ボウガイズ

タイトル:ダンスandダンス(DOYAGAO)

※本人の楽曲を聞きながらインタビューを読めます

『アクティビストじゃないですか。国会の前とかでね。』

7.音楽をやってなかったら、何をやっていると思いますか?

橋本ハム太郎:僕はゴシップライターとか。パパラッチになりたかったんですよね。

-どういった理由でそれになりたいと

橋本ハム太郎:そういうのが好きなんですよ。週刊誌とか。小さい時からずっと。

mu knee man:吉本の問題とかすごい詳しいですよ。

-真実を暴きたいということですか

橋本ハム太郎:まあ知りたいってことですね。でも、宇宙のこととかは興味ないです。
芸能人とかヤクザとか、そういうことが知りたいんです。

-mu knee manさんは

mu knee man:僕は別の趣味を見つけてたと思います。なんか作ってたと思います。
映像かもしれないし、小説とかかもしれないし。
文章書くのも好きなんですよね。今小説書いてて、この人(橋本ハム太郎)にだけ見せてるんだけど。

-小説もお好きなんですか

mu knee man:そうですね、トマス・ピンチョンとか。そこから名前とってますから。あとは阿部和重とか。
阿部和重の『シンセミア』をハム太郎さんから借りて、すげえ面白くて、それで自分も書いてみようと思って。

橋本ハム太郎:面白いですよ、彼の小説は。なんの意味もない小説ですけど。

-色々作られているんですね

橋本ハム太郎:mu knee manが一番創作意欲は強いんじゃないですか。

mu knee man:作るのが好きなんですよね。レゴとかシムシティとか。
だから釣りとかボルダリングはハマらないと思いますね。やったことないけど。
サッカー部だったんですけど、ほんと嫌だった。試合が終わったら何も残らないんで(笑)。

-なるほど。それではFAT-LEEさんは

FAT-LEE:アクティビストじゃないですか。国会の前とかでね。それこそこんな格好して。

mu knee man:デモラーですか?

FAT-LEE:いや、でもまあ、結局アクティビストにもならず、なんかわーわー言ってるだけの人になってるんじゃないですかねぇ。

橋本ハム太郎:でもFAT-LEEはこんだけ普段わーわー言ってるけど、ネットでは何も言わないんですよ。全然SNSを使わない。

FAT-LEE:ブログとかそういうのなら、もしかしたらやるかもしれないですけどね。
ネットで何か言うってことに今は興味ないですね。SNSはいまだに使い方がよく判りませんし。

『新しい方言を自分で作りたいというか。』

8.表現形式に関するこだわり

-なぜラップを選ばれたのでしょうか?

FAT-LEE:なぜラップかというと、小学生の時に「詩を書け」と授業で言われたんですけど、
何も書けなかったんですよ。こんなんスラスラ書ける奴マジで頭おかしいんちゃうかって。
でもその後ラップというものを知って、兄が聞いていたんでそれで一緒に聞くようになったんですけど、
どうやらラップというものは韻を踏めばいいらしいっていうルールに気づいて。
小説の終わりで韻を踏んでそれが十六個集まればワンヴァースになると。それなら自分でも出来るかもと思って。

-ルールを与えられたことによって逆に書けるようになったと

FAT-LEE:そうですね。詩を書けと言われても何も書けなかった人間がラップなら書けたっていう。
それでやっているうちに韻を踏むだけじゃダメだと。そこで何を言うのかを探求するようになって、今に至るという感じですね。
ではmu knee manは?

mu knee man:さっきも言ったけど敷居が低いのと、あと訛り、方言とか楽しいじゃないですか。
埼玉県って方言がないんで。なんで、方言で話してる人みると注目しちゃうんです。関西弁とか。こういう喋り方なんだ、おもしろって。

橋本ハム太郎:馬鹿にしてるやろ、関西弁を。

mu knee man:母親が秋田の出身なんですけど。母の実家に行くと全然喋り方が違って。
口を開かないんですよ。寒いからか何なのか分かんないですけど。
イントネーションフェチなんですかね。新しい方言を自分で作りたいというか。
そういうのはラップする時に常に意識してます。

9.私を構成する9枚

【FAT-LEE篇】

①Dragon Ash feat ZEEBRA, ACO / Grateful Days
小学五年生くらいの時に、3つ上の兄がちょうどグレてきて、
タバコとかエロ本とかバレて、親に怒られたりしてる時に兄の部屋から聞こえてきたのがこの曲。
「俺は東京生まれHIPHOP育ち 悪そうなやつは大体友達」という有名すぎるラインは今となっては散々パロディにされ、
おもしろラップ歌詞みたいにされてるけど、当時のFAT-LEE少年は真正面からこれをくらいました。

②真心ブラザーズ / 人間はもう終わりだ!
新卒入社した会社で上司からパワハラを受け、理不尽な体育会系ノリに耐えていた頃に聞いていたのがこの曲。
当時は風邪もひいてないのにストレスで咳が止まらず、現実逃避のために毎日深夜2時か3時くらいまで死ぬほど酒を飲んで、
月曜の朝に死ぬほど気持ちが落ち込んでたけど、なんとかこの曲を爆音で聞くことで出社できてました。
精神錯乱状態の僕をギリギリで救ってくれたのがこの曲ですね。

③RHYMESTER / ダーティーサイエンス
新卒入社した会社で上司からパワハラを受け、理不尽な体育会系ノリに耐えていた頃に聞いていたのがこのアルバム。
荒れ果てた心にローファイで力強い楽曲たちがスッと入ってきたのを覚えています。
特に「サバイバー」という曲の「唯一確かなのは俺だけが俺の支配者」というラインが刺さりました。
これで私は会社を辞めました。

④かまやつひろし / ゴロワーズを吸ったことがあるかい
なんでラップとかやってんの?という問いに対して一つの解を与えてくれたのがこの曲です。
人はなぜ何かに熱中するのか。否。熱中しなければならないのか、というのがこの曲のテーマというわけです。
ちなみに「何かに凝らなくてはだめだぁ~」という説教口調もいいよね。

⑤SMAP / Joy!!
SMAP最大のヒット曲である「世界に一つだけの花」よりもよっぽど重要なことを言っているのがこの曲。
「無駄なことを一緒にしようよ」というラインは未だに日常の中でふと思い出すことがあります。
表現というか文化そのものがなぜ存在するのか、そして何故我々はそれに関わりたがるのか。
それは無駄なことにこそ価値があるからなんですよね。
なんつって。

⑥ECD / 憧れのニューエラ
ECDは好きな曲がたくさんあるけど、強いてあげるならこの曲。
RHYMESTERのB-BOYイズムはもちろんクラシックでめちゃくちゃ好きやけど、この曲もまた一つのB-BOYイズムを歌った曲。
ラップってこんなことまで言っていいんですね。素晴らしいですよね。

⑦中川翔子 / ストロベリmelody
しょこたんこそHIPHOPを最も体現している人物とも言えるわけですね。
その件については話せば長いのでまたの機会にですが、まあこんなにかわいい歌はないのでつべこべ言わんでええでしょう。

⑧NIPPS feat. K-BOMB, DEV-LARGE, XBS, GORE-TEX / GOD BIRD
なんかこの辺まであげだすと、言葉でうまく説明できないけど確かに影響を受けたんだ!みたいな数々のクラシックをあげまくらないといけない気もしますが、
まあこの曲は特に好きすぎるから仕方がないですね。

⑨神戸薔薇尻 / 蓮の花 ※デモバージョン
この曲にはとにかく熱狂した。天才すぎる小林さんは自分には真似できず関係ないと思っていたけど、久しぶりに聞いて、
やっぱり自分もこれをやらんとあかんねや、とさっき思った。

【mu knee man篇】

①BUDDHA BRAND / 病める無限のブッダの世界 ― BEST OF THE BEST (金字塔)
人間発電所は完コピするぐらい歌ってた。
ラップの曲とインストの曲が交互になってるのも新鮮だった。
ビートがすごく気持ち良い。いいな、サンプリングってなった。

②NUMBER GIRL / OMOIDE IN MY HEAD 1 ~BEST & B-SIDES~
高校時代よく聴いてた。出会うまではLinkin Parkとかマキシマムザホルモンとか聴いてたから、
「ヴォーカル音ちっさ」って思ったけど、聴けば聴くとほど「これじゃないとダメ」になっていった。

③OMSB / Think Good
カッコいいし救われた。ブレてないヒーロー。

④Linkin Park / Meteora
中学時代ウォークマンで爆音で流してた。
チェスターベニントンの叫びは破壊力あるのに綺麗。

⑤KOHH / Dirt
トラップ聴くようになったきっかけ。
歌詞に固有名詞バンバン出すのは影響受けた。なんでもいいんだって思った。

⑥マキシマムザホルモン / ぶっ生き返す
これも中学時代めちゃくちゃ聴いてた。
今思えばこの時から「聞き面は外語だけど実は日本語」な曲に惹かれてたっぽい。

⑦ASAP Rocky / At. Long. Last. ASAP
地元は埼玉の田舎で、ずーっと田園。
夜になると周り全部真っ暗になって外灯が点々。そこを散歩しながらこれ聴いたら景色が違って見えた。
夜の田舎と相性が良い。

⑧JAZZ DOMMUNISTERS / BIRTH OF DOMMUNIST(ドミュニストの誕生)
自分もラップやってみようと思ったきっかけのひとつ。特に「drive」は「なんじゃこりゃ!!」ってなった。

⑨PSG / いいんじゃない
「適当」っていう概念。途中で入るセリフのネタ元は未だ謎。

【橋本ハム太郎篇 (映画ver)】

①黒沢清 / アカルイミライ
中学生の時にVHSで見たのだけど、見終えた時に頭がぼーっとしたというか胸騒ぎがしたというか。
平衡感覚がなくなったような感覚があって、その衝撃をもう一度味わいたくて、今も映画を見続けているんだと思います。

②塩田明彦 / 害虫
これも同じく中学生の時にVHSで見て法悦に浸った一本。
繰り返し繰り返し何回も見ました。

③青山真治 / Helpless
同上。繰り返し繰り返し何回も見た一本。
これが中上健次の『地の果て至上の時』なんだ、天皇制の話なんだと気付いたのはずっと後。

④ヴィム・ヴェンダース / まわり道
ヴェンダースは高校生の時に一通り見たけどこれが一番好き。
当時はだらだらだらだらしている映画がとにかく好きだったんです。

⑤レオス・カラックス / メルド(オムニバス映画『TOKYO!』より)
難しいことはいくらでも考えられるけど、とにかく画面から発せられるパワーが凄い。

⑥クエンティン・タランティーノ / デス・プルーフ in グラインド・ハウス
こちらも画面の強度が圧倒的。映画の面白いとかっこいいがパンパンに詰まってる。

⑦ブライアン・デ・パルマ / カリートの道
ここではない何処かに自分を待っている楽園がある、という妄想にグッとくる。
僕もずっと楽園を探しています。

⑧ジョージ・A・ロメロ / 死霊のえじき
ロメロのゾンビシリーズはどれもVHSテープが擦り切れるほど見たけど、
これが一番壮大で、カタルシスがあって泣ける。最後にしっかり人生賛歌してくれるところが良いですね。

⑨黒沢清 / 旅のおわり世界のはじまり
黒沢清はいつまでも僕を驚かしてくれます。

『「キンタマ触っていいか?」って聞かれて。』

10.子供の頃のエピソード

FAT-LEE:小学校の低学年の時に、近所に城跡があって、そこでよく遊んでたんですけど、なんか石垣の跡みたいなところで、鬼ごっことかしてて。
そしたらある日おっさんが来て、「キンタマ触っていいか?」って聞かれて。
それで僕、知らんおっさんにキンタマ触られたんですよ。で、「痛い?」って聞かれて。「痛くない」って答えて。
「じゃあこれは?」って別の触り方されて。「痛くない」って。そしたら「ありがとう」って言っておっさんは立ち去っていったんですけど。
僕はこれを「調査」やと思ったんですよ。キンタマに関する調査をされたと。健康調査というか、なんか医学的なものが行われたと。幼心にそう解釈してたんですけど。
でも今思うとゴリゴリの痴漢やん。野放しにしたらあかんタイプのおっさんやんって。

『明石家さんまの座右の銘で、それをさんまは娘の名前にもしてるんですけど。』

11.座右の銘

-それでは最後に座右の銘を教えてください

橋本ハム太郎:人生成り行き

FAT-LEE:人間万事塞翁が馬

mu knee man:いまる

-いまる?

mu knee man:生きてるだけで丸もうけ。明石家さんまの座右の銘で、それをさんまは娘の名前にもしてるんですけど。

FAT-LEE:なんで人名の方で答えるねん。

ボウガイズ


左:mu knee man ラッパー/トラックメイカー
世界中のshitを浴び続ける男としてmu knee manを名乗る。早稲田卒。現在、社会の嫌なヴァイブスを浴びすぎて少し調子が悪くなってしまった為、しばしの社会的休憩をとっている。口癖は「フェミニン」。
ソロ名義ではLanc3 pynchonと名乗る。

中:FAT-LEE ラッパー/トラックメイカー
趣味:転職。関西学院大学卒。かつて詐欺会社にそうと知らずに入社した過去があり(いわゆる半グレの類)、会社が摘発された際にはFAT-LEEもマグショットを撮られた。
堂々たる前科一犯。現在二児の父。
また、映画美学校の課題制作でFAT-LEEが題材のドキュメンタリーが制作されたこともある
https://www.youtube.com/watch?v=8Biw0zk5GPI

右:橋本ハム太郎 DJ/ビデオ制作/その他庶務
ボウガイズのシンクタンク。大学卒業後、魚屋に就職するも早起きができず一年でクビに。その後紹介を受け三重県の水産加工品工場にて勤務。出稼ぎに来ているブラジル人たちと毎週末楽しく過ごすも、一旗揚げるべく上京を決意。現在赤羽にてヒモ生活を送る。