなるなら、それが良いかな』

5.表現形式に関するこだわりについて教えて下さい

-今の4人編成は、最初からこういった編成でいきたいっていうイメージがあったんですか？

ヌイベ：あんまりなかったよね。

ひかり：選べる状態じゃなかった(笑)

たなか：それが正しい(笑)

ひかり：だから、今いるメンバーでできることをやるっていう感じでしたね。

ヌイベ：人柄重視！(笑)

-採用条件ですね(笑)

ひかり：演奏が上手い人はたぶんその辺にいっぱいいるけど、それよりも人柄の方が大事。

たなか：そうだねー。

ヌイベ：怖い人とバンドは絶対できない(笑)

たなか：バランス崩れるよね。

ひかり：だから、自分がアコギに持ち替えたりとか。

ヌイベ：しょっちゅう変わりますね。

たなか：それでシロイソラが良くなるなら、それが良いかな、くらいの感じです。

-今、良いワードが聞けました！

一同笑

-最近は、ひかりさんがギターも置いてしまうっていう曲もありますよね。

ひかり：あれも、自分がスタジオ練習に遅刻してきた日に…(笑)

ねね：そうだね(笑)

ひかり：遅刻して、3人が先に合わせてたときに、「ギターなくてよくね？」ってなったらしく。

ヌイベ：「歌に専念しよ？」って。

たなか：歌に専念してもらってもいい曲もあるねってね。

ねね：すごい発見だったね。

ひかり：でも、歌には専念したかったから。

たなか：歌いながらギター弾くっていうのが難しい曲もあるよね。

ヌイベ：ギターもたぶんそこまで好きじゃないんだろうなって。

ひかり：歌が一番ですね、自分の中では。

ヌイベ：そういてほしいって思った。

ひかり：さっき話に出てきたブッカーさんに以前「ギタリストっていうよりはシンガー」って言われたのがすごいしっくりきて。

ヌイベ：自分もしっくりきた。ひーちゃんはそうだよね。

-そのときやってた曲は何だったんですか？

ねね：スタジオでやってたのは「グレー」ですね。

たなか：「グレー」が後からギターをなくした曲ですね。元々は私もギターを弾いてました。

ヌイベ：そうだね。だから、めちゃくちゃアレンジが変わったね。

たなか：「グレー」も最新版のアレンジでレコーディングした音源があるんですけど、ちょっと出すタイミングがね。

-今まで、年1枚くらいのペースで3曲入りのシングルをリリースされていますが、そういうペースでリリースしていこうというのがあるんですか？

ひかり：元々、曲のストックはいっぱいあって。たまちゃんから短いスパンでたくさん来るんですよ。それで、やりたいことはいっぱいあって。
もちろん、レコーディングもめちゃくちゃしたいんですけど、ただ日程的に合わなかったりして、たまたま年1回のペースになってますね。でも、最低でもそのペースでは出していきたいです。

たなか：まとめて出すよりは、3曲くらいで出したくなっちゃいますね。CDにしたいなって思って作ると、ちょうどそのくらい。

ひかり：できることなら、もっといっぱいレコーディングしたいです。

ヌイベ：音源、欲しい(笑) 全部音源化したいね。

たなか：近いうちにスタジオ予約しよう。

ヌイベ：ね。やりたい。

-ということは、近々リリースの予定が！

たなか：レコーディングしたい曲はね。

ヌイベ：あるよね。自分たちでそれもできるようになるといいんだけどね。

たなか：レコーディング？

ヌイベ：機材がなくて。

たなか：ちょっとずつ揃ってきたじゃん(笑)

ヌイベ：ホントはレコーディングも含めて、全部自分たちでやりたいですね。難しいんだろうけど。

たなか：意見出しをできる人がいればそれでいいかなって。

ヌイベ：「こうしてください」ってバーっと言ったら、全部それをやってくれる人がいてくれれば！

-ところで、音源のジャケットや歌詞カードのアートワークは誰が担当しているんですか？

ねね：私とたまちゃんですね。

ヌイベ：レコーディングの待ち時間とかに、一緒に考えてます。

たなか：ねねちゃんが元々デザイン系の専門学校に行ってて、AdobeのIllustratorが使えたりして。

ねね：言われたことをやってます(笑)

たなか：でも、デザインも、ドラムのごとく言われたこと以上のものが出てくるよね。

ヌイベ：めっちゃ良いコンビじゃない？

たなか：2人で仕事できるよ(笑)

-ミュージックビデオも自分たちで作ってますよね？

ヌイベ：そうですね。

ねね：それは完全にたまちゃんが。

ひかり：構成を作ってますね。

ヌイベ：今は結構楽しんでやってるけど、最初は頼れる人がいないから仕方なく自分たちでやってて。一番最初はね。

たなか：撮ってもらいたいっていう話はしてたけどね。

ねね：でも、勝手に作られるのは嫌だし。

たなか：そうそう。知ってる人でやってくれる人がいたらいいけどっていう。

ひかり：最初Twitterとかで、MV撮ってくれる人いないかなって探したよね。結局、自分たちが一番…。

たなか：信用できる(笑)

ひかり：「こうしてください」っていう注文とかね、どれくらいしていいか分かんないしね。

ヌイベ：そこで悩みたくないもんね。

-最新の「A」のMVはヌイベさんの手作りなんですよね？

ヌイベ：そうです。ずっと夜な夜なiPadを使って。
ほんとに何も分からない状態から…どうやったら絵が動くんだろうっていうところからでしたね。

たなか：あんなにアニメーションになるとは思わなかった。

ひかり：アニメーションにしたいっていうのはバンドの中で話題になってて、たまちゃんがやってくれるならって。

たなか：一部動くくらいかと思ってたら、ちゃんと動いててびっくりした。

「A」ミュージックビデオ

ヌイベ：めっちゃ勉強して…。まずソフトの使い方が分かんなかったから。
まず、線がなんで描けないんだっていうところから(笑)

-手描きだったんですね！

ヌイベ：そうなんです。全部。意外とできるよ(笑)

たなか：できないよ(笑)

ヌイベ：コツを掴めば！

-ヌイベさんは絵は元々やってたりしたんですか？

ヌイベ：工作クラブみたいなものにはいましたね。
絵は習ってたことはないんですけど、好きで自由に描いてました。

たなか：上手いなぁって昔から思ってた。

-人の顔とかも上手に描いてますよね。経験がないと描けない絵だなって思いました。

ヌイベ：人に教わって作ったことはないんですよ。音楽もMVも、全部自分で。

たなか：基本何でもできるんだよね。

ヌイベ：違うよ、めっちゃ勉強してるんだよ(笑) いけると思ったらいける。

たなか：ヌイベはやりたいと思ったらできるよね。

-話は変わりますが、ライブをするときに何か決め事ってありますか？例えば、MCはねねさんがメインで担当されていると思うんですけど。

ひかり：最近はそうでしたね。

たなか：そこも模索中で。

ヌイベ：基本はあんまり喋らない方がいいと思ってます。MCが得意じゃないので(笑)

ひかり：ちょうどいいことに曲数も多いし。

たなか：ねねちゃんがMCやってたときは、ちょうど他のメンバーがギターを置いたりするのもあって。

ひかり：チューニングとか。

たなか：そういうのがないパートの人がMCをやるとどんな感じになるのかなっていうのもありました。

ひかり：やり方によって何がベストなのかってね。

ヌイベ：ほんとはMCゼロにしたいけど、さすがによくないのかね？ほんとは何も言わなくていい(笑)

ひかり：なるべく喋りたくはないんだけど、最低限度のことは言って。「シロイソラです」とか。

たなか：あえて決まり事があるとすれば、「喋りすぎない」ってことですね。

ひかり：MCで脱線とかしたくないしね。

ヌイベ：笑わせたくないしね。黙って聴いてって(笑)

ひかり：雰囲気消えちゃうもんね。それが嫌だよね。

-4人でステージに立ってるときのオーラは凄いですよ。

ヌイベ：オーラ、あるのかな？(笑)

-雰囲気っていう言葉に留まらない、圧倒的なものがありますよね。

ヌイベ：それは嬉しいです。でも、緊張してるだけかもしれないです(笑)

たなか：それはある(笑)

ヌイベ：逆に怖いよね。絶対お客さんの顔見ないもん(笑)
あと、ライブのときの照明は最近こだわってますね。

ひかり：最近知ったんだよね、そういうこともできるんだって。どこかのバンドが、こうやって注文してる！って。

ヌイベ：事前に紙とかにまとめてね。

ひかり：そこにこだわりたいなって思ってます。

-なるほど。それと、これも特に聞きたかったのが、配信ライブに関する取り組みです。

ヌイベ：めちゃ頑張ったよね、あれは。

ひかり：スピードがすごいよね。

ヌイベ：いつ提案したんだっけ？

たなか：たぶん、私が一番最初にいわゆる自粛モードに入ったんですよ(笑)外出を控えようかって。
最初に4人でスタジオに入れなくなったときから、何か遠隔でやりたいっていうのは話してましたね。
それで、こういうのがあるらしいよっていうのを調べたりして。
最初は練習がしたいねっていうので取り入れて、次に配信もできそうだねってなって。

1回目のリモートセッション生配信

ひかり：練習が最初だったね。

ヌイベ：環境を整えるのにめちゃ頑張ったね。

たなか：ネットの回線変えたもんね。

ヌイベ：そう、変えた。

たなか：契約したよね。

ひかり：いろいろ調べてくれて。自分は調べるのがすごくめんどくさくって(笑)

ヌイベ：それもめっちゃ一から勉強しましたね。

ひかり：URL貼ってくれて。

たなか：そういうのだけは私やるから(笑)

ひかり：しかも、URLすら飛ぶのめんどくさくなって、最終的に「で、どれ買えばいい？」って。

たなか：見てないなって(笑)

ヌイベ：お金取った方がいいよ(笑)

たなか：コンサル料ね(笑)

ひかり：それで言われるがまま全部買って、繋げて。

-オーディオインターフェースとかもそのタイミングで揃えたんですか？

ヌイベ：そうですね。それまで誰も持ってなくて。

たなか：どれ買えばいいか分かんなかったんですけど。

ヌイベ：めっちゃ調べた。

-ねねさんは電子ドラムは元々持ってたんですか？

ねね：はい、電子ドラムは持ってて。

ヌイベ：さすがに買えとは言えない(笑)

ひかり：それは言えない(笑)

たなか：ちょっと匂わせるかもしれない(笑)「どうかなぁ？」って。

ヌイベ：「電子ドラム良いと思うよ」って(笑)

ひかり：続けるならそろそろ…。

たなか：あってよかったね。

ねね：マイク買うのだけちょっと渋ったかもしれない(笑) あんまり喋んないのにって。でもあった方が良かった。

ひかり：会話がね。

ヌイベ：コミュニケーション取りやすい。

たなか：普通に、通話の代わりにあれがいいんじゃないかっていう。

ヌイベ：快適だよね。

-配信ライブを聴いてる側としても、演奏中の音が全然ずれないし、普通のライブと遜色なく聴けていましたね。遠隔でのバンドの配信ライブだと、シロイソラの皆さんの演奏が断トツでクオリティ高かったです。

ヌイベ：嬉しいです。めっちゃ急いで準備したよね。みんなやってなかったから。

たなか：話題性があるからって。

ヌイベ：これはチャンスだと。

-配信ライブのアーカイブは1,000回以上再生されてますよね。

ヌイベ：やっぱりビジネスできるんじゃない？(笑)

-それと、配信ライブで映してるアングルにも、メンバーの皆さんそれぞれの個性が感じられました。

たなか：事前に相談はしてるよね。

ヌイベ：あまりに変にはならないように。

たなか：改善はしていってるけどね、部屋の明るさとか。

ひかり：基本的に、暗い部屋で過ごしてる(笑)理想は、オレンジ色の常夜灯みたいなのが一番ベストなんですけど。
それすら鬱陶しいときは真っ暗にして、外の灯りだけのときもあって。暗いほうがいいですね、集中もできるし。

たなか：アングルは、みんながカメラを置ける範囲で置いてみて調整してますね。

ひかり：でも、ねねが一番頑張ってるよね。

ねね：ピアノ椅子の上にカホンを置いて、その上にパソコンを置いて調整してる。

たなか：すごいね。

ひかり：たなかが一番お洒落だよね。

たなか：全然話が逸れるんですけど、私も机の後ろを狭いから取ろうかなって思って。ヌイベがやってたみたいに。
だからあそこにパソコンが置けなくなるかもしれない。
机が学習机なんですけど、学習机にパソコンを置いてあって。学習机って後ろに棚があるじゃないですか。
ヌイベが後ろの棚を外してるのを見ていいなって思って(笑)

ヌイベ：邪魔だから捨てようと思って(笑)

たなか：棚を外すとカメラ置けなくなっちゃうな。私もカホン買おうかな。

ヌイベ：そのために？(笑)

ねね：カホン、ちょうどよかった(笑)

ひかり：最初配信する前に練習してたときに、暗すぎて止まっちゃってたんだよね。

たなか：YouTubeはあのとき結構厳しかったっていうか、配信がYouTubeのAIみたいなのに止められてたんだよね。

ヌイベ：不適切な表現が〜みたいな。健全なのに(笑)

たなか：曲が暗すぎたのか…(笑)でもあのとき、動画配信が止まっちゃう人って多かったらしくて。

ヌイベ：自分たちのせいじゃないよね。

たなか：AIがおばかさんだった(笑)

-そういった努力の上に、あの配信ライブが成立してたんですね。

たなか：結構不確定要素があるんですよね。

『特にねねちゃんの好きな音楽がアクセントになってるなって思う』

6.好きなアーティスト、憧れのアーティストを教えて下さい

ひかり：最初はYUIさんがきっかけで、その後中学生くらいのときはアニメをよく見ていて、supercellが流行っていて、ピアノが素敵な曲が多くて、ずっと聴いてたりしてて。
高校に上がってからは、Galileo Galileiとかをよく聴いてました。

-ルーツとしては、YUIさんになるんですね。

ひかり：世代的にも割とそうなのかなっていうのもありますね。弾き語りとかやってると、YUIさんが好きだっていう演者さんにもよく会うので。

-「根本はシンガー」っていうのも。

ひかり：そこから来ていますね。

たなか：私は、好きなのはsyrup16gなんですけど、知ったのは大学生になってからで。ちょうど活動休止してるか再開したかくらいのタイミングだったと思います。自分が昔ああいう曲を聴いてた頃に、こんなバンドが実はいたんだ！って、それからたくさん聴いています。
知ってからは一番聴いてますし、影響も受けているバンドですね。
元々バンドが好きになったり、自分でバンドを組むきっかけになったのは、さっき言ったRADWIMPSやBUMP OF CHICKENでした。
ガールズバンドはあんまり聴かなくて、好きなのは邦楽の男性ボーカルのバンドですね。

女性ボーカルのバンドだと…相対性理論は好きですね。
あとは系統が違うところだと、9mm Parabellum Bulletも好きです。ライブには一番行っていて、普通にライブで盛り上がったりするのは好きなんですよ。

ライブといえば、syrup16gはライブを観に行く予定があったんですけど、ちょうどコロナと時期が当たって2回延期になっちゃって、年明けの1月まで待ってるところです。1月か…(笑) 1回だけ、リキッドルームで観たことがあります。

-個人的な印象ですが、男性ボーカルのバンドだと、確かにsyrup16gはシロイソラの音楽性に近いところにいる感じはありますね。

たなか：メンバーだと聴いてるのは私だけなので、すごく影響を受けているかどうかは分かんないですけど、好きな音楽の系統の1つではあります。

ヌイベ：教えてもらって聴くようになりました。

たなか：あと、syrup16gが好きな人はART-SCHOOLも好きなことが多いですけど、ART-SCHOOLも聴きます。

ねね：私は、好きすぎてみんなにも言えないし、誰にも言えてないくらい好きなアーティストは、阿部真央さんですね。
ファンだっていうのは言ってるんですけど、どれくらい好きかっていうのは言えてないです。
小学4年生くらいからずっと一番好きで。別にルーツとかではないんですけど。

自分はガールズバンドが好きで、ガールズバンドでシロイソラのこの雰囲気が作れているのがすごくベストですね。
バンドだと、SCANDALがバンドやろうってなったきっかけです。

たなか：若手のバンドをたくさん聴いてて、ねねちゃんが流行り始めのバンドを一番キャッチしてるイメージがあります。

ねね：すぐ飽きちゃうんですよ。だから、新しいものを取り入れたくて。

-ちなみに、最近良かったバンドってありますか？

ねね：KUZIRAっていう、メロディックのバンドがいて。好きなんですよ、そのジャンルが。そのバンドが売れればいいなって思ってます。

ヌイベ：高校のときからずっと好きなのはPeople In The Boxです。たぶん、彼らの活動や作るものにも影響を受けていて。
あと、今一番聴いてるのはodolです。これ以上良いバンドはいないんじゃないかって思うくらい、好きですね。

自分も結構いろいろ聴いて、アイドルだとBiSHも好きです。

たなか：ヌイベはジャンル的には色々聴くけど、ひねくれてるイメージ(笑)

ヌイベ：確かに(笑)王道は聴かない。

たなか：「ひねくれてる」っていう軸はあるけど、ジャンルは問わない。

ヌイベ：あと、バンドじゃないですけど、人としてずっと好きなのはNIRVANAのKurt Cobainです。
英語は分かんないんですけど、それでも伝わってくるものが…伝わりすぎるっていうか、こっちも苦しくなってくる表現がすごいなって思います。だからこそ亡くなってしまったのかなと思いますし。自分もそれくらいすごいものを作ってみたいなって思います。

-ここまでお話を聞かせていただいて、シロイソラの謎が少しずつ解き明かされてきました。

ヌイベ：音楽の趣味やルーツは、ごちゃ混ぜだよね。

たなか：化学反応感がね。特にねねちゃんの好きな音楽がアクセントになってるなって思う。いろんな音楽を取り入れてくれて。

ヌイベ：バランスを取ってくれてるよね。