『音と音のグラデーションがきちんとできているか』
2.DJ方法論
DJ YEW:定番のことをやらないのが自分の仕事。自分が定番のことをやらなくても他の人がやるから自分はやる必要はない。
それであるからこそ、何が定番じゃないかを考えることにクリエイティビティがある。
それこそブレンドをやるというのも使っている曲自体は定番だけれど、ブレンドにすれば定番ではなくなる。
定番以上のグルーヴが出せれば、定番で盛り上げている DJ よりも盛り上げられるだろうし。
ある意味で定番だと上限が決まっている、この曲からこの曲に繋げばこの程度は盛り上がりますという風に。
それは普通に面白くない。工夫する余地が考える楽しさを自分の中には持っていたいかなと。それが定番に比べて盛り上がらないことは当然あるんだけれど、ウケなくてもそれを残していくことにも意味がある。
このブレンドをこの人がやってたんだみたいな、後々掘り起こされたりしたら嬉しい。
DJ YEW:そうそう。定番をやった人を振り返って検索しても星の数ほど出てくるけれど、定番じゃない繋ぎであれば「こういうブレンド思いついた時に過去にやった人いるかな」と検索した時に先にやってましたみたいな(笑)。
DJ YEW:ありますね。定番だけで組み立てられている人も当然いて、それはそれでいいんだけれど、僕はあくまでも自分の考えた組み合わせで組み立てたい。

DJ YEW:音と音のグラデーションがきちんとできているか。言い方が悪いけれど、似た曲をいかに見つけてくるかという発想はあんまり。
A から B という曲に繋ぎたいけれど、テイストが違う。直接繋ぐと違和感がある場合、それでもよしとする人もいるけれど僕はそれは嫌。
A と B 両方掛けたいなら、A と B を繋ぐ C という曲をどうにかこうにか探してくる。それが見つかるまでは A から B には繋がない。それを自分自身に課している。
DJ YEW:あとグラデーションを構築するにあたって、「なぜこの曲からこの曲なのか、どこが似ているのか」というのを全部言語化できるようにする。
DJ YEW:抽象的な内容もある。例えば、この曲はブルーとグレイが混ざっていて、次の曲はグレイが中心で薄めたブルーもあるとか。
DJ YEW:色と質感。質感はメタリックな感じ、ふわっとした感じ、ベローズ、面、触り心地、鎖とか。
DJ YEW:主観。
DJ YEW:質感といったのはドラムを一番重視していて、例えば木をチェーンソーで切ったあとの側面みたいなドラムが自身の中にあって、それとストローみたいなドラムもあってそれぞれ強さが全然違う。
木の側面とストローを繋いじゃうと違和感が凄い。
DJ YEW:リズムの組み立て部分で、木の側面とストローでは土台が全然違うから、その間にくる木製のストローの曲を探してくる。

DJ YEW:そうそう。例えばストローがレインボーだと木製のストローから繋ぐと違和感があるから、その間に何色か経由して虹に近づける。
DJ YEW:あるのかもしんない。景色をみながら音楽を聴くというのが多くて目を瞑って音楽を聴くことはない。ジャケットを観ながらだったりもある。ただ、ジャケットだと音の色や形と合わない場合もあるけれど。
そういうので、自分の中で感じ方のバリエーションが増えていく。今、木の側面とストローが出てきたけれど、もっと色んな材質があって。
これ、自分の DJ のネタバレになるから誰にも話さなかったんだけれど(笑)。
DJ YEW:ということを実はやっていて、今のは説明のために言語化をしたけれど、いちいち木、ストローは考えていなくてもう少し音楽という言語として、自分の中にできているカテゴライズが細かくある。
PCDJ の人たちでいうとタグ付けですね。色んな楽曲に明るめ、暗め、悲しさなどのタグが付けられると思うんだけれど、自分自身で作ったタグが楽曲ごとについていく感じ。
あとは試行錯誤の繰り返し。イメージでやるというより実際に繋いでみて本当にいいのかというを探る。そこまでやってようやく現場で投入できる。

DJ YEW:その分、良い繋ぎが見つかった時の喜びは無上。
自分がこだわりが強いからグラデーションができていない DJ を聴くとなんでだろうなって。
DJ YEW:そこまではいかないけれど、それは言語化できんの?みたいな(笑)。
DJ YEW:「なんでその曲を繋いだの」と純粋に聞いてみたくなっちゃう。
DJ YEW:わかりやすい曲がいいかな。日本語ラップでいこうか。使われ尽くしているのはよくないから。
SOUL SCREAM*24 の「自由街道」。これは自分のイメージだと色は薄緑と薄水色の中間ぐらいの感じ、ここまでは共感覚として分かる人はいると思う。
質感の部分、かなり硬いのもあり物に例えると折り畳み傘。
DJ YEW:タグ付けするとなると、部屋の中か外でいうとやっぱり部屋の中。地上か地下か、自分的にはこれは地上寄り。季節感があるとしたら6月から7月ですね。
インストになると季節感は変わってきて、2月か3月ぐらいにも使える。インストは寒い日もいい。
DJ YEW:質感はバストラ、スネアで別個にあるんだけれど、全体としてはやっぱり折り畳み傘かな。
DJ YEW:折り畳み傘で薄水色から薄緑色のイメージ。カフェみたいなところでインストとして聴いてもいいと思う。結構、スネアが尖っているからその辺りは折り畳み傘。綺麗に畳まないと人の迷惑になっちゃう。
DJ YEW:開くときに肉を挟んだりもしますからね。
DJ YEW:色と質感の印象も人の DJ を聴いてこういう質感の解釈もありだなと自分の中で使える場面が変わってくる。そういう意味でも人のプレイには学びがある。
DJ YEW:これはこの曲に繋げられるなと思い浮かぶのは結構仕事中だったり、早く帰って試さないと!
DJ YEW:この曲とこの曲のブレンドはいけるんじゃないか……。今日はちょっと早退したいです。

DJ YEW:完全にリスナーで聴くことはアニメソングぐらいかな。
DJ YEW:アニメに関しては使わないのは確実だからかも。プリキュアの曲を聴いていても「これは使わないな」って受け手でいられる。
DJ YEW:アニソンに関してはないけれど、全体的な作品としての世界観は学べるものはある。声優さんたちはめちゃくちゃトレーニングをしていて凄いから、その喋りとかからは学んだりする。
喋り方のフロウというとあれだけれど、アニメというアウトプットだけれど尖った人もかなりいて。
DJ YEW:オタクっぽいアニメでいうと小学生のときに『爆れつハンター*25』というのがあって、それがすごくオタクっぽい。子供向けのアニメと大人やオタクが観れるアニメがあって、後者でいうと『爆れつハンター』は自分の中で最初にある。
エンディング曲がユーロビート。並行して TRF を聴いていたから、同じ打ち込みの曲で音楽をやる人たちというのはスッと理解して。
エンディング曲は夜の雰囲気を纏っていた。それがなんとなく小学生でもわかって、音の感触を形作っていて今のタグ付けに繋がるものがその頃からすでにあった。
DJ YEW:セクシーな女性キャラが出てくる中でそういう曲が流れていて、オタクではなかったけれどいいなというのがあった。それが今のアニメを観る感覚に一番近い。
長野県はテレビ東京は入らなくてエヴァンゲリオンを観ようとすると朝6時なんですよね。

DJ YEW:エヴァンゲリオンは継続して観ていたアニメコンテンツではあった。高校の時はほとんどアニメを観ていなかったけれど、ジャンプはずっと読んでいた。
大学に入ってインターネットを自由に触れる時期にライトノベル系のアニメが流行っていた。秋葉原で働いているのもあり自然に入ってきましたね。その頃にニコニコ動画があって初音ミク*26のブームだったけれど、初音ミクの音源は自分の趣味と合うものはほとんどなかった。でも、そこからディグって初音ミクを使ったヤバい音源を買っていた。
オタクコンテンツだけれど、自分の音楽の趣味嗜好に合うものを掬い上げていた。
*24 SOUL SCREAM…E.G.G.MAN、HAB I SCREAM、DJ CELORY らによる日本のヒップホップグループ。1990年代から活動し、ジャズやソウルを感じさせるトラックと、個性的なラップスタイルで知られる。
*25 爆れつハンター…1990年代に展開された日本のライトノベル・漫画・アニメ作品。あかほりさとる原作のファンタジー作品で、1995年にテレビアニメ化された。
*26 初音ミク…クリプトン・フューチャー・メディアが2007年に発売した歌声合成ソフトウェア、およびそのキャラクター。VOCALOIDを用いた音楽制作や動画投稿文化を広げ、ネット発の音楽シーンに大きな影響を与えた。


